性別逆転オーバーロード   作:天道詩音

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※眠っていたプロットを文字に起こしました。これで供養します。


性別逆転オーバーロード

 

 世界が変わると性別も変わるらしいです。

 

 ユグドラシルをプレイ中に突然のブラックアウト……からの気づいたら赤ん坊になっていました。

 

 そして後々気づいた事ですが、その時に世界を飛び越えていたらしく、リ・エスティーゼ王国なんて全く知らない所に生まれてしまったようです。

 

 辺境の村に生まれた私は自然に囲まれて育ちました。

 昔の世界では見られなかった自然に大はしゃぎして森に遊びに行ったら、モンスターが出るから森に行くなと本気で怒られました。

 

 モンスターがいる世界に生まれ変わったみたいなので、ユグドラシルなのかなと思い、スキルを使ってみると……なんと使えました。

 

 と言っても50レベルまでに取ったスキルしか使えませんでしたが。

 

 ユグドラシルでは戦士型の大技特化ネタビルド異形種だったので、魔法は一切使えません。

 メインで使っていたスキルはレベル100近くで覚えていたので、主要スキルが使えないのが痛いですね。

 

 異世界に転生するなら魔法を取っておけばよかったなと後悔です。

 アイテムボックスも開けないので、集めた装備も出せない私なんて微妙スキルしか使えないただの美少女です。

 

 そう美少女なんです!

 

 金の糸を束ねたような金髪に、サファイアのような深い青色の瞳、陶器のように白い肌、14才の年齢にしては小柄なので、さらに可愛さが引き立っている美少女に生まれ変わりました。

 

 前の世界では女の子になりたいと、ギルメンに熱く語っていて、ユグドラシルでも女の子のアバターでプレイしていました。

 

 アインズ・ウール・ゴウンのみなさん!

 私は女の子になりましたよ!

 

 でも、モモンガさんには謝りたいですね……最後の日まで、ユグドラシルで一緒に遊びませんかって言われていたのに、その前日にあんな事になるとは思いませんでした。

 

 もしかしたらモモンガさんもこの世界に来るかも知れません。その時はこの世界で、一緒に冒険したいですね。

 

 それよりも今は、料理を作るのに集中しないといけませんね。美味しくなかったら、あの腹黒王子になんて言われるか……。

 

「姉さんー! パンが焼けましたよ!」

「ありがとうクライム。こっちも直ぐにできるから食器の用意をお願いします」

「はーい!」

 

 目の前で笑っている、私と同じ髪色の可愛い女の子《クライム》は天真爛漫で、どんな事にも一生懸命な天使のように愛らしい自慢の妹なんです。

 

 料理を完成させて、腹黒王子の元へ運んでいきます。

 私とクライムは腹黒王子の専属のメイドになっていて、クライムはそれを喜んでいるけど、私は早く独り立ちして、クライムを養えるだけのお金を集めたら二人で暮らしたいと思っています。

 

「ラナー王子失礼します。食事の用意が出来ました」

「ありがとう。クラインの料理は気に入っているから、嬉しいよ」

 

 この優しい微笑で私達を迎えたのが、腹黒王子ことラナー王子です。

 周りの人達には黄金に例えられる美しい容姿と、全てを見通すような深い叡智を持つ、名君になる器だと思われていますが、私はそうは思っていないんですよね。

 

「では、早く食べてくださいね。食器を片づけないといけないので」

「姉さん失礼ですよ! ラナー様すみません!」

「可愛いクラインがやることですから気にしていないですよ」

 

 なんか、大企業の社長達に似てる気配を感じているんですよね。

 前の世界では、サラリーマンで営業の仕事をしていました。

 大きな企業へ自社の売り込みをしに何度も行き、大きな契約を何十件も取ってきた、結構優秀な営業マンでした。

 

 それでも、大企業の社長になるような人と話すのは慣れませんでした。

 自分以外の人間を人間と思っていないような、利を生むだけの機械としか思っていないような方々ばかりでした。

 

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 ラナー王子もそんな感じだと直接伝えたことがあります。

 

 それは私が冒険者になるから、メイドを辞めると言った時でした。

 

「私はクライムを守るためにメイドを辞めて、冒険者になります。しばらくはメイドをしてお金を貯めますが、ラナー王子の元からクライムを離したいのです」

 

「そうですか。でもどうして私から離すのでしょう?」

 

 いつもの優しい微笑みを浮かべながら、どうしてかと聞いてくる。その笑みの奥から覗いている、自分以外を人と思っていないような瞳で私達姉妹を見ないでください。

 

