保育園「死亡事故発生率」が示す不都合な真実

午睡中の乳児死亡事故は防げなかったのか?

認可外保育園で起きた乳児の死亡事故は防げなかったのだろうか(写真:つむぎ/PIXTA、写真は本文と関係ありません)

3人の子を持つ母親として、日々待機児童問題に取り組む筆者にとっても、本当に胸が痛む事故がまた起きた。東京都練馬区の認可外保育園「若草ベビールーム」で10月3日、預けられていた生後6カ月の男児が死亡したのだ。

報道によると、職員が男児にミルクを飲ませた後にベッドで寝かせ、30分後に確認したときにはぐったりした様子だったという。そもそも、午睡中30分も放置するというのはありえない。

調べてみると、同園は40年続く「老舗」とも呼べる存在だった。にもかかわらず、睡眠時の危険性を十分に理解していないと言わざるをえない。

午睡中は最も注意すべき時間

そもそも、睡眠時に子どもを放置しておくとなぜ危険か?というと、睡眠時の突然死が圧倒的に多いからだ。乳幼児の死亡事故は原因がさまざまあり、原因不明が最も多いのだが、うつ伏せで寝る子の突然死が特に多いといわれる。このことは産院でも習うし、母子手帳にも記載があるため、母親なら誰もが知っている。

しかし、生後間もない新生児は仰向けに寝かすと軽く手足を動かす程度で、うつ伏せになることができないので、うつ伏せ寝の危険がないと油断してしまう。ところが、ある日突然、「仰向け→うつ伏せ」の寝返りができてしまうのだが、「うつ伏せ→仰向け」には戻れないのだ。

乳幼児の突然死が発見されたときの状態は、うつ伏せ寝が6割とされている。それゆえに午睡中は最も注意すべき時間であるし、初めての寝返りが起きやすい生後6カ月は細心の注意が必要だ。

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  • NO NAME9bcf59aee02a
    「子どもの死は原因の解明が難しいと言われ、予防策を立てづらい」のにも関わらず、「保育園で二度と悲劇を起こすな!」とプレッシャーをかけられて仕事をする年収200万円台の保育士さんには頭が下がります。
    up34
    down3
    2018/10/11 16:38
  • NO NAMEcd8223dce671
    認可外が全部悪いんじゃない。条件が悪い中でやりがいと手弁当だけで働く女性を助けてるところもある。補助金がないから、人が足りなくて、機械が導入できなくて起こる事故だってある。確率論は、あくまで確率。当事者にとっては0か100だ。認可外をひとくくりにして論じるのはやめてほしい。
    up22
    down2
    2018/10/11 18:01
  • NO NAME3429b584a9ff
    他人に預けたということは、ある程度のリスクは覚悟すべきだろう。
    保育士だって人だからミスもあるだろう。

    リスクが許容できないから、と他人に預けなくとも(≒専業主婦でも)事故は起こる。
    育児+家事で疲れ切った主婦に油断が生じない保障など無いからね。

    結局誰かに責任を押し付けたいだけだろう。
    up20
    down3
    2018/10/11 16:35
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