骸骨道中膝栗毛   作:おt
<< 前の話

19 / 19
前回のあらすじ

デミ「慎んでお悔やみ申し上げます(火葬)」
➡カジット=灰

パンドラ「ザオリク」




17#それぞれの楽しみ

 

「パンドラ殿…非常に助かりました。パンドラ殿の協力によりアンデッドや悪魔どもをエ・ランテルから駆逐しつつ、首魁ヤルダバオトを討つことが出来ました。」

 

闇の神官長は最敬礼に近い角度で腰を曲げ、礼を述べる。

 

その態度には非常に強い敬意を感じるが、対象は闇の神官長マクシミリオンの目の前で佇む軍服の男ではなくもっと別の人物に捧げられている様に感じる。

 

「いいえぇ~礼には及びませんよ!この世界に迷い込んだ私達を!!拾っていただいたことへの感謝の現れだと受け取って下さいご老人。」

 

マクシミリオンは生来、物静かな男であった。子供のころは口数が少なく、本ばかり読み過ごすようなおとなしい少年であった。それは、人類の守り手たる立場になった今では多少なりと変化したかもしれないが本質は変わらない。

 

つまり、この男のオーバーアクションには非常に辟易していた。

未だに真面目に喋っているところを見たことがない。

 

「そ、そうですか」

 

この生返事の後に、困ったような苦笑いをすることがこの従属神パンドラとの会話の常になっていた。

 

マクシミリオンは逃げるように視線をパンドラの後ろにシフトする。絶世の美女が寝息をたてながら寝ている。

このあたりでは見ない下は赤、上は白の装束を見に纏う女。その姿は絶世の美貌と伴い非常に神秘的だ。

 

例え、お腹を出しながら形容しがたい寝相で寝ていてもそのミステリアスさは変わらない。そう例え、出た腹の上に右手を乗せ左手をだらしなく休ませている休日の父親スタイルだろうと。

…いや、あそこまでだと多少は評価は下がるが1万点から2、3点引いたところで大差はないだろう。

 

気を取り直すために、マクシミリオンは咳ばらいをする。

 

「しぃかしぃ!!あなた方の戦力である陽光聖典でしたか?彼らをエ・ランテルに派遣する必要はあったのですか!!?Wirklich(本当に)?」

 

しかし、そのタイミングで目の前の従属神パンドラが質問をする。こういう空気が読めていないところも非常にイライラする。ここまで被るとわざとではないか疑ってしまう。…まあ、話している限りそこまで頭が良い様には見えないので、これが素なのだろう。

 

「ええ、あなた方は大切な客人…私達も働かなければ負担をかけすぎてしまうと考えた次第です。」

 

やはり、この男は無知である。とマクシミリオンは再認識する。普通に法国の実情を考えれば異業種と表立っての共闘などありえない。

 

エ・ランテルは法国の人間によって救われるべきなのだ。

 

(しかし、接触早々この部屋に軟禁。最低限の情報しか与えていない状況では仕方ないかもしれんな…かの神スルシャーナ様と酷似した主を持つ従属神。無下には扱えんが手放しで歓迎するのも難しい…)

 

「それは、感謝!!感激ですなぁ!!今は熟睡していますがオーレオール殿にもマクシミリオン殿…ひいては!!法国の皆様の心づかいを私から話しておきますよぉ!!」

 

「いえいえ、こちらとしてもあなたがたとのコネクションは大事なのです。まだ見ぬ神の心象は良くありたいものでありますから」

 

 

「終わりましたー?」

 

オーレオールが寝返りをうち、顔をパンドラの方に向ける。

 

「ええ、問題なく。睡眠不要の指輪を着用しているあなたに寝たふりを強要するのは心苦しいですが…もしかして、あなた、指輪外してます?」

 

オーレオールがバツの悪いように舌を出して笑う。俗にいうテヘペロである。

 

「道理で起きるのが遅いと思いましたよ…まあ、ストレスを貯めるのは良くないですからね。睡眠も決して悪いとはいいません。言いませんがね。私に一言かけてくれるとありがたいですね。今回は問題ありませんでしたが油断は致命的な隙を生みます。この国のものは脆弱でもワールドアイテムも所持していますし、タレント・武技等のユグドラシルにはない能力も存在するのですよ。せめて報・連・相を怠らないようにしていただいて…」

 

ふぅとパンドラは肩をすくめて、話を打ち切る。オーレオールが多分聞いていないと察したからだ。

 

彼女への話し方で大事なのは三行で喋ることである。多分、それ以上は聞いていない。

 

「まあ、私に一言頂ければある程度のことは問題ありませんよ…」

 

「了解しましたー!」

 

(返事だけはいいですね…まあ、落ち込まれてもこまりますし、このくらい能天気の方が接しやすいですかね)

 

「まあ、軒並み私の作戦通り言っています。法国は私達を御せる愚者と考えているはずですし、モモンガ様の存在を仄めかしているこちらに危害を加えることはできない。」

 

