油圧機器メーカーのKYBは16日、建物の免震・制振装置で性能検査記録データを改ざんしていたと発表した。国土交通省の認定に適合しない製品などを、全国のマンションや病院、事務所、庁舎など調査中を含め986物件に設置していた。国交省によると、震度7程度の地震での倒壊の恐れはない。日本のものづくりで相次ぎ発覚している品質不正問題は、収束の兆しが見えない。
同社の中島康輔会長兼社長は16日の記者会見で「安全性の検証を行い、所有者をはじめ関係者に丁寧に説明していく」と陳謝した。同省は不適合装置の交換や原因究明の報告などを指示。同社は交換する方針だ。
揺れを低減する免震用と制振用のオイルダンパーの2種類。2003年1月~18年9月まで出荷され、不正は15年続いていたとみられる。
免震用は国の認定で性能の許容値が決められている。同社は国より厳しい数値で顧客と契約しており、制振用も契約で性能の数値を決めていた。性能検査で国や顧客企業の数値の範囲内に収まっているように検査データを改ざんして出荷していたという。免震用は全都道府県で、制振用は18都道府県の建物で設置。
18年8月、子会社従業員からの指摘を受け、社内調査を進めていた。
15年に表面化した東洋ゴム工業の免震偽装を規模で上回り、事態を重く見た国交省は免震装置メーカー88社を対象に、改ざんの有無の一斉調査を行う。