小津安二郎が最期の時、吉田喜重に語ったとされる有名な一言、
「映画はドラマだ、アクシデントではない」

これは紛れもなく、当時の大島渚を代表とする「松竹ヌーベルヴァーグ(吉田もその一員にいた)」に対するアンチテーゼであろう。

しかしこの言葉、今のアニメにも深く突き刺さるのではないだろうか?


アニメは全部作り物だ。そこに「アクシデント」はあり得ない。
しかし、にもかかわらず、そこに「アクシデント」性を求めようとする向きが、最近多いのではなかろうか?
あたかも「自分はもっとできる子なんだ!映画を解っているんだ!」と言わんばかりに。

でも、当たり前だがアニメで「アクシデント」は表現できない。
表現した気になっているだけだ。
バカバカしい。

今年は、そのスノビズムが悪目立ちする年だったように思う。
みんなええかっこしいをしたくて、わざと「ドラマ」を崩して、どや、新しい表現だろ?とイキがる。

非常に愚かだと思う。


アニメは「ドラマ」だから、引いては「作り物」だから、伝えられる真実がある。
それは「アクシデント」でも、もっと言えば、お前の気まぐれでもない。
ちょっと映画を齧っただけのバカが、馬脚を現す年になったようだ。