 特にクライムは、村が山賊に襲われて、住んでいた村を失って、途方に暮れていた私達を含め生き残った村人を救ってくれた事に、感謝をして、いつか騎士として仕えたいとまで言っているのに……。

 

「自分に理解出来る事が他人は何故理解出来ないのかなんて考えた事はありませんか? どうしてこの程度すら分からないと思ったことは? ラナー王子は私が見た、そんな事を考えている人々と似ているんですよ。その笑みの奥では、私達を同じ人間だとも思っていませんね。クライムはそれに気付かないで、あなたに仕えようとしているんです。姉として引き離そうと思うのは当然の事ですよね」

 

 目を見開いて、ラナー王子が私を見つめます。

 初めて見る物を見つけたかのように、とても嬉しそうに。

 

「そのとおりですね。私は私以外に価値を見出せませんでした。でもそれなりにクライムを気に入っているのですよ。それにあなたもですよクライン。ただの村人だったあなたが私のような存在に、何度も会えるとは思いません。それでもクラインは会ったことを確信しています。それは何処であったのでしょうか? 教えてくれませんか?」

 

 異世界から来たなんて言えません。ここは誤魔化すしかありませんね。

 

「知りたいのなら、もっと私達の事を知ってください。材料さえ揃えばラナー王子ならいずれ私が教えなくても、たどり着けるのでしょうから」

 

 精神の異形種とでも言えばいいのでしょうか。ラナー王子はそんな存在ですから、切っ掛けさえあれば気付きそうなのが恐ろしいですね。

 

「ふふふっ、面白いですね。いいでしょう。クラインが冒険者になることを協力しますよ」

「ありがとうございます」

 

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 そんな事もありましたが、今日がメイドをする最後の日です。

 ラナー王子が食べた食器を片づけようと近づくと、突然抱きしめられました……何をするんですか?

 

「こんな小さくて可愛らしいクラインが明日から冒険者になるなんて心配だとクライムも思いませんか?」

「姉さんは強いんですけど、私より小さいですし心配です! 姉さんもこのままメイドとしてラナー様に仕えませんか?」

 

 クライム小さいのは余計ですよ。

 今年で17歳になるのに、身長も胸も全然大きくならないのは、もう諦めてます。他のメイドにクライムがあなたのお姉さんでしょ?ってからかわれるのは、今日で終わりです。

 

「遠慮します。私は私の力で生きていきます。ラナー王子は離してくださいね」

 

「それでも何時でも戻って来ていいですからね。クラインは私の大切な女性なんですから」

「はいはい。わかりました。食器を片づけて来ますね」

 

 何時もの、前よりはましになった優しい笑みで、そう言われても嬉しくは無いですから。食器を片づけて、クライムと私の部屋に戻りました。

 クライムはしばらくラナー王子と話して居ると思うので、寝る用意を済ませて起きます。

 

 明日から冒険者になって、クライムと二人で暮らせる金額まで貯まるまでは、一人でがんばらないといけませんね。

 クライムはラナー王子に任せましたので、他の貴族に何かされる事は無いでしょう。

 ラナー王子の事も多少は信じているんですよ?ですので、クライムに傷を付けないよう頑張っていただかないといけませんね。

 何かあればすぐに文句を言いに来ますので、覚悟してくださいね。

 

 

 次の日、ラナー王子に別れの挨拶をしました。クライムを抱きしめて、必ずまた会いに来るって約束をしましたが、ラナー王子にはお世話になりましたで十分でしたね。

 でも最後に何か企んでいそうな笑みを浮かべたのが気になるところですけど。

 

 王都のギルドで冒険者の登録をしました。カッパー級冒険者ですが、確かに冒険者になりました。

 

 チーム名は《ナインズ》です。

 アインズ・ウール・ゴウンだとユグドラシルで悪名高いので、その前のギルド名から一部拝借して、ナインズと名付けました。九人では無くて一人ですけど。

 こちらの世界の神話で、ユグドラシルのプレイヤーらしき人々の物語が描かれていたので、一応対策をとりました。

 

 それと、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーがこちらに居るのではあれば、目に留めてくれないかなと願いを込めて名付けました。モモンガさんは来てないでしょうか?

 

 それから半年間は、お使いクエストの連続でした。カッパー級冒険者ではモンスター討伐に一人では行けないので、ずっと捜し物やちょっとした手伝いなどを延々とやらされていました。

 ギルドの受付のお姉さんは、危ない仕事はさせてくれませんでした。こんな小さい見た目ですけど、17歳の大人の女性なんですよ?

