オーバーロード ありのままのモモンガ 作:まがお
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スレイン法国の上層部、神官長達は、最近上がって来た情報に頭を悩ませていた。
「ニグン・グリッド・ルーインが、ガゼフ暗殺を失敗したそうだな」
「無理もあるまい、あの伝説のアンデッド、
「しかも、その
「確かに、亜種であった可能性もある」
突如として現れ、陽光聖典を壊滅させたアンデッドについて、神官長達はあれこれと意見をぶつけている。
そんな中、一人の神官長が、新たな情報を口にする。
「エ・ランテルで起きた、アンデッド大量発生の事件を知っとるか?」
「おお、子供の冒険者が、一人で事件を解決したと言う、あれか」
「確かその少女は
「そうだ、そしてその少女が使役するアンデッドは、こう呼ばれている―― デスナイト、とな」
あまりの事実に、会議の場は数秒、静まり返った。
「なんと?! あれ程のアンデッド使役するとは…… ぷれいやー、神の降臨か? それとも我々の知らなかった神人か?」
「その子自身に戦闘力は皆無と、報告があることから神本人ではないだろう。 神人の線も薄い」
「陽光聖典を撃破した、
詳細な情報が分からない現状では、手を出すことは得策ではない。そう結論付けた神官長達は、とりあえずは静観することにした。
人類にとって利益となるか否か、判断を保留にしたのだ。
陽光聖典隊長、ニグン・グリッド・ルーインがもたらした勘違いは、段々と広まっている。
ちなみに遠隔視をしようとして、巫女達が爆発した事件があったが、いつの間にか
トブの大森林、もはやお馴染みの一軒家で、正座させられている骨と子供がいた。
エンリはあの日、遅く帰ってきた二人を叱ったが、深くは話を聞いていなかった。
あれから何度か二人は冒険に出ており、ある日、二人の首のプレートが変わっていた。
冒険者に詳しくは無いが、そんなすぐにプレートが変わるのかと、不思議に思って聞いてみたら、とんでもない内容だった。
「薬草を届けた帰りに、ンフィー君のとこに寄ったら、拐われてて……」
「アンデッドが大量に出て来たから、正面突破した」
「悪いやつらを見つけて、モモンガ様がビビッとやっつけたの!!」
「半裸のンフィーレアを治療して帰ってきた」
「「そしたらミスリルになった!!」」
「分かるようにっ!! ちゃんと説明しなさぁぁぁいっ!!」
トブの大森林には今日もエンリの咆哮が響き渡っていた。