とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ
- 作者: コーディー・キャシディー,ポール・ドハティー,梶山あゆみ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2018/06/07
- メディア: 単行本
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目次を眺めているだけでも面白い。不謹慎だけどワクワクする。
まず最初が「1.旅客機に乗っていて窓が割れたら」
思い出すのは、ジョジョ5部のノトーリアスB.I.G戦。
ミスタが見つけた指の骨っぽいものを、ブチャラティがスティッキー・フィンガーズで機外へ排出するシーン。ナランチャがめちゃくちゃ焦った様子で「空気が一気に外に出て大変なことになるって聞いたぞ」的なことを言ってジョルノやアバッキオまでビビっていた。
ジョジョってこういう妙な知識をたまに提供してくれるんだが、あれが正しかったのかは本書を読めばわかるわけだ。
確かに機内と外の気圧の違いによる減圧が起きて大変なことになるが、高度や機体サイズや座席位置による違いについての解説が詳しく、どこにいると安全なのかも教えてくれる。
何より、航空機はとても安全で自動車事故で死ぬ確率の方がはるかに高いという安心させたいんだか日常を不安に陥れたいのかわからない捕捉もあって、図らずも死に対しるリスクマネジメントの知識も増やしてくれるのも面白い。この第1章だけでいかに本書が科学的かつユーモアあふれるものかがわかる。
死に方は全部で45通り紹介されていて、「3.バナナの皮を踏んだら」や「5.ハチの大群に襲われたら」「26.ただひたすらベッドで寝ていたら」など、一見すると「それ死ぬの?」な目次もある。でも安心してください、どの章でも必ず死に至っています。バナナの皮ってマリオカートじゃないんだから…なんて思っていたが、あれは本当に危険なアイテムだということを思い知らされた。
そんな無理やり死につながるエピソードを持ってきたかと思えば、「7.首がなくなったら」って、いやもうそれは死ぬ以外ないでしょ、というものも。
これについても「首がなくなった結果、身体にはこういうことが起きて結果的に死に至る」という大真面目な解説。プラス、脳と身体の関係なんかもわかって、カバーされている科学の分野の広さが凄い。
物理学、生物学、化学、生理学など様々な学問を用いて死に至る可能性と経緯を解説してくれていて、同じようなパターンが続かないのも読んでいて飽きない。章ひとつひとつも短くてサクサク読めるところもいい。捨て曲なしのアルバムを聴いているみたいだ。
ものすごく科学的で、そしてものすごくブラックなユーモアが溢れた一冊。