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しかし、私たちの周りにはすでにとても便利な無料サービスがあふれていて、もはやそれらなしにはIT生活ができないほどになっています。無料ではありませんが、スマートフォンだって、利用履歴を取得されるデバイスであることを忘れてはいけません。
私自身、メールはGmailを、検索はGoogleを多用しています。SNSは使わない判断をすれば何とかなるかもしれませんが、特にGoogleに関しては依存度が非常に高いと言わざるを得ません。皆さんもGoogleマイアクティビティを眺めてみれば、その依存度をはっきりと理解できるのではないかと思います。可視化できる仕組みを用意しているGoogleも立派ですね。
そんなことをしているうちに、なかなか面白いページを教えてもらいました。Googleをやめたとして、“次はどうする”というのをみんなで投票する「No More Google」というページです。
例えばWebブラウザの場合、シェアの高いGoogle Chromeの代わりに、FirefoxやVivaldi、Safariがランクインしていますし、あまりに強力になり過ぎたGoogle検索の代わりに、プライバシー保護と非トラッキングを掲げるDuck Duck Goが選ばれています。その他にも、私も聞いたことがなかったサービスがいっぱいあり、試しにWeb解析サービスのGoogle Analyticsの代替として名前が挙がっている「Matomo」(Piwik)を少し触ってみたところ、十分代替になり得るツールでびっくりしました。
企業システムでは「ロックインはよくない」ということが定説になっていますが、個人でもこれは同様です。特定のサービスや企業に依存してしまうと、情報漏えいなどの問題に巻き込まれる可能性が高まります。
幸い個人利用においては、サービスのスイッチングコストもさほどではありません。クラウドストレージサービスの乗り換えも簡単ですし、Webブラウザの変更もブックマークの移行程度で済むでしょう。常に“代わりはいくらでもいる”という状況を作っておくことは、無料サービスを利用する際の「自己防御」として、今後重要になっていくかもしれません。
私もNo More Googleを見てから、iPhoneとmacOSの標準検索エンジンをDuck Duck Goに変えてみました。検索に若干コツがいりますが、思えば昔の検索エンジンは全てこんな感じで、答えが一発で出てくることなどありませんでしたね。少し懐かしい思いを持ちつつも、「一発で答えが出てくるのは、むしろ恐ろしいことではないか」とも感じます。
今、もしかしたら“デジタルの巨人たち”の手のひらに乗せられているかも――そう感じたときには、ぜひ代替案を。変えてみたら意外と快適だった、と感じるかもしれませんよ。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法~1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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