「筒井康隆展」が世田谷文学館で開催中。現代文学の巨人、その世界観と魅力を探る
『時をかける少女』『七瀬ふたたび』『文学部唯野教授』などの作品で知られる作家、筒井康隆の世界を紹介する初の展覧会が世田谷文学館で開催中。会期は12月9日まで。
筒井康隆は1934年大阪生まれ。60年に江戸川乱歩が編集する雑誌『宝石』に掲載された短篇「お助け」で作家デビュー。星新一、小松左京とともに「SF御三家」として人気を博し、その後もSFの枠にとどまらない実験小説を多数発表してきた。
本展では、ジャンルに縛られず創作活動を続けてきた筒井の世界を紹介。日本にSFを根付かせた作品群や実験的な言葉・方法論を駆使したスラップスティック作品など、膨大かつ多ジャンルな作品の数々を、トラフ建築設計事務所のデザインにより一望することができる。
また、筒井が学生時代からのめり込んでいた俳優としての活動も紹介。82年、筒井は自身が座長の「筒井康隆大一座」を立ち上げ、演劇・映像作品を数多く手がけた。99年には演出家・蜷川幸雄たっての希望でチェーホフ作の『かもめ』に出演。会場の「筒井康隆劇場」では、『かもめ』をはじめ演劇の記録映像が上映される。
そのほかにも本展では、筒井とファンとの交流やその多彩なエピソードも楽しめる。76年にファンクラブが発足し、ジャズピアニストの山下洋輔が名誉会長を務めるなど、各界に強烈なファンをもつ筒井。関連イベントには筒井本人が出演し、秘蔵の品々を一挙に販売するオークションイベントも開催予定だ。