【納骨堂って何?】遺骨の行先や種類などの基本を紹介!

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納骨堂の外観

昔からある「納骨堂」。最近は、お墓を継ぐ人がいない世帯が増えており利用者が増えています。

そのためか、電車内やホームなど納骨堂のポスターを見かける機会が多くなった気がします。

ただ、利用者は増えていてもその細かな実態までは知らない人が多いのではないでしょうか。

この記事ではこのような問題を解消!

  • 「納骨堂って何を指すの?」
  • 「納骨堂を選ぶときに注意すべきことって何?」
  • 「納骨堂や共同墓地、お墓の種類が多すぎて混同してしまう」

この記事では、「納骨堂」について形式・種類・費用などの基本情報をまとめています。

また、実際に選ぶときに確認するべきポイントも紹介していますので参考にしてください。

納骨堂とは

納骨堂とは、遺骨を納めるための収蔵スペースを備えた建物のことです。
さまざまな寺院や霊園が納骨堂を運営しています。
お墓が遺骨を埋蔵する野外の施設であるのに対し、納骨堂は遺骨を収蔵する屋内の施設だと言えるでしょう。

納骨堂と一般のお墓との違い

遺骨の供養の方法で一番多いのは一般的なお墓への埋葬です。 お墓と納骨堂とはどのように違うのでしょうか?くわしく見ていきます。

お墓は屋外につくられた納骨場所

一般のお墓は野外に設置され、その地下に遺骨を埋葬することが最大の特徴です。
日本では亡き人の遺骨を土に還し、その地上に石碑を建てて、手を合わす対象としてきました。
もちろん、遺体や遺骨を自然に還すという営みは世界中で見ることができます。

中国が発祥の儒教では、人は死後、魂は天に還り、魄(はく:肉体、転じて遺体や白骨)は地に還ると考えた「魂魄(こんぱく)二元論」が根底にあります。

また、日本人は古来より森羅万象に魂が宿るものと考える自然崇拝を行っており、特に岩や石は信仰の対象でした。

ですから、遺体(あるいは遺骨)を土に還して、石を礼拝の対象にするところに、儒教や古神道の影響を見ることができます。

遺骨を骨壺のまま保管する納骨堂

一方、納骨堂は、骨壺の中に遺骨を納めて、収蔵施設に安置します。
実は納骨堂は最近の施設のように思われる人が多いのですが、昔から存在しました。

ただし、お墓を建てるまで一時的に遺骨を預かるケースが多かったようで、あくまでも先祖の供養は子孫が個別に執り行うのが一般的な方法でした。

しかし現代では、お墓の代わりとなる礼拝施設として用いられています。
納骨堂にもさまざまなスタイルのものがあり、棚型、ロッカー型、仏壇型、自動搬送型などがあります。

屋内のお参りのため、雨風を気にする必要がなく、ゆくゆくの墓じまいの必要もないために、多様なライフスタイルに応える形で納骨堂は人気を集めています。

ただ、いつまでも遺骨を納骨堂に安置しておくわけにはいきません。
33年などの一定期間を過ぎたあとは永代供養塔などで合祀されることが多いことから、跡取りのいない人たちが多く利用しているようです。

納骨堂が最近増えている理由

供養の多様化や費用を安く抑える傾向にある中で、納骨堂が人気です。
昔のように同じ場所にずっと住み続けるわけではないために、お墓を建てても墓守がいないという事態が起こりえます。

また、お墓を建てるよりも安い費用で済むからです。
このような、バブル崩壊後のライフスタイルや景気低迷といった社会の状況で、納骨堂は間違いなく、供養の行き場に困る人たちへの受け皿になっているのです。

