「ありがとうございました!」
店内にハリのある声が響き渡る。開店前に全社員による「声出し」が行われているのは、「串カツ田中 小伝馬町研修センター店」(東京都中央区)だ。
串カツ田中は全国1000店舗体制の確立にまい進しているが、従業員の高い離職率に悩まされていた。そこで、同社は2018年4月にこの“実験店”をオープンした。正式配属前の新入社員を集め、効率的にスキルを習得させたり、同期意識を醸成したりすることで、定着率を上げようという狙いがある。
外食チェーンだけでなく、日本企業は慢性的な人員不足に悩まされており、新入社員の定着率向上は大きな課題だ。イマドキの若者は何を考え、どんな悩みを抱えているのか。串カツ田中の取り組みから探っていきたい。
開店前に研修センター店を訪れた。記者は何度か串カツ田中の店舗で食事をしたことがあるが、基本的な内装は他の店舗と大きく変わらない。
ちょうど休憩時間だったこともあり、新入社員はくつろいだ表情で談笑していた。年齢が近いせいか、会話の内容だけを聞いているとサークル活動に取り組む大学生のような印象を受けた。
ただ、冒頭で紹介した声出しが行われると雰囲気は一変。新入社員は真剣な表情でそれぞれの持ち場について、開店準備を始めた。
開店直後、同店を訪れたお客に話を聞いてみた。研修センター店を初めて訪れたという女性客は「元気があっていいですね」と働きぶりを前向きに評価していた。注文をとったり、料理を提供したりする姿にはややぎこちなさが見受けられるが、接客に関して特に大きな不満はないようだった。
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