現在、北朝鮮を非核化交渉に引き出したのは、かつて前例のない厳しい制裁が安保理を中心に行われているからだ。この安保理制裁は昨年末から一層厳しくなり、今では北朝鮮に石油1リットル、現金1ドル(約112円)たりとも入らないようになっている。これによって今年1-8月における北朝鮮からの中国向け輸出は昨年の同じ期間に比べて89.3%も減少した。中国政府が明らかにした。北朝鮮との交渉の成果をやたら自慢したがる米国のトランプ大統領でさえ、北朝鮮に対する制裁だけは一切緩めようとしない。トランプ大統領の言葉通り、もし今の制裁を解除するのであれば、核廃棄に向け北朝鮮自ら何らかの決定的な措置を取らねばならない。ところが北朝鮮が自ら保有する核弾頭やウラン濃縮施設などについて一切口にしようとしない今、韓国政府は先に5・24制裁の解除に乗り出そうとしている。韓国政府は北朝鮮の核を本当に廃棄したいのか、あるいはもしかすると北朝鮮の核保有を後押ししたいのだろうか。
5・24制裁解除に言及した人物が他でもない外交長官という事実も非常に不適切だ。外交部は統一部とは違い、韓国政府による制裁解除が北核廃棄や国際社会に及ぼす影響を考慮し、常に慎重な態度を取らねばならない。ところが韓国外交部は「北朝鮮に対する核リスト提出要求の先送り」に言及したかと思えば、今度は5・24制裁解除についても検討すると言いだした。北朝鮮の核廃棄に必要な手続きの先送りと制裁解除を前面に出す韓国外交部の主張は、もはや北朝鮮外務省の主張とほとんど変わらなくなった。