納骨堂を利用するメリット・デメリット

納骨堂のメリットとデメリットをまとめます。

納骨堂のメリット

  • 費用が安い
    お墓を建てるためには墓地と墓石を購入しなければなりません。
    納骨堂の費用は施設によってさまざまですが、ほとんどの場合、お墓よりも安く済みます。
  • 寺院が管理してくれることの安心感
    多くの納骨堂は寺院の境内にあり、管理してもらえます。
    防犯的な意味合いだけでなく、常に供養が行き届いているという安心感があります。
  • 便利なアクセス
    墓地を購入しようとすると、都心部では価格が上昇し、郊外や都心部ではお墓参りそのものが大変になります。
    納骨堂は、都市部にあることも多く、自分たちがお参りしやすい場所に購入することができるでしょう。
  • 掃除や管理がしやすい
    納骨堂は建物の中の施設です。お墓のように野外に置かれて、雨や風にさらされることがありません。
    墓石磨きや草抜きのような、労力を要する掃除の必要がありません。
  • 改葬や墓じまいに手間や費用がかからない
    引っ越しが多く、改葬が伴う場合、あるいは跡取りがいなくなった時の手間が楽です。
    墓じまいは墓地の面積が1㎡で10万円近くかかると言われています。
    納骨堂の場合ではお墓の施設がないために、解体撤去の工事が不要です。

納骨堂のデメリット

  • 納骨する遺骨の数に制限がある
    納骨堂では、骨壺のまま遺骨を収蔵します。土に還るわけではないのでずっとそこに残ったままです。
    スペースにも限りがあるために、遺骨が多い場合は収まりきらないということも起こりえます。
  • 従来のお墓参りができない
    従来のようなお墓参りができません。
    納骨スペースは個別に区切られていますが、これまでのお墓参りに慣れている人にとってはとても窮屈に感じられる人もいるでしょう。
  • 最終的に遺骨は合祀される
    納骨堂を終の棲家(ついのすみか)と決めた場合、遺骨は合祀(他の人の遺骨と同じ場所に埋葬されること)されるでしょう。
  • 地震などの災害や建物の老朽化などへの対応が不明瞭
    お墓への納骨の場合、墓地を区切って埋蔵しているために、どこに誰のお墓があるかすぐに分かります。

    ところが納骨堂の場合は1つの部屋の中に納骨棚が整然と並んでいます。
    万が一、建物が老朽したり地震が起きたりした際の遺骨の取り扱いに不安が付きまといます。

納骨堂の種類

納骨堂にもさまざまな種類があります。

  • 棚型
    ひな壇に遺骨や位牌を整然と並べる形式です。
    礼拝は中央に鎮座するご本尊に向けて行い、個別には行いません。
    ロッカー型や仏壇型のように個別のスペースがないために、最も安価な方法でしょう。
  • ロッカー型
    遺骨をロッカーのような収蔵棚に保管します。
    手前に花などを供える簡易のスペースを設けているタイプもあれば、遺骨を取り出して共有の礼拝スペースで手を合わすタイプもあります。
  • 仏壇型
    扉を開くと宮殿(くうでん:仏さまが納まる場所)があり、本尊や位牌に向かってその場で礼拝できるタイプの納骨堂です。
    通常、ひとつの区画の中で、上段が仏壇スペース、下段が納骨スペースという具合に分けられています。
  • 自動搬送型
    コンピューター制御の納骨堂です。
    共有の礼拝スペースでICカードをかざすことで、遺骨が自動で運ばれてきます。
    土地不足の都心部で納骨堂を実現させるためにできたもので、「マンション型納骨堂」などとも呼ばれています。

納骨堂の費用相場

納骨堂の費用は、1人用が50万円、家族用が100万円だと言われています。
とはいえ、この相場はあまりにも曖昧です。

筆者は仕事がら、何十何百というお寺に出入りし、実際に納骨堂を製作、納入した経験もあります。
ネット上の情報と、筆者の経験から、相場をもう少し具体的に見ていきます。

  • 棚型
    棚型は、構造もシンプルです。本堂や納骨堂のひな壇に骨壺を並べるだけ。
    費用はお寺のさじ加減、ということが多いように思われますが、10~20万円くらいでしょう。
  • ロッカー型
    ロッカー型は遺骨の収蔵を目的とした施設で、納骨堂の中では安価な部類に入ります。
    20~50万円くらいでしょう。
  • 仏壇型
    仏壇型は、遺骨の収蔵と礼拝を兼ねた施設です。
    1人用、2人用、家族用とさまざまなタイプがあります。
    安いもので50万円。一般的な相場が100万円。高いもので150~200万円くらいでしょう。
  • 自動搬送型
    自動搬送型は、コンピューター制御と、内装や外観など充実した設備が特徴です。
    1人用や2人用だと100万円前後、家族用だと100~200万円ちかくするでしょう。

