独バイエルン州で与党CSUが大敗 メルケル政権にも打撃
ドイツ南部バイエルン州で14日行われた州議会選挙は、出口調査の段階で、アンゲラ・メルケル政権で連立与党を組むキリスト教社会同盟(CSU)が大敗を喫したもようだ。
CSUは、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党。CSUは第一党を維持したものの過半数を割る見込みで、メルケル政権に大きな打撃となる。
CSUの得票率は38%と、4年前の前回選挙から10ポイント低下した。同党は1957年以降、ほぼ一貫してバイエルン州で過半数議席を維持していたが、移民問題などで支持を失った。
ホルスト・ゼホーファー党首は「きょうは良い日ではなかった」と述べた一方、「これはコインの片側に過ぎない」と強調。投票結果によってCSUは、バイエルン州で新政権を樹立する「明確な信任」を得たと自身を示した。
2位には緑の党が躍進し18%。3位は独立候補らのグループが食い込んだ。
反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は10%で4位となり、初めて同州議会入りした。
一方、連立与党の一端を担う社会民主党(SPD)は5位に転落した。得票率は10%以下と、前回の半分以下だった。
SPDをめぐっては、党の立て直しを図るために政権を離脱するとの予測もある。
アンドレア・ナーレス党首は今回の結果について、連立内での不和が原因としている。
バイエルン州とは
- ドイツ16州で最も広く、人口はおよそ1300万人
- 州都のミュンヘンは、ベルリンとハンブルクに次ぐドイツ第3の都市
- 国内総生産(GDP)はドイツ16州で第2位
- 伝統的に保守的な地域で、キリスト教のカトリックや地域の伝統が強く残る
- 自動車産業やIT産業が盛ん。家族経営の企業も多い工業地帯
CSUに何があった?
ドイツ東部で支持を集めているAfDは、バイエルン州でもCSUから多くの有権者を奪ったようだ。
しかし、AfDが強硬政策を掲げる移民などの問題にとどまらず、CSUは中道寄りの有権者からも支持を失ったようにみえる。
同州のマルクス・ぜーダー首相(CSU)は、出口調査の結果は痛手だが、CSUはここから学んでいかなければならないと指摘した。
「バイエルン州と社会、両方で起こっている変化を分析しなくてはいけない」
「今我々が抱えている最も重要な仕事は、この州の安定性、統治性、そして現状の強さを維持することだ」
国政にはどう影響する?
数カ月前に辛うじてCSUおよびSPDとの連立を成立させたメルケル首相にとって、両党が大敗を喫した今回の選挙結果は大きな打撃だ。
BBCのジェニー・ヒル記者は、この選挙は欧州の多くの大政党が抱える問題がいかに複雑かを表していると指摘した。
極右の台頭だけではなく、有権者が少数派政党や新しい動きを好み、大政党から離れている現状があるという。
右寄り姿勢が仇に ――ジェニー・ヒル、BBCニュース(バイエルン)
アンゲラ・メルケル氏の姉妹政党CSUにとって、14日は最悪の夜だった。
CSUは何十年にもわたり、保守的と言われる地域で主導権を握っていた。しかし、目立つ形でメルケル首相と対立するなど、移民問題への強硬姿勢や政策が、今回は仇となってしまったようだ。
しかし、CSU敗北はメルケル氏にとっても耳の痛いニュースだ。バイエルン州で見られる伝統的な中道左派および中道右派政党の弱体化は、国政レベルの現象を反映したものだからだ。
今後の行方は、2週間後のヘッセン州議会選挙にかかっている。メルケル首相率いるCDUも支持を失っている。CDUのアンネグレート・クランプ=カレンバウアー幹事長は、バイエルン州の選挙結果は警告だと述べている。