【芸能・社会】内田裕也「動揺うれしかった」 最後の“夫婦共演”映画2018年10月15日 紙面から
ロック歌手の内田裕也(78)が14日、京都市のよしもと祇園花月で、最終日を迎えた「京都国際映画祭2018」のトークイベントに登場。自身のドキュメンタリー映画「転がる魂・内田裕也 ザ・ノンフィクション」(崔洋一監督)の上映後に舞台あいさつに立った。同作は先月亡くなった妻で女優の樹木希林さんがナレーションを務めるとともに、インタビューにも応じ出演している。内田は「スクリーンを見ていてうれしかった。ありがとう」と最後の“夫婦共演”に感謝した。 ドキュメンタリー映画は、昨年末に行われた「ニューイヤーズワールドロックフェスティバル」に取り組む内田の1年間に密着しながら、波乱と矛盾に満ちた人生を振り返る。今夏にフジテレビ系で放送された番組に一部加工して製作された。 内田はトークイベントに車いすに乗り、崔監督とともに出席。トレードマークのサングラスはもちろん、上下を黒の衣装で固め、黒の帽子に赤い靴下で登壇。イベント前の上映を、崔監督とともに客席で見守った内田。「照れながら拝見した」と言うが、崔監督によると、声を出して笑っていたという。 「ちょっと声が出にくい状態」と言い、かすれ声であいさつしながらも「まっ、一杯飲めば治るんですが」と変わらぬ裕也節で会場を沸かせた。 内田と樹木さんは劇中では、今回あらためて一緒にカメラの前に立つシーンはなかったが、樹木さんはインタビューで内田の人柄にも言及。内田について「本当に不思議で分かりづらい人、なおかつ分かりやすい人。この世の矛盾を説明するなら内田裕也。それは私の夫」などと樹木さんらしい言葉で表現。内田は樹木さんの話になると神妙になり「先日他界した樹木希林さんが出ていたので、ちょっと動揺を隠せなかったんですけど、スクリーンを見ていてうれしかったです。ありがとう」と亡き妻に感謝した。 映画については「感無量で見た。今後のおれのロックンロールライフにとても大きなパワーになる」と自信を見せていた。 ◆「裕也さんに『面白かったわね』と伝えました」樹木さんは7月にナレーションの収録を行い「私の最後のナレーション」と“遺作”になることを覚悟していたようだった。劇中で「今までの人生、上出来でした。私はふっとおいとまするかもしれませんが、裕也さんには『面白かったわね』と伝えました」と語っている。 樹木さんは崔監督からのオファーを快諾。非常に機嫌良く収録に臨んだようで「なんなら(内田と)2ショットのインタビューもOKよ」とジョークも飛ばしていたという。崔監督は「2人にしか分からないこともある。四十数年、別個に生きているけど同時に共に生きているような感覚があったのでは」と独特の夫婦関係を推測した。
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