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スマートフォンの普及が進んでも、パソコンを使った作業はなくならない。代表的なものはオフィスソフトを使った文書作成だ。ほとんどのパソコンにオフィスソフトが入っていて、中でもマイクロソフトのOfficeが依然として圧倒的なシェアを誇っている。米グーグルのG Suiteなど、ライバルのオフィスソフトもいくつか出てきた。しかし、マクロやデータなど過去の資産との互換性などの問題で、マイクロソフトのOfficeの牙城を崩すには至っていない。
プリインストール主流は日本だけ
では、実質的な標準となっているOfficeという製品を買った記憶のある人はどのくらいいるだろう。最初からパソコンにプリインストールされていて、それを当たり前のように使っている人が多いのではないだろうか。
実はこれは世界中でほぼ日本だけの特殊な状況だ。米国をはじめとした海外のほとんどの国や地域ではプリインストールだけでなく、パッケージ版のような買い切りで使うタイプも、ほぼ姿を消しつつある。これらの国や地域で主流となっているのは、毎月あるいは毎年といった単位で利用料金を支払うサブスクリプション型となっている。
日本と米国のマイクロソフトのサイトを見比べると、Office製品のラインアップにこうした違いがあることがよくわかる。ページ全体のデザインは似ているが、「家庭向け」のところを開くとそこで表示される内容は全く異なる。
例えば、日本のページにある「Office Home & Business 2016」や「Office Personal 2016」といったパッケージ製品は米国のサイトには一切ない。代わりに「Office 365 Home」と「Office 365 Personal」という日本のサイトにはないサブスクリプション型の製品が表示される。
さらに、左側に小さく表示されている文字を見ると、日本のサイトにある「Office 2016搭載Windows PC」に該当する表記が米国のサイトにはない。米国で販売しているパソコンでは、Officeはあくまで希望者のみへのオプションという扱い。日本のパソコンのようにプリインストールされているのが必ずしも当たり前ではないのだ。
では、米国などでは新たにパソコンを購入した場合にどうやってOfficeを入手しているのかというと、既に契約したサブスクリプション型Officeのライセンスを使ってインストールしている。もし、ライセンスが足りなければ、サブスクリプション型のOfficeを追加で購入する。
日本以外でサブスクリプション型が主流となったのは、マイクロソフト本社の製品戦略に沿ったものだ。逆に、プリインストールが相変わらず主流の日本のほうが、本社と食い違った戦略を取っていることになる。