展示予定のアルバムを見詰める関係者=新竪町小
来年3月で閉校する金沢市新竪町小ゆかりの品を集めて展示しようと、同校や同校PTAが収集活動を始めた。文集や卒業アルバム、地域を撮影した写真などを卒業生や地域住民らから募り、11月と来年3月に校内で紹介する。148年の歴史を持つ同校は、世界的仏教哲学者の鈴木大拙や文豪室生犀星にゆかりがあることでも知られており、両偉人や卒業生、住民それぞれの「思い出の品」を通じて学校の記憶を未来へつなげる。
新竪町小は1870(明治3)年に河原町小として創立し、その後、校名を変えながらこれまでに1万6千人以上の卒業生を送り出してきた。
本多町小時代には大拙が卒業しており、新竪町小になってからは犀星の妻・とみ子が教師として勤めていた。この他、国文学者の藤岡作太郎(東圃(とうほ))や評論家三宅雪嶺(せつれい)らを輩出するなど、数多くの郷土の偉人が卒業生に名を連ねている。
PTAの相澤健一会長(48)が、卒業生や住民に学校の長い歴史を振り返ってもらうとともに、多くの著名人を輩出した母校を誇りに思ってもらう機会にしてほしいと企画した。
第1弾として、11月11日に学校で行われるPTA主催のエコバザーに合わせ、収集品を展示し、7年前に開校140年を記念して製作したDVDも上映する。第2弾は来年3月23日の閉校記念イベントで、より多くの思い出の品を並べる計画にしている。
10日夜はPTAメンバーや卒業生らが学校に集まり、今後の計画を話し合った。既に文集やアルバムなどの提供を受けており、相澤会長は「148年の歴史を紹介するとともに、展示を通して新たな住民のつながりも生まれたらうれしい」と話している。
新竪町小は菊川町小と統合し、来年4月に新しい小学校が開校する。