AppleにもGoogleのスクリーンコールのような機能が必要だ
Googleは、携帯電話を所有する人を悩ます問題の解決策を提供することでAppleを出し抜いた。その問題とはスパムコール(迷惑電話)だ。Googleの旗艦AndroidスマホPixel 3は、Googleアシスタントを使ってかかってきた電話をスクリーニングするという、この手のものとしては初のスマホとなる。このスクリーニングサービスでは発信者の電話のリクエストをリアルタイムに画面に表示し、これによりユーザーは電話をとるべきかどうかを決められる。
Googleの新たなハードウェアについては発表前からかなりのリークがあったが、このスクリーンコールと、ユーザーに代わってレストラン予約するサービスDeplexの提供開始は、昨日行われたGoogleのハードウェアについてのイベントで大きなサプライズだった。
間違いなく、これらは嗜好性の強い新たなカメラの機能より重要な開発だーGoogleの新たなスマホに加わったグループセルフィーやトップショット機能がいかにクールだとしてもだ。
Appleの端末にはこうしたコールをスクリーニングする機能はなく、あるのはサードパーティの受信ブロックアプリのみだーこのアプリはもちろんAndroid携帯でも利用できる。
現在のところSiriはユーザーに代わって電話をとり、かけてきた相手に丁寧に主旨を尋ね、相手の反応を即座に表記するということはできない。早くキャッチアップする必要がある。
2019年、かかってくる電話の半分がスパムになる
GoogleのDeplex技術に基づくスクリーンコールはスマートデバイスにとって大きな一歩となる。というのも、スマートデバイスはさまざまなタスクをこなすのに何かを尋ねたり、その日のニュースや天気情報を調べたりするだけのものでなく、電話のアシスタントが現実の世界の問題に対処するのを手伝うところとなる。
テーブルに空きがあるかどうかを聞くためにレストランに電話をかけるのに加え、アシスタントは増えつつあるスパムコールから我々を守ってくれる。
スパムコールはすべてのスマホユーザーに関わる問題であり、これまでのところモバイル業界が解決できていない大きな問題だ。
来年、携帯電話にかかってくるコールの半分が詐欺電話となる。こうした詐欺電話はここ数カ月、悪質さを増している。
詐欺電話の発信元は往々にしてIRS(国税庁)、銀行、政府機関などと偽る。そして彼らは、あなたが法的問題を抱えているかのように言う。あるいは、誰かがあなたの銀行カードを盗んだと言う。または、支払うべき税金を払っていないと言う。しかも、彼らはあなたが電話をとるように仕向けようと、ローカルの電話番号が表示されるよう、電話番号をだます手口を使っている。
米国の勧誘禁止電話登録はこの問題をまだ解決できていない。FCC(連邦通信委員会)の大きな罰金が設けられているにもかかわらず、詐欺電話は増えるばかりだ。
AIがスパム発信元をさばく
その解決策として、GoogleはAIに目をつけた。
このシステムでは、予約の電話をかけたり、電話を取って開口一番に“どなたですか?”と尋ねたりするなど、我々がしたくないような仕事をより自然にこなすようにデザインされている。
昨日Googleが説明したように、Pixelデバイスを持っている人は、ボタンを押してかかってきた電話を新たなサービスにつなげることができる。Googleアシスタントがあなたに代わって電話をとり、「こんにちは。あなたが電話をかけた相手はGoogleのスクリーニングサービスを使っていて、この会話はコピーされています。お名前と電話の目的をおっしゃってください」と話す。
そして発信者の応答はリアルタイムに端末のスクリーンに表示される。
この対応表示は現在のところ保存されないが、将来的にはコール履歴に保存することができるようになる、としている。
コールの対応について、ユーザーは発信者と会話するのか、電話を切るのか、いくつかの用意されたボタンを押して操作できる。デモやサポート説明によると、「どなたですか?」「こちらからかけ直します」「詳細を教えてください」「理解できません」「急を要しますか」といった応対が含まれる。
また、デモにあるように「Report as spam(スパムとして報告する)」ボタンを押して、アシスタントに「この電話番号をあなたの連絡先リストから除外してください。どうも。それでは」と言わせることができる。
Googleボイステクノロジーはかかってくる電話をスクリーニングできる一方で、スクリーンコールは発信者に名前を尋ねる以上のことができる。穏便にコールをさばくという、ワンランク上のものだ。
これらすべてAIを使ってデバイスで行える。Googleいわく、Wi-Fi接続やモバイルデータは使用しないとのことだ。
スクリーンコールが浸透するにつれ、Googleは効率的にスパムコールの発信元のデータベースを構築できるようになる。そうすると、将来OSレベルの機能でユーザーに代わってスパムコールやテレマーケターを確実にブロックできるようになるはずだ。
「あなたがテレマーケターと話す必要はなくなる」。GoogleプロダクトマネジャーのLiza Maは、昨日のイベントで拍手喝采を浴びた後こう語ったー静かな記者発表の場で、出席者が拍手した数少ないシーンの一つだった。
Googleにはより良いAI電話がある
スクリーンコールと、より広いサービスのDuplexのニュースはAppleに向けて放たれた砲弾だ。
スマホのハードウェアは基本的に十分良いもので、そうなってから久しい。AppleとGoogleの最近のスマホでは素晴らしい写真も撮れる。カメラのさらなる開発は平均的なユーザーというより写真に熱心な人向けのものだ。電話そのものもよし、カメラもよし。では、電話に他に何ができるか。
スマホでの次のバトルはAIテクノロジーについてだ。
Appleはそれに気づいている。
6月、Appleは“A.I. phone”なるものを発表したーデバイスをパーソナライズし、より良いアシストをするためにSiriの賢さを浸透させたiPhoneだ。このiPhoneでは、ユーザーはタスクをオートメーション化するためにA.I.パワーを使ったワークフローをつくったり、彼らが開発したコマンドでより自然にSiriに話しかけたり、アプリに邪魔するようなノーティフィケーションを送らせる代わりに提案をさせたりすることができる。
しかしSiriができることのほとんどが、ユーザー側の操作に頼っている。
アプリをコントロールするためにカスタムのSiri音声コマンドを録音する(使うためにはそのSiriキャッチフレーズが何だったかを覚えておかなければならない)。ワークフローは、別のSiriショートカットアプリに一緒にピンしとかなければならない。
確かに、これらはiPhoneユーザーにとって素晴らしい機能ではあるが、シームレスという点では正確には自動A.I.テクノロジーではない。それは、A.I.がiPhoneを使う大きな意義になるよう、Appleがとる最初のステップとなる。
一方、スクリーンコールはユーザーを教育したりマニュアル操作したりしする必要がないA.I.の活用法だ。たとえ、存在を知らなくても、電話が鳴った時に“screen call”ボタンを押すというのは、かなり単純だ。
しかもこれはPixel 3の機能、ということだけではない。
Googleによると、これらの機能をまず最初に使えるのは米国のPixel 3ユーザーとなる。そして来月にも古いPixelデバイスに対象を広げる(英語のみ)。しかし推測するに、初期のテストが終わった時、Androidそのものにも搭載されることになるだろう。
結局のところ、モバイルOSバトルが今後A.I.に移るとすれば、A.I.の発展をGoogleのハードウェアデバイスにだけ縛り付けておくというわけにはいかない。
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)