 

 そして、今日やっとアイアン級冒険者になりました。

 

 受付のお姉さんには、アイアン級冒険者でも危ないことはしたらダメだよと言われました。完全に子供扱いですが、これでも結構強いと思うんですけどね?

 

 ユグドラシルのレベルで言ったら50レベルはあるので、オークとかの相手は余裕なんですよ。

 

 早速オークの討伐依頼を受けようとしたら、お姉さんには危ないのでダメですと言われてしまいました。アイアン級冒険者なのに……。

 

「私はこれでも17歳です。それにオークなんて簡単に倒せるので大丈夫ですよ」

「でも危ないですから! クラインちゃん見たいな可愛い女の子がオークに襲われるなんて認められません!」

 

「オークを襲う、と言うより討伐するのは私なんですけど……お金を稼がないといけないんですから行かせてください」

「で、でもー!」

「規則的には問題ないですよね。私はアイアン級冒険者なんですから」

「でもー! 本当に危ないのよ?」

 

「なら、私が守りますよ?」

「えっ? ら、ラキュース様!?」

 

 後ろを振り向くと、金髪をきれいに整えた、青い鎧を纏っている、格好いい男性が私を見ていた。

 ラキュースって名前はどこかで聞いたことがありますね?誰でしたっけ?

 

「ラナー様から君の事は聞いていますよ。私が守りますので安心してください」

「ラナー王子のお知り合いですか? すみませんが私はあなたの事を知りません」

 

「クラインちゃん知らないの!? アダマンタイト級冒険者の《蒼の薔薇》のリーダーのラキュース様だよ!」

「思い出しました……」

 

 会いたくないチーム第一位の蒼の薔薇のリーダーを務めている人でしたか……。

 

 蒼の薔薇は王都最強と言われているチームで、ドラゴンを討伐していているなど、実力も実績もあるチームだけど、それよりも会いたくないと思える問題がある。

 

 

 アダマンタイト級の変態達って呼ばれている変態達だからです。

 

 

 ティアはロリ好きの変態。ティナはショタ好きの変態。ガガーランは処女を食い散らかし、イビルアイは色々拗らせていている。

 

 それら変態を束ねるリーダーのラキュースは童貞にしか装備できない鎧《無垢なる白雪(チェリー・スノー)》を堂々と装備している変態で、さすがアダマンタイト級の変態達を束ねるリーダーだと思ったのを思い出しました。

 

 そんな童貞リーダーに守るって言われるのは、ひどい嫌がらせじゃないですか、ラナー王子?

 

「蒼の薔薇の皆で護衛するから安心してください」

 

 全く安心できませんから!

 

「あの、本当に一人で戦えるので大丈夫ですよ?」

「それでも君のように可愛い女の子を一人で行かせるのは心配だから、付いて行かせてくれるかな?」

 

 童貞うるさいです!なんて言えれば楽なんですけど、王都一の冒険者にそんな事言ったら首が飛ぶかも知れません……。

 

「なにこの子可愛い犯したい」

「ひゃあ!」

 

 いきなり後ろに現れた誰かに服の隙間から手を突っ込まれて、胸を揉まれる。くすぐったいので、止めてください!

 

「ショタじゃないけどいけるかも」

「ぴゃあ!」

 

 身をよじろうとした、私を正面から押さえつける小柄な金髪の男。

 

「身体は小柄でも処女か……少し俺と遊ばないか?」

「いやっ!」

 

 横に現れるオーク。なんでオークが街に居るんですか!

 

「子供の護衛なんてやってられるか……お前らだけで行ってこい」

「あっ……あの助けてください!」

 

 私と同じくらい低い身長の男の子?変なマスクを着けている子に助けを求める。

 

「…………はっ! 君たちダメだろ! ほら離れてくれ!」

「はぁはぁ……ありがとうございます……」

 

 最後まで助けないで私の痴態を眺めていた童貞リーダー。本当に変態ですね。

 疲れて、床に座り込んでしまいました……。

 

「す、すまない。君たちクラインさんに謝ってくれ!」

 

「童貞ボスかっこつけないで」

「童貞ボスいいとこ見せたいの?」

「童貞ボスも参加するか? あ、鎧が着れなくなるからダメだな」

「……くだらん」

 

「ひ、ひどいだろ!」

 

 なんか力関係が分かってきました。少し童貞ボスには優しくしてあげましょうか……。

 

