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成果主義とは何なのか(1)
1. はじめに
今の世の中には、余りに多くの人が成果主義について語っています。そしてあまりに批判が多いことも事実です。そのわりには成果主義とは何なのかという定義についてははっきりと書いている人はあまり見かけません。むしろ統一した見解はないというのが実態でしょう。
なぜそのようなことになっているのか。それはこの成果主義という言葉が、ポスト職能資格制度として出現したことによると思われます。まだ成果主義が明確な定義をもっていないということは、それ自体が確立しきっておらず、まだまだ今後変更を余儀なくされて、いずれどこかの線に落ちつくそういうことではないかと私は思います。
人間にたとえればまだ発育段階の児童のようなものかもしれません。今後日本の人事制度の歴史に明確な足跡を残すのか、あるいはバブル後の不況のあだ花で終わるのかそれは今後数年の動向を見ないとなんともいえない気がします。
このように自分の頭の中では、成果主義というとジャングルに迷い込んでしまうような感じがいつもしています。今話題の成果主義とは何なのかを整理しておかないと落ち着かないのです。これから夏休みを利用していくつかの視点から考察してみたいと思います。
そのことにより私の頭の中でジャングル状態にある日本の人事賃金制度についての疑問が少しは整理され、そこから抜け出す道しるべが見つかるかもしれません。あるいは、さらに混迷するかもしれません。
何回かに分けて思いつくまま、記しますのでもし時間が許される方はお付き合いください。例によって、独断と偏見に満ちた論旨の展開をいたしますが、ひとつご容赦願います。
これから「成果主義とは何なのか」ということで取り上げる方法としては、実際に成果主義を導入している企業を訪問し実態について取材するのが本来の姿でしょうが、一介の市井の人間にとってそれはままならないことです。たずねていっても忙しい人事の方があってくれるとは思えません。まして問題点を教えてくれといってもいい顔をするはずがありません。
そこですでに書籍として刊行されている有名な著作やマスコミの報道の力を借りて、成果主義について語られている問題点を引用することによって、「成果主義とは何なのか」という考察をしたいと思います
成果主義とは何なのか(2)
2. 成果主義の時代背景
成果主義は、ポスト職能資格制度として日本に登場してきたと思われますが、その時代背景について整理してみたいと思います。
論点1:経営者の成果主義思想を強く支えているのが、企業の経営を取り巻く環境の変化特にグローバル化の中で競争していかなければならないという使命感である。
これまで検討してきた日本の人事賃金制度変遷(「温故知新」)の中で、大きな制度の転換には必ず経済環境のドラスティックな変化がつきまとうということが明確になりましたが、このように成果主義の背景にはグローバリゼーションという大きな流れが背景にあったということが出来ます。
長く続いたバブル後の不況で株価も暴落し・長期低迷しました。外資が日本企業を買収しやすい条件も整ってきたわけです。この時期には日本企業とりわけ金融を中心とした業界再編が行われ、再生機関への外資の参加も積極的に行われました。これらにより企業競争のグローバル化が進み、日本企業も生き残りをかけて企業体質・財務体質の強化に取り組んだことは記憶に新しいところです。
論点2:①企業にとって成果主義導入の狙いは“従来の固定費を変動費化する”ことにある。
②“成果主義の導入は人件費抑制の方便”とよく言われるが、企業の成果主義導入時期と重ねるようにして賃金が減少している。
バブル後に長く続いたデフレ不況では、売り上げの低迷が起こりました。固定費である人件費負担が極限に達していた企業にとって、希望退職などの雇用対策とともに人件費の効率化策としての成果主義賃金の導入が急務であったといえます。実際に定期昇給を廃止した賃金体系を採用する企業が増加したから、業績や賃金支払能力に問題を抱える企業にとって、昇給原資のひねり出しという重い課題から少し開放されたかに思われます。
論点3:グローバル競争の下で生き残るのには、スピードと変革が絶えず要求される。その上で新しいビジネスモデルを生み出す異能・異才の発掘に注力しすばらしい成果を上げた。優秀な人材に手厚い報酬を与え囲い込まなければならない-こうした流れの中で必然的に生まれたシステムである。
ハイパフォーマーを育てなければ経営はだめになってしまう。そして優秀なものには高い報酬を与えられなければ、人材流出につながり、企業存続の危機をもたらすという強迫観念も強く働いた時代背景もありました。確かに優秀なリーダーが企業に必要なことは否定しません。しかし金銭的報酬だけを不満として会社を辞めるのかということは日本企業に100%当てはまるのかという疑問もあります。コンサル業界や外資と進出で人材の奪い合いが起きている業界などではこうしたことは当てはまるかもしれませんが、多くの企業ではこれとは異なる事象ではないでしょうか
私の経験では格差が少ないことを理由に実際に退職することは少ないと思います。賃金や報酬のアップを期待して転職するよりも、より魅力的な仕事(ポストもあるが)を求めて新しい職場を探すというほうが多いように思われるからです。
しかしそういう実態をも封印する「優秀な人材に逃げられたら誰が責任を持つのか」という殺し文句がはやっていたことも事実でしょう。もとより責任など持ちようがないのですが。
しかし人件費削減だけを目的とするならば、総額人件費の抑制を考えるのか、個別賃金の抑制を取るのかなど選択肢はいろいろありさまざまな方策があったわけですが、社会全般に特に株主やアナリスト筋にはなぜ成果主義を導入して会社の建て直しをしないのかという雰囲気は強いものがあったといえます。成果主義の導入はトップ主導で行われたといわれる所以でもあります。
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