~アニア村~湯煙オーバーロード 作:塩もみシラス
次の話 >>
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▽アニア村▽
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アニア村は、スレイン法国とリエスティーゼ王国の国境その丁度真上にある村だ。
その村の歴史は古く王国も法国も帝国すら存在していなかった時代からそこにある村。
この話は、王国と法国の間にある山の麓の小さな村が中心となって起きた話である。
村人A
「村長どうするっ・・・」
村人B
「また村の若者が村を出ていっちまったよ」
村人C
「まだ残ってる若者と言えば、村長の所の孫娘のウェニー(15)ちゃんくらいじゃろ」
村人A
「温泉宿のとこのは・・・」
村人C
「ついにもうろくしたか?ジェシーはもう30なるじゃろ。もう若者とは・・・」
村人A
「もうそんな歳じゃったか。見た目だけは18でも通りそうな感じなのにの」
村長
「せめて、たまに来る冒険者の若者でも捕まえてくれれば良い働き手になったのだがな・・・」
そこそこ年寄りの村長を含めた4人(男)が村の若者の減少をどうにかするべく会議を開いていた。
そこは温泉宿の別館にある宴会場で、縦長のテーブルで左右に向かい合うように座れば10人は座れるのが3つ並んでいる。
20年も前なら会議を開けば席は埋まったのだが、若者の減少とついでに老人の減少によって寂しい事になっている。
村人B
「10年前は冒険者に言い寄られる姿も見たが、最近はその手の話も聞かん」
村人C
「もう無理じゃろ」
ジェシー
「誰の・・・何が・・・無理ですって?(怒)」
村人C
「そ、村長ぉ茶がうまいのぉ」
村長
「そ、そうだな」
ジェシーはそんな村長達をみて「ちっ、とぼけやがって」と内心思いつつも、未だに男を捕まえられずにいる事の焦りを改めて感じる。
村人A
「ジェシーちゃんは何しに来たんかの?」
ジェシー
「何しにって、差し入れを持ってきたのよ。村の為の会議をしてるって聞いたから」
そう言って温泉卵と握り飯を村長達の前に置いていく。
村人A
「ええ娘じゃなぁ。見た目もスタイルもええのに見る目がない奴ばかりじゃぁ」
村人C
「そこ漢字を間違えとりゃせんか・・・」
村長
「ば、バカっ」
ジェシー
「私も~、村の為に頑張ってる村長さん達の為にぃ~。おいしい熱熱なお茶淹れて差し上げますね~」
突然、猫を被りとぼけた感じのアイドル口調でお茶を淹れていく。
村人C
「湯気が尋常じゃない気がするんじゃが・・・」
ジェシー
「冷めないうちに飲んでくださいね♪・・・・・・・・・つか飲め(ドスの効いた声)」
村人A
「うまいのぉ」※(適温のお茶です)
村人Aが躊躇なく飲んでいるのを見て「もしかして大丈夫なのでは?」という考えが生まれる。
村人C
「せ、折角だし飲みますか・・・村長」
村長
「う、うむ」
村人B
「・・・」
三人はお互いに目配せをし、覚悟を決めたように頷き合いお茶を口に含んだ・・・。
村長&村人B&村人C
「「「あっつ~~~~~~~~~!!!」」」
村中に三人の声が響き渡る程の絶叫だったという。
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▽ここはナザリック地下大墳墓。アインズの部屋▽
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デミウルゴス
「アインズ様。急ぎご報告したき事がございます」
アインズ
「お前が急ぎとは珍しいな。もしかしてシャルティアを洗脳した者が見つかったか?」
デミウルゴス
「いえ、そういう訳ではないのですが、他の守護者達にも聞いて頂きたいので皆を集めておいて頂けますか?私もすぐそちらに向かいますので」
アインズ
「分かった、皆を玉座の間に集めておく。そこで聞かせてもらうとしよう、その急ぎの報告とやらをな」
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▽ナザリック地下大墳墓。玉座の間▽
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デミウルゴス
「お待たせしました。アインズ様、そしてみなさん」
アインズ
「早速だが聞かせてくれるかデミウルゴス。皆を集める程の報告とやらを…」
シャルティア
「ほんとでありんす。お風呂でアインズ様を悩殺するせくしぃ~なポーズを考案中だったんでありんすからね」
アインズ
(・・・えっ。シャルティアのやつ風呂でそんな事してたのかよ!)
