海外で8月に発売し、国内では11月22日にPS4で発売を控える『シェンムーI&II』。本作は1999年の『シェンムー』および2001年の『シェンムーII』を収録した、移植に近い位置づけの再リリース。しかし、当初、セガは本格的なHDリメイクを予定していたようだ。

Eurogamer(およびその傘下にあるDigital Foundry)はあるソースから、『シェンムーI&II』HDリメイク版の開発中映像を提供してもらい、これを分析している。ゲームの環境やキャラクター、それからライティングなどが一新されているが、極めて原作に忠実な内容となっている。キャラクターの頭に文字がついていたり、パフォーマンスが落ちる場面があったり、ゲーム内に登場するアーケード筐体の画面がバグっていたりと、開発中の映像であることがわかる。『シェンムー』の舞台である横須賀だけでなく、『シェンムーII』の香港の映像も含まれているが、クオリティは横須賀に劣る。香港はより大きなフィールドであり、開発がまだ追いついていなかった可能性が高いだろう。

HDリメイクがどのエンジンで開発されていたかは不明だ。近年のゲームで日本の風景を描写した『Nostalgic Train』となんとなく似ていることからすれば、Unreal Engine 4かもしれない。

海外で一足先に発売している再リリースについてはバグが多かった。EurogamerによるとHDリメイクは「中止されるまで、結構長い時間開発されていた」らしい。中止された理由として、開発費用の高さやビジュアルデザインに関するセガの不満などが考えられそうだ。『シェンムー』は――20年弱前の作品とは思えないほど――膨大なスケールのゲームだ。開発の途中で、HDリメイクをするのに時間も費用も足りないことがわかったのかもしれない。また、開発を担当していたイギリスのスタジオが日本や中国の風景を忠実に再現しきれていなかったこともあるかもしれない。とはいえ、今回の映像の出来は申し分ない。

 


EurogamerによるとHDリメイクがキャンセルされたのは2017年後半で、再リリースを担当した開発スタジオと同じd3tが開発していたという。これが事実ならば、プロジェクトの方針が大きく変更してからリリースまでの期間が極めて短く、バグの多さもこれに起因していることが考えられる。しかし、HDリメイクが原作のソースコードで稼働し、アセットが新しく作られただけなのかもしれない。その場合、移植作業が完成した後に、あくまでビジュアル面の方針が変更されたということになるだろう。

ショッキングなニュースだが、日本のファンはひとまず、『シェンムーI&II』が発売する11月22日を楽しみにしよう。

2018/10/16 修正

『シェンムーII』の発売年が間違っていたため、修正しました。申し訳ありません。コメントでのご指摘ありがとうございます。