名探偵のような雰囲気を醸し出し、パンドラは言う。確かに仕草や言い方は格好いい。…しかし、卵頭がなにを言っても普通に痛いという感想しか湧かない。

 

「ヒュー!!パンドラ様は知謀の王モモンガ様の作り出した直轄の部下。その方を馬鹿って思う馬鹿はどこのどいつです?」

 

「ん~!!仕方ないですよ…彼らには私たちの踏み台になってもらうのですから。そう、至高の御方々に会うためのねキリッ」

 

「パンドラ様格好良すぎる~!!ははっはっはははは!!!」

 

お前らは宴会でもしているのかというテンションだが素面である。この組み合わせだからこそのテンションであるのだが。

もし、ここにもうひとりNPCがいたら先程のマクシミリオンのように乾いた反応が返ってくることは想像に難くない。

 

「私は、どうすればいいんじゃ…?ヤルダバオトとは別の意味で胃がやられそうなのだが…」

 

というか、こんな反応しかできない。そう言いたげにカジットは困惑を伝える。

 

「パンドラ様―。おっさんが何か言いたげですよ」

 

「ああ、すいませんね。完全不可知化を解くの忘れてました。」

 

オーレオールがカジットの完全不可知化を解く。

 

「わしを復活させ、さらに法国から完全に隠蔽する能力…ありえざる力だ。おぬしらやヤルダバオトを見ているとわしがちっぽけな存在に思えてならんわい…」

 

「まあ、エルダーリッチになりたいって夢は小さすぎですよねー。あんなんになったら皮膚ボロボロになりませんか?」

 

「まあまあ、オーレオール殿…彼はエルダーリッチになってからが勝負みたいな所がありますからね…ではカジット殿、ヤルダバオトの詳細の続き聞いてもよろしいですかな?」

 

卵頭の異形は異様に長い指先をカジットに向けた。

 

 

「なるほど…なるほど。もう結構ですよ」

 

5分ほどの短い間、カジットは2、3の質問をされただけだったがひどいプレッシャーに襲われていた。

 

接し方に悪意はないとはいえ、相手はのヤルダバオトに匹敵するであろう存在である。

生き返ったばかりだが情報を吐き出した後は用済みと、殺される可能性は非常に高い。

 

そして、目の前の男の“お前は用済み”ともとれる言葉。カジットの感覚では、胃はもうひっくり返ってる状態に陥るまでの半端ではないストレスである。

 

(髪は剃っておいてよかったやもしれん…徐々に禿げていく自分などみたくないわい)

 

半分以上、覚悟を決め悟りの境地に入りかけていたカジットは「あの時なら自力で死者の大魔法使いになれた」と後に語る。

 

「ええ、もう帰ってよろしいので…ああ、確か手段がないのでしたっけ?」

 

パンドラの言葉に「ん…?」となる。聞き間違いだろうか?あっけにとられている間に目の前の異形の体が変化する。

 

死者の大魔法使いのような外見に変わったのだが、押し寄せてくるプレッシャーや豪華すぎる装備から、そんな生半可なものではないことを理解する。

 

死者の大魔法使いはこの世界において強者の一角を担う存在である。そんな存在を生半可と評価を下すほどカジットは目の前の存在に畏怖した。

 

「ああ…お美しいです。できるのであれば、もう一度その玉体をお目にかかりたいです…

…しかし、パンドラ様―。リアリティを出すためとはいえ絶望のオーラはやりすぎでは?」

 

「いいんですよ!お嬢さん変身において大事なのはリアリティ!!しかも、安全に考慮してほんの一瞬しか開放していないですから!!」

 

「早速、リアリティぶち壊してますよ…」

 

「それでは…上位~転移(グレイタ~テレポ~テイション)!!」

 

 

「知っている天井だ…」

 

カジットはむくりと地下特有のヒンヤリとした床から背中を起こす。

 

(今までのは夢ではない…な。これからどうするか…)

 

カジットは不思議と、今まであった母親への復活の思いが薄くなっていることに気づく。

そして、なんだか憑き物が取れた様に長年悩まされていた体のダルさもない。

 

むしろ、なぜいままで何十年も前に死んでしまった母親に固執していたのか疑問すら湧いてくる。

 

(なんだか、生まれ変わった気分だ…今から人生をやり直すのも良いかもしれん…)

 

ポジティブな妄想は止まらない。

 

(店主や学者、役人になってもいいかもしれんな。体は…胃以外は痛いところもない。すこぶる快調だ)

 

カジットは抑えきれない鼻歌を歌いながら、崩壊したエ・ランテルに向かう扉に軽い足取りで向かっていった。

 

「質問を切り上げるのはやくないですか?まあ、今回は私でも色々読み取れましたからねー。パンドラ様はあれで十分だったってことですよね?」

 

「…ほう。あなたカジットの話聞いていたんですか?」

 

パンドラが意外という仕草をオーバーにとる。

顔が変化しないのでアクションがオーバーなのだとオーレオールは納得することにした。

…多分違うけど。

 

「失礼ですねー。ちゃんと聞いてたじゃないですか」

 

