魯粛の病状は悪化の一途をたどり、呂蒙に江東の行く末をたくそうとします。しかし、その時に魯粛は、孫劉連盟を大事にしていた仮面を取り、真の素顔を見せてしまうのです。はたして、魯粛は呂蒙に何を伝えようとしたのか、詳しく紹介しましょう。
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『第68話 単刀会』のキャスト
魯粛と関羽が荊州について話し合う『第68話 単刀会』に登場した人物や声優さんたちは、以下の通りです。
- 劉備(蜀)/荊州三群の返還を提案する皇叔(声:家中宏)
- 諸葛亮(蜀)/諸葛瑾と面会する軍師(声:堀内賢雄)
- 張飛(蜀)/荊州の返還に反対する将軍(声:天田益男)
- 関羽(蜀)/魯粛のもとへ乗り込む将軍(声:田中正彦)
- 周倉(蜀)/関羽に従う将軍(声:大羽武士)
- 孫権(呉)/劉備を警戒する呉侯(声:咲野俊介)
- 魯粛(呉)/呂蒙に江東を託す大都督(声:岩崎ひろし)
- 呂蒙(呉)/魯粛の言葉を胸に刻む副都督(声:成田剣)
- 賈華(呉)/呂蒙と共に荊州へ向かう将軍(声:永田昌康)
『第68話 単刀会』のストーリー
孫権は、諸葛瑾の一族を牢に入れて、荊州を返還しなければ全て処刑しようとします。諸葛瑾は急いで成都へ趣き、諸葛亮に事情を説明したら「すぐに我が君へ荊州を返還してくれるように頼んでみます」と答えるのです。
荊州返還を認めない関羽(起)
諸葛瑾は弟の諸葛亮と共に、劉備へ謁見しますが、そこに張飛が現れて「荊州を還せだと!兄者が留守中に奥方を密かに戻した癖に」と荊州の返還を反対します。それでも、劉備は大事な軍師の身内を助けるために、せめて荊州三郡だけでも還すように取り計います。諸葛瑾は、劉備の軍令を書いてもらい、それを関羽へ見せにいきます。
しかし関羽は「兄者の言葉とは言え、将、外にあっては、君命も受けざるところありと言う。断じて荊州は渡さん」と言い放って、諸葛瑾を追い返します。そして、荊州へ向かおうとした呉の者は、関羽の水軍に阻まれて、めったうちにされてしまったのです。それを聞いた呂蒙は賈華と共に、関羽との階段に臨みます。
呂蒙が関羽との会談に臨んだら「どなたかな?」と尋ねられるので「呉の呂蒙です」と答えます。それを聞いた関羽が「そなたが、呉下の阿蒙と言われた呂蒙か?」と言うので、賈華は「貴様!」と怒りを募らせます。しかし、呂蒙が賈華を制して、荊州三郡を返還するように求めます。
呂蒙と関羽の初会談(承)
荊州の返還を求める呂蒙に対して、関羽は「そなたでは話にならん。どうしても還して欲しくば、魯粛殿を呼ぶのだな」と答えます。呂蒙は「あいにく、大都督は病が重いので」と言ったら「それでは、私のほうから出向こう。それでよいな?」と言い返してきたのです。
呂蒙が呉へ引き返したら、魯粛は病を押して、会談に臨みますが、呂蒙に「布陣している兵を20里まで後退しろ」と命じます。しかし呂蒙は「関羽は我らを見下しています」と反発しますが「我らは権力を傘にきて相手を見下す事も、見下される事もない。もしも相手を見下す者がいたら破滅するだけだ」と説得。
呉の兵が20里まで後退した事を知った関羽は「命じたのは魯粛殿であろう。さすがに魯粛殿は道理が分かる男だ」と讃えて、兵士を引き連れず周倉だけを従えて会談に臨みます。会談では、魯粛が「我ら呉が赤壁で助けたおかげで、今日の劉備がいる」と言って、荊州返還を要求します。
魯粛と関羽の単刀会(転)
魯粛の主張に、周倉が言い返そうとしたら、関羽は周倉を外へ追い出します。所が、魯粛自ら関羽に近づいていき「部下には反対したが、密かに関羽殿を亡き者にしようとしている。私を盾にしてお逃げ下され」と耳打ちします。関羽は、その言葉に従って魯粛と共に外へ出ていきますが、そこには呉軍が取り囲まうとしていました。
関羽は「なぜここまでなされる?」と聞いたら「そなただけのためではない、孫劉連盟のためだ。もしも、両家が争ったら大きな犠牲を払い、孫劉は曹操の物になる」と答えます。関羽は「あなたは、真の義士だ敬服致す。今まで思い違いをしていたようだ。呉には英雄がおられる」と言って、荊州三郡を返還する事を認めたのです。
