“旭日旗”自粛要請の一方で…韓国が掲げた“抗日英雄の旗”は「行き当たりばったり対応」
- 国際観艦式で韓国の船に“抗日の英雄称える旗”が…
- 「国旗以外掲揚自粛」求めたにも関わらず軍艦旗かかげる参加国続々
- 日本政府「極めて残念」 と抗議
日本には「自粛」の一方で…韓国船に“抗日英雄の旗”
韓国南部の済州(チェジュ)島沖で行われた国際観艦式で、韓国の船が掲げていた“英雄を称える旗”をめぐり、議論が起きている。
国際観艦式では、主催する韓国が招待国に対し「自国と韓国の国旗だけを掲揚する」ことを要請。
自衛隊旗である旭日旗は韓国では“戦犯旗”とされており、この自粛を求めてきた形だが、これに対し日本は「国連海洋法条約などで義務づけられている」として要請には応じず、参加を見送っていた。
ところが、11日の観艦式の海上パレードでは、オーストラリアやカナダ、シンガポール、タイなどが自国の軍艦旗を掲揚。参加10か国のうち8か国が国旗以外の旗を掲げていたのだ(FNN調べ)。
さらに、韓国の文在寅大統領が乗る船にも国旗ではない旗が。
黄色地に漢字で「帥(スイ)」と書かれたこの旗が、朝鮮水軍の大将であり「抗日の英雄」である李舜臣(イ・スンシン)を称える旗ということで、議論を呼んでいるのだ。
「韓国軍の栄光」物語る旗
1592年、豊臣秀吉の指示で加藤清正らが朝鮮半島に攻め入った、いわゆる文禄・慶長の役の戦いで朝鮮水軍の大将を務めた李舜臣。
ソウルの中心部にあり、観光スポットにもなっている光化門広場にも巨大な像が建ち、市民らも「我々の英雄です。数少ない船で多くの日本軍を撃退した」「この国とこの民族を守った、我が民族の心強い柱」と語るなど、広く親しまれている。
韓国では「抗日の英雄」とされ、2013年のサッカー東アジア杯・日韓戦では、伊藤博文を暗殺した安重根とともにその肖像画が掲げられたこともあり、11日には文大統領が「“海洋強国”は韓国の未来です。韓国海軍は李舜臣将軍の精神を受け継いだ最強の海軍です」と演説する場面も見られた。
韓国の自粛要請は「行き当たりばったり対応の表れ」
そもそも、韓国の「自粛要請」はなぜ起きたのか。
日韓関係に詳しい、神戸大学大学院の木村幹教授は「韓国の大統領府が旭日旗に反対する韓国の国会と世論の動きを見誤り、日本の対応を読み違えたために起きた事案。文政権の日本担当者の質的な劣化と、行き当たりばったりの対応の表れである」と指摘。
さらに、南北会談や米韓会談などの首脳外交を韓国の大統領府が高く自己評価し、ナショナリズムが高揚しているため、外交上の配慮に欠けたのではないかと分析。
国旗掲揚だけを各国に要請しながら、自らは「抗日の英雄」の旗を掲げた行為については、「韓国軍の栄光の歴史だからではないか」と分析している。
一連の韓国の姿勢に対し、日本政府は12日「極めて残念だ」と韓国側に抗議。
岩屋防衛大臣は会見で「なかなかお答えしにくいけれども、お察しいただければと思う。いずれにしても、日韓は未来志向で関係を発展させていこうと…」とコメントしたが、韓国側の行為は未来志向に反するのでは、という質問に対しては発言を控えた。
「旗」をめぐる今回の騒動は、文政権の問題点を強く認識させる機会になったとも言えるだろう。
(「プライムニュース イブニング」10月12日放送分より)