「いや、あなたの場合聞いてはいても聴いてはいないので…」

 

「いいですか。あいつの話で重要なのは憤怒の魔将の召喚と低位悪魔召喚の下りです」

 

自分の性格の痛いとこを突かれたのでオーレオールは、自分の見解を話し始める。

 

「パンドラ様の調査結果によるとこの世界は、人間はおろか異種族も激弱とのことでした。そんなところに憤怒の魔将を召喚できる実力者がいるのは明らかに不自然ですよね!」

 

オーレオールが得意げな顔をしながらボディーランゲージを大げさに織り交ぜて喋る。

 

「他のプレイヤーの可能性もあります!確かにあります!しかし、私はこれはウルベルト・アレイン・オードル様のなされたことだと推測します!」

 

「ふむ…なるほど」

 

希望的観測が大を占めている気がしないでもないが、悪い推測ではない。しかし、真実を知っているパンドラはその可能性は限りなく低いことを知っている。

 

「うーむ。確かにウルベルト・アレイン・オードル様であれば!!可能な御業ですね!!…ですが、私はウルベルト様が創り出したデミウルゴスの可能性が高いと考えています。」

 

パンドラが手を後ろに組み、ぐるぐる歩き回る。考え事をしている某警部を意識しているのだろうがオーレオールにそのネタは通じない。

 

「デミウルゴス…様って…確か第七階層の守護者でしたっけ?私、名前は知ってるんですけどあったことないんですよねぇ…守護者の方でしたらヴィクティム様とパンドラ様くらいしか面識ないんです」

 

「ええ、私も面識はないです。んん~!!しかし!!今回の件はウルベルト様が動いてらっしゃるにしては、どうも回りくどい面が目立つ気がしてなりません。それに…」

 

ぴたっと歩みを止め、人差し指を天井に向けてポーズをとる。

 

「ヤルダバオトが憤怒の魔将でない…黒幕の存在があるというカジットの証言に基づくならば!!彼は騒ぎ自体を起こすことが目的の様に感じますねぇ。ええ。」

 

「デミウルゴス様は騒ぐのが好きなんですかね?」

 

オーレオールの脳内ではっぴを着たお祭り男的な守護者像が出来上がる。守護階層もあいまり、凄く暑苦しいイメージだ。

 

「いえいえ、騒げば目に留まるでしょう。現に私達はこの騒ぎに違和感を覚えています…」

 

「つまり、今の私たちの方針とは逆…とにかく騒いで探し人をみつけるとのことなのでしょう。しかし、困りましたね…」

 

「あーなんとなく分かりましたよー。至高の御方々の能力を使ってデミウルゴス様を見つけても…本人か分からないのは困るってことですよねー?」

 

「直接会うしか確かめる方法はありませんからね…Ich war in Schwierigkeiten.…」(困りましたね)

今、派手に動くわけにはいかない。パンドラの動きを制限している要因。それは…法国のワールドアイテムだ。

 

宝物殿領域守護者であるパンドラはワールドアイテムの強大さを強く理解している。

よって、動くのは十分すぎるほどの情報を集めるか。ワールドアイテムを所持するか。

 

それが達成できるまではこの世界では、ほぼ完ぺきな防御であるここに引きこもるのが最適なのだ。

 

例え、モモンという創造主に近い名をもつ人物の情報を得たとしてもである。

 

(救国の英雄モモン…そして連れ合いのナーベはポニーテールの魔法詠唱者とコキュートスという人間。ある程度、異なる部分はありますがこれは…)

 

パンドラはオーレオールを横目で確認する。もし、この情報を話せば彼女は制止を振り切り聖王国という場所に向かうだろう。しかし、それは危険すぎる。

 

パンドラはナザリックの宝物庫の管理者。ワールドアイテムの強力すぎる威力への理解はNPCでも随一である。

だからこそ、主がいるかもしれない地に動くことが出来ないでいるのだ。

 

「まあ、王国を捜索してそれらしき影があるのであれば私が隠密に接触しましょう。

しかし、デミウルゴス様の作戦が成功したにしろ失敗したにしろ…もう王国以外に移動してそうですけどね…」

 

「まあ、人探しが本命なら見つからなかったら、別の場所いきますねー。成功しても騒ぎ起こしたところには留まらないですよねー普通。」

 

「さて!引きこもるのは我らの得意分野!!領域守護者2人の力をもってしてデミウルゴス様と想定される人物の捜索を開始しましょう!!」

 

「人をニートみたいに言うのはどうかと思うんです。私こう見えて結構、働いていたのに…」

 

パンドラはオーレオールの愚痴を努めて無視した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆

 

山肌が顕わになっており一面ほぼ茶色の土地。――トロールの王国。大陸中央に位置するこの国は活火山が多く。この地点もところかしこから煙が立ち込めている。

 

「おい!シャルティア!!このきのこもうまいぞ!!」

 

そんななか、全身黒装束ではしゃぐ男と全身ボールガウンの女。時代も国もましてや背景までちぐはぐな光景である。

 