魯粛と関羽はお互いに相手を認め合って、会談は無事に終わります。しかし、その後に魯粛は「呂蒙よ、あれは大きな失敗だったぞ」と関羽を始末しようとした事を責めます。そんな時に、曹操が漢中を攻略した知らせが届いて、魯粛は「さすがに曹操は動きが早い、私はもうこれまでのようだ」と覚悟を決めます。
魯粛が呂蒙に見せた素顔(結)
魯粛は「呂蒙は今後どのようにして曹操や劉備に対処する?」と尋ねます。呂蒙は今までの魯粛の行動を見て思う所があったのか「劉備と手を組み、曹操に戦いを挑みます」と答えるのです。それを聞いた魯粛は「半分正解だ」と言うので、呂蒙は「半分間違っている所とは?」と尋ねます。
魯粛は「曹操が劉備に優っている時は、劉備と共に曹操と戦え。しかし劉備が曹操に優ったら、曹操と共に劉備と戦え。そうすれば、呉は常に勝者でいられる」と答えるのです。呂蒙は「その言葉を肝に命じます」と答えた後に、ついに魯粛は力尽きてしまい、呂蒙は「大都督!」と立ち尽くしてしまいます。
呉で大きな変化が起きている時に、魏でも大きな変化が起きていました。何と曹操の臣下たちが「丞相(曹操)を魏王に任じて下さい」と嘆願していたのです。これに唯一反対したのが荀彧でしたが、はたして献帝は、曹操を魏王にするのでしょうか?
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『第68話 単刀会』のまとめ
動画配信U-NEXTで配信されている『第68話 単刀会』を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい(本ページの情報は2018年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください)。
三国志の名言『将、外にあっては、君命も受けざるところあり』
関羽が、諸葛瑾に対して「将、外にあっては、君命も受けざるところあり」と答えますが、これは一度任命された将軍は、その後に君主の命令は聞かなくても良いという無茶苦茶な理屈です。
これは、中国の春秋時代に孫武という男が、当時の呉王に推挙される時がありました。ここで呉王は、孫武が本当に優秀な将軍になれるのか、当時寵愛していた姫たちを軍隊として訓練させようと命じます。しかし、姫たちはふざけてしまって命令に従おうとしません。
そこで、孫武は呉王が寵愛していた姫たちが、多くの女性を指揮していた隊長という事で、部下が勝手な事をした責任を取らせようとして処刑しようとするのです。それに呉王が「ちょっと待ってくれ!」と頼みますが、孫武は「将、外にあっては、君命も受けざるところあり」と言って、姫たちを処刑してしまうのです。
『第68話 単刀会』の残念な所
関羽は、君主の命令に逆らって、荊州の返還に反対します。しかし、これは諸葛亮とあうんの呼吸があったように思えるのですが、それでも上司や政府の命令を無視するのは近代においては、行なってはいけない行為です。
私は、日中戦争の全てが大日本帝国が悪いとは言い切りませんが、それでも石原莞爾が独断で満州国を建国したのは大きな誤りだったと思っています。なぜなら満州国を建国して、北の脅威から大日本帝国を守ろうとしても、命令を待たずに勝手な事をしては、多くの軍人たちも勝手な事を始めてしまいます。
実際に、その後に大日本帝国の政治家が途中で戦争を辞めようとしても、軍人たちは勝手な行いを辞めようとせず、日中戦争は政治家同士ではもはや収拾がつかない所まできました。そのため、軍隊は事後承認ではなく事前承認が絶対に必要だと思うので『将、外にあっては、君命も受けざるところあり』は少し残念な言葉のように思えるのです。
『第68話 単刀会』の見所
魯粛は温厚で、お人好しなイメージがあります。それは三国志演義が大きく影響しているのですが、実は合理主義者で大局を見る事ができる男でもありました。それを考えたら、周瑜・呂蒙・陸遜と比べてみて、地味にも見える魯粛ですが、いかに呉にとって重要な人物だったか分かるでしょう。
そのような魯粛が、呂蒙に残した言葉が、その後に蜀に大きな影響を与えてしまいます。それを考えたら、この68回は三国志スリーキングダムの大きなターニングポイントになる所でした。