米南部で「黒人男性がベビーシッター」は不審と通報
米南部ジョージア州アトランタで7日、黒人男性のコーリー・ルイスさんが白人の子供2人の面倒を見ながらサンドイッチを買いに出たところ、警察に通報されて子供たちの前で職務質問された。
ベビーシッターとして面倒を見ていたルイスさんは、子供2人とサンドイッチ店を出たところ、駐車場で女性に子供たちは大丈夫なのかと質問され、子供たちと話しをさせるように言われた。
ルイスさんが断ると、女性は3人をルイスさん宅まで追跡し、警察に通報した。
アトランタ郊外で起きたこのやりとりを収めた複数の動画を、ルイスさんはフェイスブックに投稿。これまでに60万回以上、再生された。
黒人など有色人種を不審者と決めつけがちな米国の人種偏見、いわゆるレイシャル・プロファイリングをめぐる議論が、この件であらためて再燃している。
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動画でルイスさんは、「今は2018年だが、表に一歩出れば、プロファイリングされる」と話す。
「自分は嫌がらせされて、尾行されている。自分と似てない子供2人を連れているので」とルイスさんは言い、女性が自分たちを追跡しているので子供たちが「おびえている」と話している。
ルイスさんが投稿した最後のビデオには、道端で警官に職務質問される様子が映っている。
「黒人のままベビーシッター」をしたから起きたことだとルイスさんは言い、女性が警察に通報した唯一の理由は、自分が黒人だからと指摘した。
オンラインでは大勢がビデオの内容に反発し、警察が呼ばれたのは「とんでもない」「最悪」のことだと書き込んだ。
「#BabysittingWhileBlack (黒人のままベビーシッター)」というハッシュタグをつけて、怒りを表明する人が続出した。
たとえば「ラファエル・デ・ラ・サバーブス」さんは、「黒人と白人が交流しようとすると、直ちに誰かが否定的に介入してくる。これが避けられない世界に自分たちは生きているのが、たまらなく悲しい。#黒人のままベビーシッター #ルイスに触発された」と書いた。
「黒人のまま生きる」
米国ではこのところ、黒人住民が一見して日常的な普通の行動をとっているにもかかわらず、白人住民が警察に通報する問題が相次いでいる。
このことから、まったく合法的に日々を送る黒人がいかに不審者、犯罪者扱いされているかを意味する「黒人のまま生きる(living while black)」という表現が生まれた。
大学寮の談話室で居眠りをしていた、コーヒーショップやレストランに行った、選挙活動として戸別訪問をしていた、住民として住民用プールに行った、8歳児が道端で水を売っていた――。黒人のこうした行動を理由に、米国各地で警察が呼ばれている。
ルイスさんに子供2人を預けていたダナ・マンゴさんは、米ABCテレビの朝の情報番組「グッド・モーニング・アメリカ」で、警察からルイスさんを知っているかと電話がかかってきたので、「まったく信じられなかった」と話した。
「電話してきた警官自身は、実は恐縮していて。気まずかったのだと思います。何が起きているのか、警官はすぐに把握したらしくて」
ルイスさんは、情緒や行動に問題を抱える子供たちに生活スキルを教える、若者支援団体を運営している。
(英語記事 Police called on Atlanta man for 'babysitting while black')