「この七輪?というアイテムは不思議でありんすね。きのこを焼くのであれば直接焼けばいいでありんしょうに」

 

「分かってないなぁーシャルティア。こういうのはじわじわ焼けるからうまいんだぜ」

 

「おお!至高の御方は、料理にも精通しているのでありんすね!!」

 

「これは、料理というのか?男飯にすらならんと思うが…しかし、普通に焼こうと思っても焼けなかったのはなんでなのかな?」

 

弐式炎雷も最初は、拾ったキノコを普通に焼いたり調味料をかけたりしようとしたが…

 

(なぜか、尽く失敗。焼けこげたり、醤油は味付け濃かったり…なんでこんなことができないのかね…)

 

シャルティアも同じようにキノコを焼くことすらできず、どうにかならないか試行錯誤した結果、現在に至る。

 

(敵を煽るためにアイテムBOXに入れてた七輪と醤油がこんなところで活きるとは人生わかからんもんだな)

 

昔、pkkをアインズ・ウール・ゴウンのメンバーでしている時に捕縛した相手の前で七輪でサンマやマツタケを焼いて相手を挑発することが、なぜか流行った。

七輪から大量に発生する煙をうちわで浴びせられた敵からは何だかわからないがやるせない気持ちになるという感想をいただいた煽りだ。

その時に持ち歩いていた名残だが運が良かった。

 

この煽りは男同士のふざけ合いの産物だが、結局ぶくぶく茶釜の「意味わかんね」の一言で冷静になり二度とやることはなかったものである。

 

(…あー人生は多分終わってるからゴーレム生かな?)

 

醤油をいれた皿にきのこをつけて頬張りながら、考える。自分の体が人間でないことには驚いたが、それだけだった。

普通生まれるはずの後悔などはなく、体のどこにも違和感がない。むしろ生まれた時からこの体だったような気さえする。

 

結果、別にいいか。と考えを放棄した弐式炎雷は今の状況を楽しむことに徹している。

 

「シャルティアはキノコ嫌いか?あんまり食べてないみたいだけど?」

 

自分だけ食べるのも悪いと思い、シャルティアにもキノコを進める。

 

「そうでありんすね…嫌いというわけではありんせんが、弐式炎雷様の御食べになっているものをもらうなど浅ましいマネはできんせん」

 

どことなく、シャルティアの対応が硬い気がする。

 

(シャルティアにとって俺は、親の友達ってとこか?んー?確かに微妙な関係だな)

 

久しぶりに会う親戚への対応などは硬くなるしこんなものかと弐式炎雷は考える。

実際のNPCの至高の御方への態度は、親戚に向けるレベルではないが弐式炎雷は知らない。

 

しかし、これから一緒に旅をしていく仲なので是非とも仲良くはなっておきたい。

 

「おーいシャルティア!だったらこれならどうだ?ほら、あーーん」

 

弐式炎雷がふざけた顔でシャルティアにキノコを掴んだ箸を近づける。

 

ぴたっとシャルティアの体が固まる。顔はなにやら葛藤しているようで百面相のようにコロコロ表情が変化する。

 

「いいんですよね…?」

 

シャルティアが唾をのみこみ、間違った廓言葉ではない普通の喋り方で許可をとる。

 

弐式炎雷もなんかおもっていた空気よりも非常にシリアスになったことに戸惑う弐式炎雷。しかし、そこは適当な男。「…ああ」と深刻そうにトーンを落としその空気に合わせる。

 

その後、キノコを食べさせてもらったシャルティアはたいそう喜び二人の空気は若干打ち解けたものになったとさ。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

気まずい。

腕を組みながら二人の部下を見ていたモモンガの気持ちはそれの一つしかなかった。

 

いままで、3人で密室にはいることは幾度とあったのでこのシュチュエーションが気まずいわけではない。

 

しかし、いままでは作戦の確認や反省会等の会話をして過ごしているうちに次の行動の時間が来る。というパターンが多く事務的会話が尽きることはなかった。

馬車はまだ帝国に到着する気配はない。

 

つまり、この世界にきて初めてモモンガ――鈴木悟のコミュ力が試される時が来た。来てしまったのである。

 

(うう…気まずい。もうあれこれ30分近く会話がないぞ。やっぱりこれって、上司である俺が話を振らないといけないのか?…でなんの話をすればいいんだ?ナザリックの話を振って地雷踏んでも困るしなー。そうだ!寝たふりは…できねぇー!!そういえば俺アンデッドじゃん!!)

 

一応、沈黙が始まり15分目くらいからモモンガは同じ様なことを考えてはいた。

しかし、堂々巡りしている。

 

(早く帝国についてくれないかな…こんなことなら聖王国から馬車なんて借りるんじゃなかったよ…)

 

モモンガはこう考えるが、馬車を借りなかったとしても聖王国から一瞬で遠く離れた帝国に行くわけにはいかない。

結局、この沈黙空間は遅かれ早かれ訪れていただろう。

 

そろそろ沈黙が始まり40分になる。そろそろ、いったん会話を挟みたいところだが…

 

(考えろ、考えるんだモモンガ!なにか、転移後に気になったことはないか…そうだ!!)