納骨堂の探し方から決めるまでの流れ

納骨堂はさまざまな寺院や霊園が運営しています。
大事な遺骨を預ける施設です。
自分たちが気に入った場所を選ぶことができるよう、焦らずにゆっくり決めましょう。

  • インターネットなどで検索
    まずはインターネットなどで調べてみましょう。自分たちが望むエリアにどのような納骨堂があるのかを確認し、気になるところをピックアップします。
  • 地域の仏具店に聞いてみる
    これは筆者の体験談ですが、仏教寺院は未だにネットでの情報発信を苦手としている面があります。
    ネット上には出ていない隠れた納骨堂が、実はあなたのお住いの近くにあるかもしれません。

    その地域の仏具店であれば、寺院の様々な情報を持っているので、一度訊ねてみるのもいいでしょう。
  • 電話問合せ、資料請求
    電話で問い合わせして、資料請求をしましょう。
    電話での応対が丁寧か、資料は分かりやすく作り込まれているか。
    対応や資料のできばえが、お寺の姿勢を反映していることもあります。
  • 現地見学
    気になる納骨堂を3~4箇所ほど選ぶことができたら、実際に現地に出向きましょう
    自宅からのアクセス、施設の充実度、境内の雰囲気、予算、寺院の人柄など、現地でしか確認できないことがあります。
  • 契約
    気に入った納骨堂があれば契約しましょう。
    契約書を取り交わします。
    大変かとは思いますが、一字一句を細かく確認することをおすすめします。

    特に以下の2点は注意しておきましょう。
    • 万一経営が破綻するようなことが起きた時、どのような対応をしてくれるのか。
    • 供養の期間を設けている場合、その期間を過ぎた後の遺骨の取り扱いをどうするのか。

納骨堂を選ぶときに気をつけること

納骨堂を選ぶ際には以下の点に気をつけましょう。

  • 交通アクセス
    まずは自宅から行きやすい場所にあるかどうかを見極めましょう。
  • バリアフリー
    いまは足腰が丈夫でも、年齢を重ねるとお参りも大変になります。
    バリアフリーの充実度を確認しておきましょう。
  • 宗旨・宗派
    どの宗旨宗派でも受け入れてくれるか。
    もしかしたら、その寺院への入檀(檀家になること)を求められることが稀にあります。
  • 安置期間と更新について
    一定期間をすぎたら合祀にするケースが多いようです。
    大切な遺骨の取り扱いです。
    期間と更新についてもきちんと確認しておきましょう。

個性的な納骨堂をピックアップ

納骨堂を運営する寺院は日本各地にありますが、ここでは特に珍しい個性的な納骨堂をご紹介いたします。

万松寺納骨堂(愛知県名古屋市)

万松寺は名古屋市中心部にある由緒ある寺院です。織田信長の父である信秀が開いた織田家の菩提寺です。

自動搬送型の「白龍館」、仏壇タイプの「天聚閣」、そして、LEDライトで浮かび上がる諸仏によって幻想的な空間が広がる「水晶殿」。それぞれの用途によって選ぶことができます。

万松寺納骨堂

伝燈院麻布浄苑(東京都港区)

伝燈院は港区麻布にある曹洞宗のお寺。納骨堂や永代供養を積極的に受け入れているお寺です。

”屋内納骨堂”は漆塗りの納骨段が並び、”屋外納骨堂”は御影石で作られた納骨棚。中心には阿弥陀如来の石造が据えられ礼拝することができます。

永代供養墓もあり、都心でありながら、閑静な空気の中で、自分たちにあった供養の方法が見つかることでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
納骨堂にもさまざまなものがあるということを理解してもらたでしょうか?
慌てることなく、自分たちが納得の納骨堂を見つけることができるかが大切です。

一口にお墓・霊園と言っても、豊かな自然を背景にしたり、規模や宗派だけではない様々な特色があります。
お住まいの地域・ご実家の近隣などで、どんな霊園があるかご覧になってはいかがでしょうか?

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