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コラムの泉

成果主義とは何なのか(3)(4)

カテゴリ
労務管理  >  全般
最終更新日
2005年09月19日 20:46
著者
カインドコンサルティング さん
ポイント
203,983ポイント
ポイントランキング100

成果主義とは何なのか(3)

3. なぜ成果主義は評判が悪いのか
成果主義はさまざまな批判を受けて、評判が悪いのは事実である。しかしその評判は成果主義の考え方に由来するのか、ほかの要因が重なって批判や不満が増幅されたのかについて検討してみたいと思います。

(1)急激な格差展開に評価の不満が増幅
「F社の失敗は目標設定と成果評価である」とも言われます。実際成果主義の批判は大部分評価に集中しています。それでは成果主義の評価制度のどこに批判の矢がたっているのでしょうか。次の4つから考えてみたいと思います。

論点:①もともと成果主義文化がない上に、“人望人徳”“協調性”を美風とする独特な職場文化を持つ日本企業では問題は尽きない。
②人が人を評価することに慣れていない日本のサラリーマンに“厳正に評価せよ”というのはカルチャーショックに等しい。
③欧米のようにペイフォーパフォーマンスの考え方が定着している社会であればこれほど評価者の問題は深刻ではなかったろう
④一般職層に評価をつけるのは人事のプロではなく、彼らの一番近くにいる”現場の上司”だ。ここに多くの不満が生まれる原因がある

この4つの声は、「そもそも日本の文化では人事考課はそぐわない」「評価者にその能力がない」ということに整理されそうです。
この4つの声を聞いていると、まるでそれまで人事考課ということが行われていなかったのではないかとも感じられます。しかし決してそんなことはなく、能力主義下でも人事考課は実施されていたのです。なのになぜ今更のようにこうした声が出てくるのでしょうか。そのヒントは“厳正に評価せよ”ということにあるのではないでしょうか。

つまり今までの人事考課はいわばあいまいさがあっても許容できる範囲で実施されてきたのです。今までの賃金における考課差は格差が少なく目立たないのです。
また毎年の昇給は前年の賃金に昇給額をプラスするという増分管理ですから、賃金は下がらず評価が下がっても昇給額が少なくなる程度でした。
こうした許容範囲の広い世界で実施されていたため、きわめて評価が低い人を除き考課に関心を持つ人は少なかったのではないでしょうか。
しかし、評価結果が賃金表にダイレクトに反映され、そのまま賃金がマイナスになる時代となるとそうはいきません。一気に考課に関心が集中したのです。したがって今までの杜撰な評価が一気に火を噴いたといえます。

成果主義とは何なのか(4)
3. なぜ成果主義は評判が悪いのか
(1)急激に導入し配置等運用面の手当てが出来なかったという弱点

論点:①成果主義を導入したが、“ただやっています”というだけでは機能しない。フィードバックの仕組みの確立はもちろん苦情処理制度の拡充も不可欠だ。また成果を発揮するための社内公募制などチャンスの機会を制度的に設けることも必要になる。さらには必要とする要件、能力を獲得するために、個別にキャリアアップの学習機会をあたえることも必要になる。
成果主義といいながら、入り口の段階で“成果を生み出す仕事をする機会が保証されていない”という不満が出てくる。働く仕事の選択において“機会の平等”が保証されなくてはならない。
 成果主義というと、人件費削減のために実施したのだから賃金体系を変えればそれで良いと考える方も多いと思われますが、賃金だけ直しても関連する人事制度もその改定にあわせて直していかなければ元の木阿弥となるか、木に竹をくくることになり、ちぐはぐになってかえって不満を大きくする結果になります。
長い間日本の企業は新卒採用から始まる年次昇格的な処遇と運用・教育・配置システムに慣れ親しんできており、賃金だけを成果主義に変えてもうまくいきません。成果主義という新たな仕組みに変えるのであるのであれば、その代替のシステムができていなければならないのです。

その一つが配置における成果主義の仕組みです。
成果主義となると職能資格制度はなくなり、あらたな等級(グレード)制度が導入されるのが一般的ではないかと思います。そしてこの等級区分は職能資格区分よりもより広範囲なくくり(ブロードバンド)になる場合が多く、過去の昇格や昇進のメヤスはなくなっているのが一般的です。もはや1年先の先輩の後を追ってという水先案内はなくなっており、大げさに言えば地図のない航海に出ることになります。
成果は仕事遂行の結果ですから、より高い成果をえるためには、より高い仕事や目標に取り組む機会を得なくてはいけません。今の仕事にとどまって高い評価を得ることはいずれ限界が来てしまいます。したがってより高い仕事やポストを得ることが従来以上に重要なことになっていくのです。同じ仕事で同じ成果であれば、当然のことですが賃金はあがりません。
高い報酬を得ようとするならば高い仕事・ポストに対し自らチャレンジする場を提供するシステムを構築しなければならないのです。その際に求められるのが、機会均等と公平さであり、オープンな情報提供が望まれます。
 ところが組織長の任命や異動・転勤は部門責任者、管理者の判断に一任される場合が多いというのも事実です。人事部が関与していても実態は部門任せということもあります。このため機会均等や公平性、チャレンジの可能性がない場合には不満は以前よりも増すことになり、成果主義に対する批判や不満となるのです。
職能資格制度における昇格は昇格会議等で多面的に評価され決定されることが多く、年1回の昇格ということで社内の注目も集め衆人監視の下での選考という緊張感もあります。定期異動という仕組みがない場合、「組織は戦略に従う」(AD,チャンドラー)ので常に、組織長や組織替えは常に起こり、人事異動に対する不満はつのりますから注意が必要です。



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