 

「おほん…そういえばだ。すこし気になったのだが、私と守護者統括アルベドは恋人関係なにょか…なのか?」

 

(なんで噛んじゃうんだろ…)

 

モモンガはオルランドの部下の質問に返したナーベラルの回答に引っかかっていた。

 

ユグドラシル終了の直前、玉座の間でめについたアルベドの設定を三人で見た時。

長文+ビッチの一文はあまりにもひどいという意見が持ち上がった結果、主に弐式炎雷と建御雷によって最後の一文を“モモンガを愛している”に変換したのは、モモンガとて覚えている。

 

(まさか、こんなことになるとは思わなかったしな。ユグドラシルを友達と過ごせてテンション上がっていたとはいえタブラさんには申し訳ないことをしてしまった…)

 

つまり、設定を変えたのはこの世界に来るほんの数分前である。

しかし、ナーベラルはモモンガとアルベドが恋人関係にあると言い切っていた。

そこに引っかかりをモモンガは感じたのだ。

 

「正直、私ニハ御二人の関係ヲハッキリトハ分カリカネマス。シカシ、アルベドガモモンガ様ヲ愛シテイタノハ事実デショウ。」

 

「もももももモモンガ様とアルベド様は恋人同士ではなかった…?なのに私はあんなことを…大変失礼いたしましたモモンガ様!!この命で謝罪を!!」

 

「お、落ち着けナーベラル!!」

 

ナーベラルを宥めて話を続ける。

 

「まあ、今回はすぐに自害を行動に移さなかったことだし良しとしよう。ナーベラル、自ら命を絶とうとするのはよせ…これは命令だぞ」

 

「承知いたしました。慈悲深き御方!!」

 

(ふうむ…NPCの間ではアルベドが“モモンガを愛している”というのは理解しているが、俺がアルベドを愛しているのかはわからない。…つまり、同じNPCであるアルベドのことは知っているがプレイヤーである俺のスタンスは理解できていないというところか)

 

どうやら、設定を変えれば一瞬でNPCの間ではそれが共有されるらしい。

 

「シカシ、モモンガ様。アルベドト恋人同士デナイノデアレバ、ナーベラルト恋人役ヲサレルノハドウデショウカ?ナーベラルモコノ地ニキテカラ成長シテイル様子…モモンガ様ヲ満足サセルダケノ演技ガデキルノデハ…ト愚考シマスガ」

 

(えっ!?そういう感じの流れになるの!?)

 

「い…いやしかし、こういうのはナーベラルのも気持ちも大事じゃないか?それに」

 

「私は全く問題ありません!!」

 

ナーベラルが自分のもてる最大限のキリリ顔して言い放つ。

 

「そっ、そーなのか?」

 

「はい!伏して!伏してお願いいたします!!」

 

「ちょっと待て!分かった!分かったから土下座しようとするな!少し頭を整理させてくれ」

正直、ナーベラルと恋人役をするのはモモンガとしては問題ない。

しかし、ナーベラルに演技ができるのか?

 

(まあ、コキュートスの推薦もあるしな…それにNPCが俺に提案をしてくるなんて!いい傾向じゃないか!)

 

思ってもみなかったコキュートスの提案にモモンガのテンションが上がる。

 

「うむ!一度、こちらから提案したこともあったしな!問題ないんじゃないか?」

 

コキュートスとナーベラルの顔色が明るくなる。

効果音が付くならパァァァと欲しそうな明るさだ。

 

「デシタラ、練習が必要ナノデハナイデショウカ?オ互イデ、恋人ノ紹介ヲシテミテハ?相手役ハ私ガ請ケ負イマスノデ!」

 

(コキュートスノリノリだな?しかし、俺なんかと恋人役が出来たところでナーベラルも嬉しいのか?中身骸骨の中年だぞ?)

 

(まあ、それだけ創造主のことを尊敬しているということか。幼い娘がパパと結婚する~~とか言っているのと同じようなことなのかな?)

 

結婚したことのない鈴木悟はそう結論をだす。

 

「そうだな。…オホン!えー初めてまして。コキュートス殿。私はモモン。そしてこちらは婚約者のナーベです。」

 

その瞬間、馬車の中が静まり返る。

 

「あ…あれ、なにかおかしかったか?」

 

「モモンガ様。今ナーベラルを婚約者と…?」

 

「あっ!あージョークだぞ!!そんなに真剣に受け止めるなよ!!」

 

(あっ危ねぇ~。ついポロっと間違えてしまった~!!これ、セクハラ案件か?というか自分を愛している女がいるのに、サラッとこんなことするって軽い!!NPCにチャラ男のレッテル貼られてしまう!!)

