歯医者にダマされて はいけない 「削る」「抜く」はもはや時代遅れ 虫歯・入れ歯の常識はこんなに変わっていた

週刊現代 プロフィール

「神経を抜くと、痛みがわからなくなってしまいます。そのため、虫歯の進行に気づかず、わかったときには歯はボロボロで、抜歯するしかないということになりかねない。これを避けるためにも、神経を含めた歯髄は、極力保存したほうがいいのです」

 では、削ったり抜いたりせずに、どのように虫歯の治療をするのか—。左上の表2に掲げた、最新治療法をいくつか紹介しよう。

 まず「削らない」治療の一つには、レーザーで虫歯を除去してしまう「レーザー治療」がある。歯槽膿漏などの歯周病にも活用されており、歯周ポケット内の細菌を死滅させたり無毒化させることで治療する。

 また、オゾンによって虫歯菌を殺し、失うのは最小限に抑える「オゾン治療」や、小さな虫歯を吹き飛ばして治す「エアアブレーション」といった方法もある。それぞれメリット・デメリットや適用範囲があるが、うまく活用すれば、削らないか、最小限のダメージで治療ができる。いずれも、数千円~1万円程度でできるものがほとんどだ。

 次に「温存する」治療には、「歯牙移植」や「再植」といった方法がある。いずれも自分の歯を加工して欠損部分に移植するので、違和感がなく安全などのメリットがある。歯科医療技術の進歩とともに、患者の選択肢の幅は広がっている。

 とはいえ、歯医者の多くは、今もやはり「削る」「抜く」治療が中心だ。

カネ儲けが目的

 現在、歯医者は10万人を突破しており、歯科医院の数はコンビニより多いといわれる。保険診療を主体とした上で、十分な収入が得られるのは、人口10万人に対し、歯医者50人とされている。しかし、現実ではその数は約80人にまで膨れ上がっている。競争相手が増えた歯科業界では今、熾烈な患者の取り合いが繰り広げられている。この現状について、医療ジャーナリストの森田豊氏が解説する。

「歯科業界が、保険診療だけで収入が得づらくなっているのは確かです。

 日本の医療制度は保険診療に重点を置き、誰でもどこでも同じレベルの医療を受けられることをモットーとしています。しかし、歯科の場合、矯正歯科や美容歯科などの自由診療のみに力を入れている医療機関も多い。とはいえ、最初から自由診療のみの治療をすすめてくる歯科医には、疑問を持つべきでしょう」

 また、医療ジャーナリストの田辺功氏も、歯医者とカネの問題について、こう話す。