1995年に『トイ・ストリー』で、世界初のフル3DCGによる長編アニメーションを制作した(現)ピクサー・アニメーション・スタジオが、本来は、外部企業から発注を受けてCGアニメーションを制作していたディズニーとは、何の関係もない映像制作会社だったということは、有名かと思いますが、その「ピクサー」の会長が、あの「スティーブ・ジョブス」だったということは、あまり知られていない事実ではないでしょうか?(そんなことないか?)
スティーブ・ジョブスは、1985年5月24日の取締役会で、自身が創業したアップルコンピュータから追放されるという憂き目にあっていたが、落ち込んでもいられない。復活を模索し、1986年、あるCG製作専用コンピュータの製造会社に目をつけ買収、その会社を「PIXAR(ピクサー)」と名付け、自らがCEOに就任する。コンピュータの販売実績は、伸び悩んだため、ピクサーの社員だったジョン・ラセター(『トイストーリ』の監督。)を中心に「外部企業へのCGアニメーションのコマーシャル制作」を展開し、1988年の『ティン・トイ』で、3DCG作品として初のアカデミー短編アニメ賞を受賞した。
ジョブスCEO率いるピクサーは、ディズニーとCG長編アニメーション映画制作の契約を取り交わす。そして、共同制作で完成した記念すべき第1作が、あの『トイストリー』なのです。
※一説には、ピクサーと提携したのは、当時ディズニー映画部門の責任者だった、あのジェフリー・カッツェンバーグだと云われており、もしそうなら、カッツェンバーグは、自分が取り込んだピクサーと対決していたということになります。因果ですね。
ここからがスティーブ・ジョブスの本領発揮となるわけですが、ピクサーの快進撃は、止まらず、『トイ・ストーリー』『バグズ・ライフ』『トイ・ストーリー2』『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』の関連収入がディズニーの総売上のほぼ半分を占めるという異常事態が発生。
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2004年、ジョブスは、ディズニーとの新たな提携条件を交渉をスタートさせます。ピクサー有利な状況にも関わらず、ディズニー側は、譲らず、ジョブスの要求を断固拒否します。このときのディズニーCEOが、あのマイケル・アイズナーです。ジェフリー・カッツェンバーグと喧嘩別れし、「ディズニー対ドリームワークスの仁義なき戦い」を繰り広げた、あのマイケル・アイズナーです。
※また、この時期、ピクサー離脱という最悪の事態に備え、ディズニーは、ずっと取り組んでこなかった自社CGアニメに挑戦します。それが、あの『チキンリトル』です。
結局、ディズニーの株主たちは、ジョブスを支持し、マイケル・アイズナーは、任期前倒しで退任。(マイケル・アイズナーに引導を渡したのが、ジェフリー・カッツェンバーグがディズニーに引き入れたスティーブ・ジョブスというのも、重ね重ね因果ですねー。)2006年、ディズニーは、ピクサーを74億ドルで買収し、ディズニーの完全子会社とします。それと引き換えにスティーブ・ジョブスは、ディズニーの個人筆頭株主となり、役員にも就任。(遡ること2000年には、すでにアップルCEOにも復帰しており、同じ年に「ipod」を発表。)スティーブ・ジョブスは、アップル追放というどん底から、再び頂点に上り詰め、余りある完全復活を遂げたのでした。めでたし、めでたし、とっぴんからりせんしょのみ。
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その後、2007年には、iPhoneを発表するなど、時代のカリマスとして世界をリードし続けるも、2003年に見つかった膵臓腫瘍の転移により、2011年10月5日、自宅で亡くなりました。56歳でした。
今回の話とは、別ですが、スティーブン・ジョブスとビル・ゲイツのライバル・ストーリを描いた『バトル・オブ・シリコンバレー』も結構、面白いです。