9月20日、米「Amazon.com」はシアトルの本社にて、音声アシスタント「Alexa」関連の新技術・新製品発表会を開催した。筆者もその現場を取材し、戦略の一端を当事者に訊く機会を得た。
「家電づくり」という側面から見て、Amazonが今、いったい何を考えているのか──。その意図と狙いを、彼らの言葉から探ってみよう。
9月末、Amazonは多数の新製品を発表した。
そのうち日本で販売されるのは、「Echo Dot」「Echo Show」など、4つの主要製品にすぎない。そして今回、Amazonが発表した製品群のうち、戦略的に重要な意味を担っているのは、じつは日本では販売されなかった製品である。
Amazonはアメリカで、近日中に、自社ブランドの「電子レンジ」を売り出す。
日本では、「Amazonが白物家電に参入」というニュースとして騒がれたようだが、それは的外れだ。同社は「Amazon Basics」という、シンプルな製品群を販売する自社ブランドをもっている。
日本のサイトではスマートフォンのケーブルや電池などが中心だが、アメリカでは椅子から寝具、カメラの三脚まで、ありとあらゆるジャンルを扱っており、そこに電子レンジが入っても違和感はまったくない。
ただし、ただ単に「Amazon Basics」の商品を1つ増やすだけなら、わざわざAlexa関連の発表会で持ち出す必要はない。この電子レンジ、すなわち「Amazon Basics Microwave」は、Alexaとの連携機能を搭載しているところがポイントだ。
とはいえ、電子レンジそのものに音声認識機能が備わっているわけではない。ネット接続の機能を有しており、家庭内のAlexa搭載機器(スマートスピーカーのEchoなど)に「電子レンジでジャガイモを蒸して」といえば、レンジが動き出してジャガイモを調理してくれるという仕掛けになっている。
Wi-Fiでの接続機能とAlexaとの連動機能を備えた「Alexa対応家電」として働くわけだ。