「皆さんいきなり何するんですか……?」

「クラインさん、メンバーがすみません! 私がこの後は守りますので安心してください!」

「はぁ、分かりました。でも着いてくるのは一人で十分ですよ」

 

「なら、私が着いていきます!」

「いえ、イビルアイさん。着いてきてくれませんか?」

 

 腕を組んで空を眺めているイビルアイさんにお願いする。

 

「……俺か? 何故だ?」

「一番まともそうなので……お願いできませんか?」

「……いいだろう」

 

「イビルアイに春が!」

「イビルアイも童貞卒業?」

「ちゃんとヤッてこいよ!」

「イビルアイの方が私よりまとも……」

 

「うるさいぞお前ら! いくぞ!」

「はい。よろしくお願いします」

 

 急いで、蒼の薔薇達とは離れないといけませんね。できれば二度と会いませんように!

 

 街の外へ続く門へ向かって、二人で歩きます。イビルアイさんは一言もしゃべりません。せっかくなので、私が話し掛けましょうか。

 

「イビルアイさんは魔法詠唱者らしいですけど、何階位まで魔法が使えるんですか?」

「……何故それを聞く?」

「仲間の実力を知らないと、十全に戦えないと思いましたので」

「ふんっ、少なくと第三階位までは使える。オークごときそれで十分だろう」

「ありがとうございます。イビルアイさんはすごいですね」

「当然だ」

 

 イビルアイさんは中二病を患ってらっしゃるのでしょうか?私の背丈と同じくらいですから、まだ子供ですし仕方ないですね。お姉さんとして優しく接してあげましょうか。

 

 前を歩く、イビルアイさんの手を取って隣を歩こうとします。

 

「な、なにをする!?」

「いえ、私がはぐれそうになりそうだったので、手を繋いだんですけどダメでしたか?」

「……し、仕方ないな」

「ありがとうございます。優しいですね」

「知るか!」

 

 なんだか普通の少年みたいなので、安心できます。

 手が冷たい人は、心は温かいって聞いたことがありますけど、イビルアイさんも優しいんでしょうね。

 

「手を繋いでる!」

「その調子でやっちゃえ」

「次はどこで繋がるか分かっているだろ?」

「手を繋いでる……うらやましいなぁ」

 

 後ろの方々うるさいですよ!

 でもアダマンタイト級の変態達は肉体スペックもアダマンタイト級なので、逃げられるんでしょうか?

 

「イビルアイさん……」

「分かっている。こっちだ!」

「きゃっ!」

 

 裏路地をへ走りだしたイビルアイさんに着いていきます。裏路地についたら、私を抱き上げてからフライを使って、門の外まで飛んでいきました。

 

 お姫様抱っこで飛翔魔法とはやりますね。憧れていたのでしょうか?可愛らしいですね。空の上でイビルアイさんの肩に腕を回して、ありがとうございますを言ったら目を逸らされてしまいました。

 

 これは照れていますね。

 

 門の外で降ろしてもらって、オーク探しを始めます。まあ街の近くには多分居ないでしょうね。

 

 この辺りは平野が続いていて、周りを一望できるので、変態達が周りに居ないかが分かりやすいので助かります。

 

 ついでにオークも見やすいので、見つけたオーク達に近づいていきます。オークもこちらを見つけたのか、棍棒を持って近づいてきました。

 

 数は10体なので、一撃で全滅させられそうですね。イビルアイさんに合わせて中二病風に倒してあげましょうか?

 

「私がやってきますよ。イビルアイさんはもしもがあったらよろしくお願いします」

「気をつけろよ」

「はい。行ってきます」

 

 オークが走りだしてこちらに向かってきました。私はイビルアイさんの前に立って、腰に差した短剣に手を置きます。あと数メートルのオーク達に向かってスキルを発動させます。

 

「百花一閃」

 

 前方数メートルを一閃するスキルが発動。オーク達は何が起きたのかも分からないまま、二分割にされて死にました。

 それを背にしてイビルアイさんに振り向きます。

 

「所詮オークでしたね」

 ニコリと笑って、そう言いました。

 どうでしょう、中二心はくすぐられましたかね?

 

「あ、ああ……」

 うーん。反応はイマイチでした……お姉ちゃん格好いいって言われるかなって思ったんですけどね?残念です。

 

 うわぁ、オークの死体がゲームと違ってグロいです……。それに血の匂いが嫌になります。ギルドに何体のオークを倒したかを報告するために、一部を切って持って帰らないといけないんですよね。切りに行くしかないですね。

 

「ま、待っていろ。俺が切ってくる」

「ありがとうございます。本当に優しいですね」

「ち、違う! 俺が何もしてないのが嫌なだけだ! 大人しく待っていろ!」

 

 なんだか、イビルアイさんとならこれからも一緒にやっていけそうですね。変態達のチームから抜けて、ナインズに入ってもらえないでしょうか?

