アメリカで報じられた安倍首相「カジノ疑惑」

日本でのカジノ合法化の裏に何があったのか

アメリカの調査報道機関「プロパブリカ」が報じたカジノ疑惑とは?(写真:Carlos Barria/Reuters)

安倍晋三首相は、かつての日本の指導者たちであれば辞任を余儀なくされたようなスキャンダルや不祥事をうまく乗り越えてきた。が、ここへきて安倍首相の頭上には新たな黒い雲が漂っている――名付けて「カジノゲート」である。

この件には、安倍首相、アメリカのドナルド・トランプ大統領と、アメリカで(おそらく世界的にも)最も強力なカジノ王であるラスベガス・サンズの所有者シェルドン・アデルソン氏がかかわっている。浮かび上がっているのは次の疑問だ。はたして安倍首相は、アデルソン氏と密接に結び付いているトランプ大統領の好意を得ることを視野に、日本でのカジノの合法化を推進したのか、という問題である。

「それはまったく青天の霹靂だった」

現時点では、この疑問への明確な答えはない。しかし、10月10日に公開されたアメリカの調査報道組織「プロパブリカ」の記事(Trump’s Patron-in-Chief: Casino Magnate Sheldon Adelson)は、安倍首相とトランプ大統領を明確に指弾するものだった。同記事は、トランプ大統領が、2017年2月の安倍首相による初の公式訪問の際に、サンズと少なくとももう1つのアメリカのカジノ会社にカジノライセンスを与えるよう安倍首相に働きかけたと報じている。

同記事によると、フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘での会議において、同大統領は、安倍首相に対し、ラスベガス・サンズにライセンスを供与するよう圧力をかけ、もう1つの会社、MGMリゾーツまたはウィン・リゾーツ(情報源が異なる)についても言及した。トランプ大統領からの大胆な圧力は、おそらく安倍首相を驚かせただろう。

「それはまったく青天の霹靂(へきれき)だった」と、この会議についてブリーフィングを行った1人はプロパブリカの記者、ジャスティン・エリオット氏に語っている。この人物によると、「彼らは、トランプ大統領がそこまで厚かましくなることが信じられませんでした。安倍首相は特に返答はせず、情報に感謝していると述べた」という。

しかし、安倍首相は、アデルソン氏とサンズをまったく知らないわけではなかった。同社は、2014年5月に同社が運営するシンガポールの統合リゾートへのツアーを手配するなど、安倍首相が権力に返り咲いて以来、彼に対して直接働きかけを行ってきた。このシンガポールのカジノは日本で推進されたカジノ法のモデルにもなっている。安倍首相は「統合リゾートが日本の経済成長戦略の重要な部分になると思う」と、サンズが宣伝するカジノリゾートのツアー中に述べた。

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  • NO NAMEcbc0c7263343
    日本軍慰安婦制度の強制性は明らかと仰るスナイダーさんの記事だし、きっとこれも事実に違いないなw
    情報源を明かせない友達から聞いたお話と国会答弁が矛盾する場合、ふつーはお友達の話の裏をとって補強材料を探すもんだが、そういうことはしなかったのかなw
    up23
    down5
    2018/10/17 06:09
  • NO NAME3641b88a5b2e
    東洋経済さん、いくら反安倍の記事を載せたいからといって、これはダメでしょ。証拠はないと筆者が言っているのにタイトルにカジノ疑惑と付けたのは、明らかに東洋経済のミスリードです。信用無くすよ。
    up34
    down24
    2018/10/17 06:28
  • 在米50年40b7e26a4a0e
    証拠とは何ですかね。強盗や殺人の話しではないですよ。始めから証拠が有る様ならMEDIAの追求は必要ないでしょう。米国が報じているのですから、10中8〜9信用した方が良いでしょう。大体、tRUMPにGOLF BAGをお土産に持つて行く様な安倍首相,日本国家の恥晒してでしすよ。
    up7
    down2
    2018/10/17 07:51
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