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桃鉄は運ゲーではない! 桃鉄ガチ勢の犬山紙子さんによる桃鉄攻略メソッドを大公開

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■運ゲー? ふざけんな、桃鉄は詰め将棋だ

前回に引き続き、「マイゲーム・マイライフ」のゲストはエッセイストの犬山紙子さんでした。おそらくほとんどの人の持つ桃鉄の概念を覆すような濃い話が繰り広げられた

今回。犬山さんの語るメソッドで桃鉄をプレイすると、これまでの桃鉄とは世界が変わること請け合いです。「桃鉄は運ゲーじゃない!」と犬山さんは断言。今回の放送後記では、その攻略法をすべて書き起こしました。


宇多丸「犬山さん、最近はカードゲームやボードゲームをやるのがお好きなんですよね。ある意味そのベースになっているものとして(事前に)挙げていただいたのが、桃太郎電鉄といただきストリート」

犬山「はい」

宇多丸「桃鉄って、言っちゃうとユルく遊べるゲームの代名詞と言われがちじゃないですか。だらだらできていいよね、とか、結局運じゃないか、とか。でも、犬山さんはそこに異を唱えていらっしゃる、と」

犬山「はい。ふざけんなよ…(小声で)、あれは詰め将棋だ」

宇多丸「詰め将棋! 桃鉄も戦略なんだ、と」

犬山「えっとですね、5年プレイまではほぼ運です。10年くらいになってくると、どんどん戦略性が増してきて、10年超えたら運とか言ってるのは、“やってない人”だな……って感じがしますね」

宇多丸「戦い方としてはどういう感じなんですか?」

犬山「カード命ですね。“進行系カード”という、『急行カード』とか、『新幹線カード』とか」

宇多丸「どんどん先に進めるやつ」

犬山「はい。(進行系カードを使うと)サイコロが増えるんですよね。新幹線周遊カードとか、急行周遊カードとか、何回でも使えるやつがあるんですよ。一枚でだいたい5~6回使えるのかな。それをカード駅に行って買い揃えると、この駅に行きたいってなったときに、サイコロの数が増えると、その確率を上げることができるんですよ。最終的にはリニア周遊カードというのがありまして、サイコロ5個まで増やせるんですよ」

これ、実際に進行系カードをガンガン使ったことのない人にはわかりづらいと思いますので、どういうことかと言いますと、例えば目的地まであと5マスのところに自分がいるとします。通常、カードを使わない場合はサイコロが一つなので、5を出して目的地に入るには6分の1の確率。
ところが、桃鉄のマップは網の目のようにたくさん枝分かれしていて、目的地までの行き方が何通りもあることがほとんど。例えば、目的地までの5マスの間に、4マス分の回り道があるとしたら、その回り道をぐるぐる移動することによって、サイコロの数字は5だけでなく、9(5マス+4マス)でも、13(さらに+4マス)でも、17(さらに+4マス)でも目的に辿り着けるわけです。回り道のたくさんある入り組んだ場所に目的地があれば、行き方はさらに何通りも増えます。

宇多丸「じゃあどこにいてもある意味、どこにでも行ける」


犬山「そうなんですよ。結構どこにでも行けることになるので、そうなるともう、サイコロの運というよりは、自分は今このターンでどの手を取るか、っていうゲームにどんどんなってくるんです。桃鉄って、目的地に着いてそこでお金もらって、乏神がつかないようにするのが基本的な目的だと思うんですけど、最後のほうは別に目的地とか無視しだすんですよ」

宇多丸「うんうん」

犬山「目的地を無視して、自分は来年の決算に向けて、どこの駅を買い占めると一番儲けが出るか、みたいなところをまわり始めるんですよ」

宇多丸「別に目的地に着くのが勝ちじゃない、と」

犬山「全然勝ちじゃないですね。なので、どこの物件を抑えておくべきかっていうのを、最初に虫メガネを使って駅(で買える物件)を見ます。その作業がめっっっっちゃ楽しいんです(笑)」

宇多丸「まずはどの駅に何があるかを把握する」


犬山「そうなんです。うおおお……ここの収益率80%!!!!! とか。中には200%なんてのもあるんですよ!!! 例えば、青森の五所川原駅とかおいしいですよ」

なお、『桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本!!』における青森の五所川原駅は以下。例えば、1000万円で買える「揚げ鯛焼き屋」を手に入れれば、5000万円の儲けが出ることになります。

