九州電力は13日、太陽光発電の一部事業者を対象に、発電を一時的に停止するよう指示する出力制御を実施した。太陽光の発電量が増える日中に、電力供給量が需要を大きく上回ることで大規模停電が起こるのを回避するためで、実施は離島を除き全国で初。14日日中も実施される。国が定めたルールでは、原発などの稼働が優先される。今後も電力需要が下がる春や秋の休日に出力制御が頻発する可能性がある。再生可能エネルギーの導入意欲が後退する恐れもあり、政府の再エネ政策が岐路を迎えそうだ。

 政府が東京電力福島第1原発事故を踏まえ、2012年に再エネ導入を促す固定価格買い取り制度(FIT)を導入して以降、各地で太陽光などの導入が進んだ。出力制御が頻発すれば事業者収支への影響は必至だ。

 出力制御の背景には、再エネの増加に加え、6月までに九電管内の原発4基が再稼働したことによる供給力の底上げがある。15年にFITの施行規則が改正されて以降、再生可能エネルギー発電に新たに参入した事業者への制御は実施日数の制限がなくなり、制御が頻発化した場合の打撃は大きい。

 電力の需給バランスが崩れると、機器の損傷を防ぐため発電設備が自動停止し、最悪の場合は大規模停電に至る。出力制御は、こうした事態を防ぐため調整順を定めた「優先給電ルール」に基づき実施。太陽光発電の場合は先に火力発電の稼働を最大限抑えたり、他の電力地域に送電したりしても供給過多が見込まれる場合に行われる。

 出力10キロワット以上の事業者約2万4千件から対象を選ぶ。13日は43万キロワット程度を制御する計画で、熊本を除く九州6県の9759件を対象とした。風力発電の制御は見送った。

 16年度の国内発電電力量に占める再エネ比率は7・8%(水力発電を含めると15・3%)。気象条件に恵まれる九州の太陽光の送配電網接続量は、18年8月末時点で大型原発約8基分に当たる807万キロワット。17年度の九州の再エネ比率は16%程度(水力含め20%程度)と高めで推移している。

 13日は九州全域が好天で、発電量増加が見込まれる一方、週末で休業する工場やオフィスが多く、大口の需要が減ることも影響したという。【共同】