 

「ふっ、咄嗟の私のアドリブでも淀みなく流せるようにならなければならないぞ二人とも。私はお前たちに成長を望んでいる。」

 

「ハッ!!失礼シマシタ!次カラ気ヲツケマス!!」

 

「はい!!御身の期待に沿えるように努力します!!」

 

(ごめんよー二人とも。そんなに力入れて返答しなくていいんだよ。ただの照れ隠しだから!)

 

「では、改めて…初めまして。コキュートス殿。私はモモン。こちらは恋人のナーベです。」

 

「ヨドミナク、自然ナ紹介デゴザイマス。全ク、問題ナイカト。デハ次ニナーベラルノ番ダゾ」

 

ナーベラル・ガンマは感謝していた。

自分を創造してくださった弐式炎雷様。この世界で自分に従者の一人として付き従えてくださったモモンガ様。そして、この配役まで辿り付かせてくれたコキュートスに。

 

深く、深呼吸をする。体が熱い。期待に応えるためにもこの練習で躓くわけにはいかない。

いつもの自分であれば、緊張しセリフを噛んでしまうのは決定された未来であっただろう。

 

しかし、かつてないほど思考は冴えわたり力がみなぎってくる。もしかしたら、自分はこの瞬間の為に生み出されたのではないかと考えてしまうほどである。

ナーベラルの目がカッと見開かれる。

 

「コキュートス様、初めまして。私はナーベと申します。そしてこちらは婚約者のモモンさんです。」

 

全然、ダメでした。

 

 

「私は、ナーベラルの新鮮な一面が見れて良かったと思うぞ。だからな…そう落ち込むなナーベラル」

 

ナーベラルはモモンガ婚約者宣言をした後、色々葛藤があったのか。一定時間固まった後、ふえーんと泣き出してしまったのである。

しかも、紛れもないガチ泣きである。

 

女性に目の前で泣かれたことなど勿論ないモモンガは大いに焦った。

取り合えず、幼子をあやす様に背中に手を回し背中を叩いて落ち着かせたのだが…

ナーベラルはすごく落ち込んでしまったのだった。

 

「ナーベラル・ガンマ。私はお前のことを高く評価している。お前なら私の恋人役など造作もない任務だと思っている。」

 

ナーベラルが顔を上げる。

 

「もう一度、コキュートス相手に私という恋人の紹介をしてみろ。私はお前を信じている」

 

モモンガの言葉にナーベラルが力強く頷く。

そして、コキュートスに向き直る。

 

なにやら構えるコキュートス。目に力をいれるナーベ。これ失敗したら二度と立ち直れないのではとハラハラするモモンガ。

 

そして、時は来る。

 

「コキュートス様。私はナーベです。こちらは恋人のモモンさんです」

 

おぉーー!!と歓声を上げるコキュートスにモモンガ。

ナーベラルを囲み三人で狭い馬車で抱き合う。

 

その後もテンションの上がった三人は、お互いの馴れ初めや好きなところを質問された時のシュチュエーションなどを想定し練習を繰り返した。

 

結果として、その練習のおかげで時間はあっという間に過ぎモモンガの悩まされていた馬車の中気まず過ぎ問題は解決することになった。

しかし、別の問題として後日に練習の時テンション上がりすぎて恥ずかしいセリフ言いすぎた問題が発生することになるが、そのことを一行はまだ知らない…

 

 

「やっと着いたか」

 

馬車が止まり、運転手は門番となにやら話をしているようだ。

カルカの持たせてくれた紹介状があるためすんなりと通ったのか、数刻もたたないうちに馬車のドアが開く。

 

「みなさん、長旅お疲れ様でした。しかし、ずいぶん静かでしたね。長らく寝てらっしゃたのですか?」

 

「ええ、前に溜まっていた疲れが来てしまったようで三人とも長らく寝てしまっていたようです。案内感謝します。カルカ聖王女にも感謝の意を伝えてください。」

 

静かなのはアイテムを使用したためであるが、馬鹿正直に言う必要はない。

 

馬車の運転手はモモンガの言葉に了解の意を告げると、来た道を帰っていった。

 

「モモン様。聖王女様から紹介状は受け取りましたので、入国して構いませんよ。」

 

「ああ、ありがとう。…ああ、それと少し場所を訪ねたいのだが」

 

「はい。どこでしょうか?」

 

「冒険者組合の場所を教えてくれないか?」

 

 

両開きの扉を開け、訪問者が帝都冒険者組合の敷地に足を踏み入れる。

 

冒険者の数は減少傾向の帝国であるが、帝都の冒険者組合なだけあって中にいる冒険者の数はなかなかに多い。

 

これだけの数がいれば、顔を合わせる機会がなくお互いを知らなかった冒険者がいても不思議ではない。

 

しかし、この訪問者は帝国の冒険者ではないだろうと多くのものは予想していた。

黒の全身鎧の剣士に絶世の美女、かなりガタイの良い戦士。この組み合わせはかなり目立つ。

 

「冒険者になりにきたのだが」

 

この言葉に、3人組の様子を伺っていた冒険者は自分の予想が当たっていたことを確信する。

 

「はい、でしたら名前をご聞かせ願えますか?」

 

「私はモモン。こちらがナーベとコキュートスだ。これで登録を頼む」

 

 

(しかし、夢のない職業だな…)

 

モモンガは冒険者組合のソファーに座りながら、内心ため息をつく。

 

(依頼を見ても、薬草とりとかモンスター退治ばかりだ。もうやめようかな)

 

モモンガは最初に抱いた冒険者のイメージと受付嬢の説明とのギャップにひどく落ち込んだ。

 

(もっと…こうさー!!宝の捜索とか!ダンジョン攻略とか!夢のあるやつをさ…ん?ダンジョン?)

