65歳で再婚→数年後、妻が「財産は半分ちょうだいね」と離婚を要求
定年をすぎて再婚した相手から離婚を迫られているーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
9年前、相談者である男性が65歳で再婚した時は、夫婦共にほぼ年金暮らしでした。再婚後に相続した土地があったので、そこに相続金と今までの貯蓄で新居を構えたそうです。
しかし、再婚相手の女性は、性格の不一致を理由に離婚を切り出してきました。さらに、離婚にともなって「財産の半分」を要求。相談者は、相続した土地に結婚前の貯金で建てた自宅も、この「財産」に入るのかどうか気になっているようです。
結婚前の貯金と相続金で建てた家は、財産分与の対象になるのでしょうか。離婚問題に詳しい山岸陽平弁護士に聞きました。
●土地と家は財産分与の対象にならない可能性も
結婚後に相談者が相続した土地は、財産分与の対象となるのでしょうか。
「結婚している間に相続で取得した土地は、相手方とは無関係に取得したものといえます。そのため、相談者の特有財産にあたり、財産分与の対象財産となりません」
結婚後に建てた家はどうなるのでしょう。
「仮に登記名義が夫婦どちらか一方になっているとしても、結婚中の不動産の取得については、清算対象になるのが基本です。しかし、その原資がどちらか一方のものだということを証明できれば、原資を出した側の特有財産にあたることになります」
今回の相談のケースは、相続金と今までの貯蓄で新居を構えています。
「相談者の結婚前の貯金と相続で入ったお金が原資となっていますが、再婚後の仕事による収入や再婚相手の資金が一切原資になっていない、ということが明らかであるとすれば、家も財産分与の対象にはなりません。
相談者はすでに年金生活とのことですが、年金による収入には再婚後の妻の貢献はありません。そのため、相談者が通帳や預金の取引履歴などでお金の動きを証明すれば、家を財産分与の対象外とすることができる可能性は高そうです」