優先給電ルール

 電力会社が管内の電力需要に対して供給量が上回る場合にどう調整するかは、国が定めた「優先給電ルール」に基づいて決まっている。九州電力はこれまでも火力発電の稼働抑制や他の電力会社に余剰電力を融通して再生可能エネルギーの出力制御を回避してきたが、今回は調整が間に合わず限界に達し、苦肉の策として制御に踏み切った。

 電力の需給バランスを調整する方法は複数ある。ルールではまず、貯水池からの放水を止めて水力発電を停止させる。次に、日中の余剰電力を使って「揚水発電」を稼働させて高い位置にあるダムへと水をくみ上げ、発電を夜間に回す。

 3番目は発電容量が大きく、調整作業が比較的容易な火力発電。状況を見ながら、出力を最小限まで引き下げる。

 それでも供給量が上回るようなら他の地域への送電が図られる。九電の場合は、本州と九州をつなぐ「関門連系線」で中国地方以東や四国に送電する。ただ、運用容量は最大278万キロワットとされるが、実際に融通できる量はそれを下回るという。

 さらにバイオマス発電の制御でも十分でない場合、太陽光や風力事業者への出力制御が実施される。原発は、運転の停止や再開に時間がかかる長期固定電源との扱いで、制御の順番で再エネなどよりも優遇されている。

 13日は、昼すぎの需要量828万キロワットに対し、火力発電などを最大限抑制しても供給力は1293万キロワットと大幅に超過。揚水発電などで226万キロワット、域外送電196万キロワットをそれぞれ除外しても供給過多となる43万キロワット分の制御が必要だと算定された。【共同】