- 住宅街の川の水位を監視するカメラに不正アクセス被害、制御不能に
- 同様の被害は、全国60台以上のカメラに及ぶとされ、カメラはキヤノン製
- 専門家は“推測しにくいパスワードに変更”を推奨
4月26日、埼玉県上尾市の住宅街に流れる川の水位を監視するためのカメラに、突如として「I'm Hacked. Bye2」(私はハッキングされました)というメッセージが表示された。
上尾市によると、何者かがインターネット回線を通じて不正にアクセスし、監視カメラの設定などを変更。そのためカメラは制御できなくなり、画像が正常に表示できない状態とのこと。
上尾市の担当者は「市民の安全を第一に伝えなきゃいけないものが、このような状況になっているのに驚きを感じました」としていて、監視カメラのモニター内で、普段はプライバシー保護のため、隠している部分も見える状態になっていた。
他の場所でも監視カメラのハッキングが…
被害があったのは、上尾市だけではなかった。
千葉県・八千代市でも4月、用水路の水位を監視するためのカメラ3台の内、2台が不正にアクセスされた。同様にシステムが変えられ、正常に表示出来ない状態だという。
八千代市上下水道局下水道課の秋山宏人主査は「カメラが使えなくなっていることで、強い憤りを感じている。ウェブカメラの画像を見て、避難の判断材料にしていたので、ウェブカメラが見えないとなると、住民もかなり困ると思う」としている。
被害はさらに拡大し、千葉県銚子市に設置されている東京電力のカメラでも、不正アクセスの被害が7日に確認された。
スマホもハッキングされる恐れ
一連の不正アクセス被害は、全国で60台以上のカメラに及ぶとみられており、カメラはいずれもキヤノン製で、インターネットを経由して、画像が送られる仕組みだ。
しかし、アクセスに必要なパスワードが、初期設定のままだったこと等が原因で、侵入されたとみられている。
NRIセキュアテクノロジーズ上級セキュリティコンサルタントの野口大輔さんによると
「多くの場合、工場出荷時のデフォルトのパスワードが使われてしまっている。マニュアルは一般にwebサイトに公開してあるのでサイトを見ますと、デフォルトのパスワードが分かる。推測しにくいパスワードに変更するだけで一気に、誰でもアクセスできるという状況じゃなくなる。近年、スマホは利用者が非常に多いので、よく狙われやすいターゲットではあります」とのこと。
IoT、モノのインターネットが盛んに叫ばれる今、外出先からスマホで家電が遠隔操作できる等、便利な生活の裏にも不正アクセスの危険は潜んでいる。
(「プライムニュース イブニング」5月8日放送分より)