 

依頼掲示板のダンジョンの字がモモンガの目に留まる。

 

――ダンジョン捜索――

条件 ミスリル以上

カッツェ平野に出現したダンジョンの捜索。

注意事項があるため、受付にて必ずお聞きください。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

(これだ!!)

 

「この依頼を受けたいのだが」

 

モモンガは受付に依頼書を見せて、尋ねる。しかし…

 

「すいません。モモンさん。こちらの依頼はミスリル以上のチームしか受けられません…ですが今、組合長が向かっていますので…もう少しお待ちください」

 

歯切れの悪い、受付嬢の返答に疑問が湧くがどうやら組合長を待っていたほうがいいようだ。

 

「そうか、それは失礼した。では待たせて貰おう」

 

ドシッと椅子に座り直し、不動の姿勢をとるモモンガだが内心は汗だらだらである。汗腺はないが。

 

(やっべー!!ワクワクしすぎて内容ちゃんと見てなかった!!間違ってないんだよ。これはわざとだよ?て感じに誤魔化せてよかったー!!)

 

色々、モモンガが考えている間に玄関のほうから組合長が訪れる。

 

「モモン殿お待たせしました。私はアーウィンタール冒険者組合の組合長ディス・ツバイザックです。聖王国での噂をお聞きして是非ともお会いしたいと思っておりました。本日は救国の英雄に会えて嬉しく思います。」

 

元冒険者であったのだろう屈強さを感じさせる男がにこやかに挨拶をしてくる。

 

「いえいえ、ご丁寧にありがとうございます。聖王国で何を成し遂げたとしてもここでは新米に変わりありません。色々、ご指導していただけるとありがたいです。」

 

「勿論ですとも!本題に入りますが今回、私がモモン殿御一行に会いにきたのは色々と話し合わないといけないことがあるからなのです。応接間のほうに移動していただいていいでしょうか?」

 

断る理由もないモモンガ達は、ディス・ツバイザックとともに応接間の対面ソファーに腰かける。

話す準備が整ったと判断したのか、ディス・ツバイザックが口を開く。

「いきなり本筋にはいらせてもらいますが…モモン殿一行は冒険者に登録するとしてカッパーのランクに満足しているのでしょうか?」

 

ディス・ツバイザックがこちらの腹を探るように伺ってくる。

 

「??…はい。別に構いませんよ?それがルールなのでしょう?」

 

NPC達の症状にも変化はない。冒険者のランクなどで至高の御方の威光は変わらないのだから関係ないとか思っているのだろう。

 

(最近、こいつらの俺に関する考えが読めるようになってきたな…)

 

「そうなのですか!?伝え聞く話が本当であるのなら、実力は聖王国の切り札以上とされている御方が、カッパーで本当によろしいので!?こちらとしてはアダマンタイト…は前例がないので難しいですが、オリハルコンやミスリルにするくらいの配慮ならできますが…」

 

モモンガは組合長の態度が怪しいことに訝しさを感じる。

こちらが頼んでもないのにやたらと親切にしてくる、初対面の相手など怪しいことこの上ない。

 

リアルならこの後に数万する絵画や怖いお兄ちゃんが登場するという可能性すらあるシュチュエーションだ。

 

「私は、冒険者の掟に出来る限り従いたいと考えています。いきなり昇給しては他の冒険者から反感を買うのは火を見るより明らかです。…むしろ、なぜここまでのサービスをしてくるのかに私は怪しさを感じるのですが…」

 

モモンガのセリフに自分の対応の問題点を認識したのか、組合長が目を閉じ黙る。

そして、説明を口に出すためにモモンのスリットに視線を合わせる。

 

「いやはや、必死感が出てしまいましたか…そうですね。私があなたの勧誘に必死なのは、あなたのような方は冒険者から引き抜かれてしまうからなのです」

 

ディス・ツバイザックは大きなため息を吐き、悲壮感を演出する。

 

「この帝国のことをどれだけ知っているかは分かりませんが、この国は冒険者<帝国騎士という重要度の構図が成り立っているのです。」

 

「結果、冒険者は減り、帝国という国の武力は増しました。これらの動きは皇帝が率先して指揮を執っているそうです。…この弱体化している帝国冒険者にとってモモン殿一行はどうしても国側の戦力として引き抜かれて欲しくなかったのです」

 

(なるほど…引き抜きを警戒しての好待遇かそれなら納得がいく。)

 

