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一方「OS環境とアプリ」については、ズバリ、動作テストを行わずに本番環境をアップデートすることをお勧めします。
本番環境をアップデートといっても、一気に全社へ展開するのではありません。まずはIT部門やITリテラシーが高い(モバイルPCやクラウドサービスなどを使いこなすようなユーザーが多い)営業部門の一部などを先行してアップデートします。こうすることで、技術的な課題やアップデート前にユーザーに周知した方がいい情報などを収集し、後続のユーザー(リテラシーが低いユーザー)への展開を改善していくわけです。
Windows 10のアップデートについては、この「パイロット運用」をMicrosoftは推奨しています。「ドッグフード(犬さえ食べないものは社外には出せない。まずは自分たちで食べてみよ=試してみよ、という意味)」という伝統を持つ同社らしい発想でしょう。IT部門がユーザーへPCを提供する際も、同じようなスタイルが望ましいという話です。
こうした段階的なアップデートの展開は、まず、リテラシーの高いユーザーに協力してもらうことで問題を切り分け、解決を省力化できるというメリットがあります。いきなり全社に展開してしまうと、問題発生時に多数のユーザーから問い合わせが殺到することになりかねません。また、アップデートの時期をグループ単位でずらせるため、容量の大きいアップデータによる、ネットワーク負荷を低減するという効果も見込めます。
ここで注意してもらいたいのが、「テストをしないのはトラブルが起きないから、というわけではない」という認識を全社で持つ必要があるということです。
不具合が起こるのは当たり前であり、その対応は“トライアンドエラー”になります。問題が起こればIT担当者は責任を感じるはず。特に責任感が強い人ほど「テストをしておけば避けられたのではないか」と思うでしょう。そんな形で担当者に精神的な負担がかからないよう、トライアンドエラーを前提とした空気作りを心掛けることが、この運用で最も大切です。
日本人はこういう環境を作ることが苦手な傾向があるので、特に意識する必要があります。これは経営層、つまりトップダウンで行わなければ、まず成功しません。Windows 10への移行を単なるPCリプレースプロジェクトとしてではなく、ITを活用して従業員の生産性を上げていくための、全社の継続的な取り組みだと経営層から発信してもらうようにしましょう。
では、このパイロット運用について、横河レンタ・リースでは具体的にどのようにユーザーをグループ分けして運用しているのか。次回はその方法について具体的にご紹介します。お楽しみに。
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