アウラ
「それは普通に暇だったんでしょ!私なんて森での作業の途中だったんだからね」
コキュートス
「我モリザードマンノ村ニ攻メ込ンデキタ敵ノ掃討中ダッタ」
アルベド
「そこの発情吸血鬼はともかく皆仕事中だったのだし、つまらない報告だったりはしないわよねデミウルゴス?」
シャル
「そういう守護者統括様は何をしてたんでありんすかねぇ!」
アインズ
「アルベドならわ・・・」
アルベド
「私はアインズ様が書類に目を通されてる間その後ろでアインズ様がいつ振り返ってもいいように殿方が好きそうなセクシーポーズを取っていたわ!!」
アウラ
「うわぁ・・・」
アインズ
(えっっ!アルベドのやつそんな事してたの?!普通に仕事手伝ってたとか言おうとしちゃったよ。というかちょっと見たかっ・・・ゴホンッ。なんでもないですハイ)
シャルティア
「私と大差ないじゃない!それで偉そうにしないでおくんなまし!」
デミウルゴス
「アルベド、シャルティアじゃれ合うのはその辺にしてもらえるかな?これから話す事は恐らくシャルティアやアルベドにとって重要な案件だと思うしね」
アインズ
「アルベドとシャルティア…か。なるほどな」
(2人に関係するとなれば女性関連に違いない。となれば宝石とかだな。女性はそういうの好きだしアウラは興味なさそう。レアな宝石とかになればファッションだけでなく、戦闘や触媒などにも使える希少な効果を持つのも・・・。皆を集めたのはその宝石が取れる鉱脈を見つけたとかだろう)
デミウルゴス
「流石はアインズ様!もうお気づきになるとは・・・」
マーレ
「さ、流石アインズ様です」
コキュートス
「サスガ至高ノ御方」
アインズ
「世辞はよい。デミウルゴス皆に話の続きを」
デミウルゴス
「畏まりましたアインズ様。アインズ様にはもう看破されてしまったようですが、この件にはアインズ様の協力が不可欠ですし見破られてしまうのも仕方ないですね」
アインズ
「・・・?」
(早速違うんかい!分かった風な事いっちゃったよ・・・。俺が説明する流れになりませんように!)
アルベド
「私とアインズ様・・・分かったわ!」
シャルティア
「私も分かったでありんす!」
アウラ
「んー。アレの事なのかな?」
マーレ
「あの2人の反応からするとそうなのかな・・・。で、でも可能なのかな・・・」
アインズ
(アレ?みんな分かっちゃったの?分かんないの俺だけ?コキュートス、お前はこっち側だと信じてるぞ!)
コキュートス
「・・・モシヤ、アノ時言ッテタ件カ?」
デミウルゴス
「その通りだともコキュートス」
アインズ
「コキュートスゥゥ!!」
コキュートス
「ア、アインズ様!ドウサレマシタカ!」
アインズ
(どうされましたと言うか思わず叫んじゃってどうしようって感じなんですけど・・・)
「あ・・・うん・・・。すまない。大声を出してしまった」
必死に大声をあげてしまった無難な理由をひねり出そうとする。
アインズ
「あ、あの時というのは分からないが・・・あ。あのコキュートスが少ない情報から答えに辿りついたのがその、嬉しくてついな」
コキュートス
「有難キ幸セ」
マーレ
「よ、喜んでいいのかな・・・(小声)」
アルベド
「コキュートスばかりずるいですアインズ様。私も褒めてほしいです」
シャルティア
「わ、私もでありんす!」
アルベドとシャルティアが2二人してアインズに迫る。
が、2人は互いに相手より前へと出ようとするために肩と肩が必然的にぶつかり合い火花を散らす。
アルベド
「そもそもあなたの腐った脳で正解できているのかしら。恥をかく前に下がった方がいいんじゃない?」
シャルティア
「そ、それを言うならアルベドの方こそ間違っているんではないかえ?」
アルベド
「分かったわ。なら同時に言いましょう。せーの!」
アル&シャル
「「アインズ様と行くハネムーンの場所!!」」
シャルティア
「ふふん!みたでありんすか?私だってやればできるんでありんす」
アルベド
「くっ。まさかほんとに正解してくるなんて・・・」
アインズ
(え?ハネムーン?何の話だよ。でも、あのアルベドが間違うわけないし・・・)
アウラ
「・・・二人とも違うでしょ」
マーレ
「ぼ、僕もそう思います」
コキュートス
「アル意味、近イト言エナクモナイワケデハ・・・」
デミウルゴス
「コキュートス、ここは甘やかさずにハズレと言うべきかと」
アインズ
(違うんかい!)
アル
「じゃ、じゃぁ褒めていただくわけには・・・」
アインズは無言で両手をクロスさせた。
(俺だけ分からないのかと不安だったが、お前達が俺と同じこっち側で安心した。ある意味グッジョブ!褒めてやるぞ心の中で)
シャル
「結局正解はなんでありんすか?」
アウラ
「アインズ様の子供に関係する話・・・、じゃないかな?」
マーレ
「僕もそう思いました」
アインズ
(これはアウラもマーレもこっち側かな?アンデッドに子供が出来るわけないじゃないか、ははっ。一人だけ間違うと悲しくなるが仲間が多いと心が落ち着・・・)
コキュ
「正解ダ」
アインズ
「え・・・・・・?」
デミ
「ええ。まさにその通りですとも。私の手にした情報が真実であればアインズ様のご子息がナザリックに誕生するかもしれない大事件なのです!」
アインズ
「・・・・・・(思考停止)」
精神抑制1
精神抑制2
精神抑制3
精神抑制4
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精神抑制10
意味の分からない事態に混乱し動揺しまくるアインズ。
連続して発動した精神抑制によって落ち着いたアインズは心の中で叫ぶ。
アインズ
(はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!どういうことだよぉぉぉぉ!!)
精神抑制11
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・・・・・・しばらくは落ち着きそうになかった。