モモンガの目的を考えれば国に雇われるなどは考えられない。

冒険者になることだって元は、名前に惹かれたという要素もあるが、この世界での身分を得るためだ。

 

つまり、自由であれば自由にしてくれるという契約のほうがありがたい。

 

「そうですか。元々、私達は根無し草です。国に仕えるという事はないでしょう。ですので、他の冒険者と同じ様な待遇にしてもらっても鞍替えはしませんので安心してください。」

 

ディス・ツバイザックが明らかに安堵した表情を見せる。

だが、モモンガの話はこれで終わりではない。

 

「ですが、少しくらいの優遇は欲しいですね。実は気になっている依頼がありまして…遺跡探索なのですがミスリル以上が条件なので情報を受付嬢が教えてくれなかったのです。そちらを個人的に調査したいので、情報を戴けませんか?」

 

「ええ、本来ならカッパーの冒険者には危険なので教えられませんが、モモン殿一行なら実力は十分でしょう。あの遺跡はカッツェ平野のアンデッド狩りを行っていた帝国騎士がつい先日発見したものです。地表部分はそこまで大きくないのですが地下があるようです。

どのくらいの深さがあるかは未だに分かっていません。なぜなら…」

 

「調査隊であるワーカーチームが全滅しているからです。」

 

「調査隊だったワーカーチームはミスリル級の実力者だったのですが、未だに音沙汰が無いのです。帝国が国として調査するという話まで出ていますので冒険者組合としては無理に調査はせずとも良いというスタンスをとっています。」

 

「明らかに危険な依頼ですが、これを聞いたうえでもお受けするのですか?」

 

「ああ、勿論だ。この依頼を受けさせてもらおう」

 

威風堂々としたモモンガの返答が、応接間に響いた。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

「大悪魔ヤルダバオトについての件で進展があったと考えてよいのかな?」

 

今回の収集をかけた土の神官長であるレイモンに火の神官長が質問を投げる。

 

「ええ、第11席次・占星千里のおかげです。ヤルダバオトとの関係者と思われる人物の影があった場所である人物の死体が見つかったのです。」

 

「回りくどいな。そいつは一体誰なんだ?」

 

機嫌が悪いのか闇の神官長が、レイモンに結論を迫る。

 

「勿体ぶっても仕方ないのですが、クレマンティーヌの死体がそこから発見されました。…ただほとんど炭となっていましたが」

 

「それを報告するということは大魔術を使い、クレマンティーヌを復活させようと考えているのか?ドミニクよ」

 

水の神官長が苦い顔をする。

 

「ジネディーヌ老の言いたいことは分かります。かの奇跡ともいえる大魔術を裏切り者に使うのですから…しかし、ヤルダバオトという存在は謎が多い。ここでハッキリさせるのは今後の為にも必要でしょう」

 

「わしは、ドミニクの意見に賛成じゃ。悪しきぷれいやー様が裏で糸を引いていないとも限らない。ことが起こる前から備えるのが知者の振るまいじゃ。」

 

「カイレ様のいうことも確かですな。しかし、例のモモン達の調査はどうなっているのだ?ぷれいやー様の可能性はあったのか?」

「モモン達との接触は、先伸ばしにしております。現在、ヤルダバオトを含め色々、立て込んでいるのです。さらに先日は、竜王が会見を申し込んできていて…風花も多くの任務を抱えて一杯なのですよ」

 

異常事態が多すぎる。聖王国の亜人侵攻の時期前後から、明らかにいままでと異質な出来事が多く発生している。

 

会議出席者が対応を考え込んでいると、扉が勢いよく開く。

 

「会議中失礼します!!」

 

「何ごとだ!?」

 

「従属神様がいなくなっております!!」

 

 

――法国会議の少し前

 

「パンドラ様~~。探知で情報を探るの空きましたよー。せっかくですから、自分達で情報を集めに行きましょうよー」

 

「だめです!!この世界は、多くの未知や危険が潜んでいます!!そんなところに!!情報不足で出ていくなど!!自殺行為にぃ!他なりませんよ」

 

オーレオールが明らかに不満そうな顔をする。

 

「特に絶大な力を誇るワールドアイテムや未知の能力タレントなどには注意せねばなりません!現在では対策も十分に取れないのですから!」

 

「え?ワールドアイテムなら私がもってるので、ある程度は対策できますよ?」

 

「え?え?わーるどあいてむ持ってる…の?」

 

「ええ…持ってますよ」

 

「ええええええええええええええええええええ~~~~~~~~~!!!!!」

 

「なんで、それを早く言わないのです!!?」

「えっ!?えー聞かれなかったので…」

 

「OH…そうですか。まあ、まあ、いいでしょう。結果オーライです。これから楽しいピクニックに行きましょーか!!」

 

「テンションについていけないですよ…。もう少し、予想できるテンションでお願いしたいです。心臓に悪いので…」

 




原作ではオーレオールのワールドアイテムはシャルティアに渡されているみたいです。

どんな、ワールドアイテムなのかな?

あと、何気に今回は2話ぶり?にモモンガさん一行を出せました笑






※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。