 

 クライム。私は冒険者でもやっていけそうですよ。

 

 

 その後は、別のオークは倒しにいかないで帰りました。ギルドで待っていた変態達はうるさかったですが、報酬は無事に貰うことができました。

 私が全部倒したって言うのは皆さん信じてくれませんでしたけど……。

 

 変態達を討伐して証明してあげましょうか?

 

 冗談ですけどね。

 

 後日、ラナー王子に文句を言いに行ったら、こう言われました。

 

「君を守るために、国一番の冒険者(へんたい)を呼んだんですよ。おかげで無事で良かったですね」

 

 思ってもないことを、と思ったのですがクライムがラナー様優しいです!と喜んでいたので言えませんでした。

 そこまで計算できるラナー王子にはもっと私が楽になる選択肢がありましたよね?

 

 やっぱり腹黒王子でした!

 私が必ずクライム。ラナー王子から離してみせますので!

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 最後まで天海戦さんは来なかったなぁ。ユグドラシルが私の居場所って言っていたあの人が、最後まで来ないのはおかしい。

 

 昨日は突然落ちてびっくりしたけど、運営にBANされたとか?

 

 天海戦さんのいつも言っている、女の子になりたいって話を聞いていたら、いつの間に用意していたのか、《永劫の蛇の指輪(ウロボロス・リング)》を取り出して使おうとしていたから、慌てて止めようとしたら、使っちゃったんですよね。

 

「私は願います! 性別が逆転して、ちゃんと女の子になれますように!」

「ウロボロスに願ってもリアルの性別は替わりませんからって、ログアウト!? 天海戦さん!?」

 

 あの後からずっと戻ってこなかったから、本当にBANされたのか?最後の日が近いのに、ウロボロスを使ったから……?そんな事あるか?

 

 まあ、それももう終わりか……。

 ユグドラシルIIがあったらまた、天海戦さんと会えたらいいな。

 最後にアルベドの設定の一文を『モモンガを愛している』に変えたのがバレなくてよかったと思えばいいか。

 

 これでユグドラシルも終わりか……最後は一緒に居られませんでしたが、今までありがとうございました。それと、また会いましょう。

 

23:59:58、59ーーー0:00:01、02ーー

 

「…………ん? どういう事だ?」

 

 せっかく綺麗に終われたと思っていたのに……自分で終わらせようと思い、コンソールを開こうとするが、開かない?

 

「どういう事だ!」

 最後の最後にふざけるなよ!

 

「どうかなさいましたか?」

 初めて聞く男の声がして、振り向くとアルベド……に似た男が近づいてくる。誰だ!?

 

 身長はアルベドより少し高いくらいで、アルベド似の整った顔をしている誰かが顔を覗き込んできた。

 

「何かございましたか?」

「いや……なんでもない……」

 

「失礼致しました。何かあればこのアルベドにお声掛けください」

「あ、アルベドだと!?」

「はい? そうですが、どうされました?」

 

 もっと顔を覗き込もうと、密着してきたアルベドが腰を押し付けてきて、ナニかが当たった……。

 

 なんで、アルベドが男になっている!?

 

 それで、俺はさっきアルベドの設定をどう変えた!?

 

『モモンガを愛している』

 

「くふー! モモンガさまー!」

 

 あ、これは夢だ……。ナニかを押し当ててくるアルベドは無視して、玉座に腰を掛けて、目をつぶって眠ろうとする。

 

 …………睡眠無効だよクソが!

 




オリ主が性別を逆転したいと願った結果、異世界と、異世界に訪れる者達の性別が逆転しました。

天海戦てんかいせん性転換

蒼の薔薇とナザリックメンバーが性別を逆転させるだけで面白いのではと、思った結果こうなりました。

男になるだけで、ひどいことになりますよね。
蒼の薔薇とラナーメインで書こうと思ったので、オリ主に出て貰いました。

モモンガさまももちろん性別逆転しています。ただ、骨なので声は替わっていないので、気付いていないもよう。
アルベドはひどいことになりますね。
マーレとアウラはほぼ変わらず、マーレはちゃんと美少女になりますね。

これで、プロットの供養ができました。
ここまで読んでいただきありがとうございました!







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