やってまれ丼屋/買い値1000万円/収益率 50%
中華ざる屋/買い値1000万円/収益率80%
しじみラーメン屋/買い値1000万円/収益率100%
揚げ鯛焼き屋/買い値1000万円/収益率500%
リンゴ園/買い値8000万円/収益率10%
立ちねぶた記念館/買い値32億円 /収益率5%


宇多丸「へええ~!」

犬山「なので最初に、ここを抑えておこうとかを自分の中でアタリをつけておいて、あと、カード売り場で何を売っているかも把握しておく。これを対戦相手とお互いやります。で、プレイです」

宇多丸「片側だけ犬山さんメソッドでやって、もう片方は薄ぼんやりやっていたらもう話にならないですものね」

犬山「そう、話ならない。あと私、一応フェアな精神で、対戦相手の友達が、そのサイコロのマスだったらもっと有益な選択があるっていうのがわかったら、ちゃんと助言します」

宇多丸「ああ、そこはそうしたほうがいいよ、と。ははは…(すごいな)。でも、聞いてみれば当たり前のことで、言ってしまえば、桃鉄をeスポーツ的に突き詰めているというか。俺いま話聞いてて、桃鉄でさえeスポーツみたく突き詰められるんだ、って」

犬山「突き詰められます!」

宇多丸「eスポーツ的にやるときに、フィールドを把握しないのはあり得ないし、それぞれのところで何が起こるかのパラメーターを把握しないのもあり得ないじゃない? 勝つつもりなら。だから、勝つつもりでやるなら、当たり前のことをおっしゃってるんだけど、たぶんみんな桃鉄は、これね、根本のことを言うと、桃鉄をみんなでやる人の大半は、勝つのが目的じゃないんですよ!」

犬山「えっ!? ……そうなの……?」

宇多丸「みんなでキャッキャやるのが目的だから(笑)」

犬山「えっ!?!?」

宇多丸「勝つに特化した考え方じゃないんですよ、みんな(笑)」


犬山「えっ!?!?!? ……ゲームやるとき、そんな人がいるの!?」

今まで知人との桃鉄温度差に苦しめられてきたという犬山さん。その理由がようやくわかったと言います。それにしても、なぜ桃鉄を「勝負目的」でやる人が少ないのでしょう? 考えられる理由としては、一つには、ぼんやりやっていてもそこそこ楽しいこと。そしてもう一つは、桃鉄って負けたときの心の傷つき方が尋常じゃないからなのではないかと思います。
ひとたび貧乏神がついてしまうとせっかくの独占が崩れ、キングボンビーの被害を受けた日には、借金をゼロにできたとしてもまたイチからコツコツ買い直さなければなりません。「独占」という言い方もまたニクい。独占した駅は、自分の場所! 我が城! と喜んでいたところを、ある日突然、台無しにされる悲しみったらない。故郷の村を、自分の国を、焼き払われたような気分になります。貧乏神、本当に許せない。数あるボードゲームの中でも、負けたときの心の折れ方がここまで大きなゲームってなかなか他にないのではないでしょうか。とにかく天国から地獄への突き落としぶりが容赦ない。友人同士でガチで桃鉄をやると高確率で喧嘩になると言われる所以はここにあります。「桃鉄は一人でやってコンピューターをボコボコにするのが楽しい」という人も少なくありません。
負けたときのしんどさよりも、本気で対戦する喜びを重視する犬山さんは、もともとメンタルが強いのか、はたまた、桃鉄をやり込みすぎて負けの悲しみが麻痺してしまったのか、どちらなのでしょうか……。

ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ

■今回のピックアップ・フレーズ

犬山「やっぱりドラクエとかやってたからか、買い物するときに音が出ますね」

宇多丸「チャリーン! とか(笑)」

犬山「チャリーンとか、『試着しますか?』が『いらっしゃい! 装備していくかい!』に聞こえる、みたいな(笑)」

文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)

 

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【作品情報】
PlayStation®4(PlayStation®VR専用)用ソフトウェア『Knockout League』
©Grab Games, LLC
国内発売日:未定

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