人類史上最強のギタリスト!? 「ヤマンドゥ・コスタ」来日
「天才」「化け物」「人類史上最強のギタリスト」……。これ全部、ブラジルのギタリスト、ヤマンドゥ・コスタについた異名です。
百聞は一見にしかず。彼の演奏を動画で見てみて。人間離れした演奏にびっくりするはず。来日公演も近づいているので、今のうちにおさらいしておいて損はなし。
彼の特徴は、なんといっても7弦ギターを巧みに操る驚異的なテクニック。遊んでいるように全身で演奏する姿や突き出すアヒル口はチャーミングですが、人の指ってこんなに速く正確に動くもの? と目を疑うパフォーマンスは圧倒的の一言。
ブラジル国内での評価はデビュー前から今まで一貫して天才のまま。世界3大技巧派ギタリストの一人であるパコ・デ・ルシアが、亡くなる数ヶ月前にヤマンドゥのコンサートを聴き、コンサートが終わるなり真っ先に立ち上がって「アミーゴ!」と叫び、「ジャンルを超えた私の後継者だ」と言ったなんていう逸話もあり。日本語の情報が少ないながら、世界中にその名が知れ渡るミュージシャン。
そこで、中南米音楽に詳しく、ヤマンドゥを古くから知る、ケペル木村さんのコメントを紹介。
道場破りのようにライブハウスに乱入
突然ステージに上がり弾くまくって立ち去る!?
「ブラジルのギタリスト、ヤマンドゥ・コスタは、15年ほど前に彗星の如くブラジル音楽シーンに登場し、当時は一気にその名を音楽シーンに知らしめた。
とくにリオデジャネイロの音楽の現場に夜な夜な現れては、まるで道場破りのように別のギタリストが演奏しているライブハウスに乱入し、突然ステージに上がり強引に弾くまくってから立ち去るという行為をしているというまことしやかな噂が広まるほどだった。
ぼく自身もそんなヤマンドゥの姿を一度だけリオのラパ地区にある有名なライブハウスで見たことがある。ヤマンドゥは始めは後ろの席に座って鋭い視線をステージへ送っているのである。
ところが、次第に前方に移動して、最後はステージで演奏中のギタリストの目前に眼を見開いて陣取ってしまった。その時は乱入こそしなかったが、噂のヤマンドゥが目前に迫ったギタリストはまるで蛇に睨まれた蛙のよう萎縮してしまい実に可哀想であった。
初来日はもうだいぶ前になるが、同世代の若手ナンバーワンのベーシストのチアゴ、そしてサンパウロの若手ドラマーの筆頭的存在のエドゥを引き連れて、ギタートリオのフォーマットでやって来た。
その時は伸び盛りの若手3人による丁々発止の即興演奏で、手に汗握るステージを展開してくれた。弦を弾く時の疾走感、激しい情感が溢れた演奏、ふてぶてしい程の態度と年齢には不相応の貫禄には圧倒されたものだった。
昨年、久し振りに見た時は、ギター・フェスティヴァルの中でのソロ・コンサートだった。圧巻だったのは、その時のホールの空間をしっかりと自分のものとしてコントロールしていたことだった。
とにかく、その時の彼の音楽の心地よさは格別のものだった。以前だったら押すだけの演奏に終始していたこともあったが、今は押すだけでなく引くことも覚えていた。そしてブラジル音楽というジャンルの枠を超えて、ひとりの心技共に優れたオールラウンドな音楽家に成長したヤマンドゥがステージの上にいた。
彼はそこにいた全ての観客の心を自分の意のままに掴み、良い意味で翻弄し、さらにホールの空間自体をも自らの掌中に入れていた。
ギター1本を携えて多くの国を渡り歩き、各地で様々な経験を積み素晴らしい演奏家たちとの共演を果たし、アーチストとして望ましい姿になったヤマンドゥ・コスタ。もちろん彼はブラジル音楽のギタリストとしての存在感も大きい。
私見だが、ヤマンドゥはあの偉大なバーデン・パウエル、そして夭折した天才ギタリストのハファエル・ハベーロという、ブラジル音楽界の名ギタリストたちの系譜を引き継ぐことの出来るギタリストではないかと思っている。
ヤマンドゥ・コスタが奏でるギターサウンドに酔いしれることが出来るのは、音楽ファンにとってこの上ない喜びと幸せである」
(中南米音楽/MPB ケペル木村)
これまでに何度か日本公演を行っていて、その評判も伝説的。昨年、彼が出演したイーストエンド国際ギターフェスティバルの主催者であるプロギタリスト、樋浦靖晃さんも「人類史上最強のギタリストだと思っています」と熱弁するほど大絶賛。
それほど飛び抜けた才能の持ち主の日本公演が間近。公演情報は今のうちにチェック!
<公演情報>
■10月27日(土)19:00開演
イーストエンド国際ギターフェス2018秋
会場:カメリアホール(JR総武線・亀戸駅 徒歩2分)
チケット:前売6,000円 当日6,500円
WEB1:https://www.kcf.or.jp/kameido/event/detail/?id=1645
WEB2:http://eastendguitar.jp
■10月30日(火)19:00開演
会場:武蔵野文化会館スィングホール
チケット:完売
■11月3日(土)
会場:ブルーノートTOKYO
詳細:http://www.bluenote.co.jp/jp/
■11月4日(日)
FESTIVAL de FRUE 2018
会場:つま恋リゾート彩の郷(静岡県掛川市)
詳細:http://frue.jp/