日本共産党

□自衛隊をどうする

◇「党綱領改定案」から

 自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる。

関連部分

◇自衛隊の段階的解消

自衛隊の問題です。

 憲法との関係は違いますが、自衛隊の問題にも、解決の仕方には、天皇制の場合とよく似た問題があります。日本の憲法第九条には、日本は戦力を持たない、それからまた、武力行使はしない、武力による威嚇もしない、国際紛争の解決に武力は使わない、こういうことが明記してあります。

 この条項に照らしていえば、自衛隊をもっとも強く擁護する人でも、いまでは自衛隊が戦力であることを否定する人はいません。その点からいっても、いまの自衛隊のあり方、ついに海外派兵までやるようになった現状が憲法違反であることは明らかであって、自衛隊を違憲の存在だとするわれわれの立場は少しも変わりません。

 しかし、これも、日本共産党がそういう主張をし、そういう立場をとっているというだけでは、解決できないのです。

 すでに半世紀、国民は自衛隊とともに生活してきました。“安保条約と自衛隊なしに日本の安全は守れない”ということが、それこそ、国をあげてという形で広められてきました。憲法と自衛隊との矛盾を解決するには、やはり、国民の合意というものが何よりも大事になります。

 私たちはこういう立場で、三年前の党大会で自衛隊の段階的解消という方針を定めました。

 民主連合政府ができますと、安全保障の問題で、まずやることは安保条約をなくすことです。これについては安保条約に規定がありまして、日本政府が安保条約はいらない、廃棄するという日本の意思をアメリカに通告すると、アメリカの同意がなくても一年たったら条約はなくなる、こういう取り決めがあります。この取り決めに従って、廃棄の通告によって安保条約をなくす、民主連合政府はまずこのことを実行するでしょう。それはもちろん、国民の合意がなくてはできません。

 しかし私たちは、「安保条約をやめて、日本の独立を回復しようじゃないか」ということで、国民多数が賛成だということになったときにも、その多数の方が「一緒に自衛隊までなくしちゃおうじゃないか」ということに簡単に合意するとは思っていません。いくら憲法第九条があっても、「自衛隊をなくしてもいいよ」という気持ちに国民がなるには、やはりそれだけの時間と手続きがいると考えています。日本が憲法第九条に従って、自衛隊を持たなくてもちゃんとアジアで平和に生きていけるじゃないか、そういうことに国民が確信を持てるようにならないかぎり、その合意はすぐ生まれるものではないのです。

 だから私たちは、三年前の党の大会で、自衛隊については、「段階的解消」という方針を決めました。軍縮などの措置はすぐにとりかかることができるでしょう。何しろ今の日本は、憲法第九条で軍隊を持ってはいけないことになっているのに、軍隊に使っている軍事費は、アメリカに次いで世界で二番目、そこまで大きな軍隊を持つ国になってしまっているのですから、その流れを、軍備拡大から軍備縮小に切り替える、この仕事にとりかかることが大事です。

 そういうことをやりながら、アジアの平和な関係を築く努力を最大限にやる。東南アジアでは、どんな国際紛争も武力ではなく平和な話し合いで解決しようということが、東南アジアのすべての国の合意になっています。そういう合意が北東アジアに広がり、アジア全体に広がってゆくなかで、私たちが憲法第九条を条文どおりに具体化しても、アジアの国ぐにとちゃんと安心して平和に生きていけるような、そういう状態をつくりあげることができます。その努力を日本が先頭に立ってやる、こういうなかで、憲法の完全実施に向かって一歩一歩前進していこうじゃないか、こういう方針を三年前の大会で決めました。

 そのことを、今度の綱領改定案では綱領らしい形で明記したわけであります。

(「党綱領の改定について」不破議長の党創立81周年記念講演から)

関連部分

「日本共産党綱領改定案についての提案報告」関連部分


もどる

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権について : (c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp