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仮想通貨交換所「Zaif」を運営するテックビューロは2018年10月10日、金融情報サービスのフィスコの傘下企業であるフィスコ仮想通貨取引所にZaifの事業を譲渡することで合意したと発表した。2018年11月22日を事業譲渡日とする契約を2社間で締結した。事業譲渡が完了した後、テックビューロは金融庁から受けた仮想通貨交換業の登録を廃止したうえで会社を解散させる手続きに入るという。
テックビューロは2018年9月20日に約67億円相当の仮想通貨を何者かに窃取される資産流出事件を起こしており、9月25日には金融庁から3度目となる業務改善命令を受けていた。約67億円のうち顧客資産の被害額は約45億円で、同社は消失した顧客資産を確保するべくフィスコグループと経営支援の協議を進めてきた。
当初はフィスコグループがテックビューロに過半数を出資し、消失した顧客資産に相当する約50億円の金融支援を受ける方向で協議していた。しかし、今回の合意ではZaifの事業をフィスコ仮想通貨取引所が継承し、同社が仮想通貨の返還に応じるなど顧客との契約関係を継承することで、顧客資産の保全に努めるスキームに変わった。
フィスコグループ側のリスク回避や、迅速に顧客保護の措置を取る観点から今回のスキームで合意したという。テックビューロは、フィスコ仮想通貨取引所は消失した顧客資産約45億円分に相当する仮想通貨などを既に調達ずみで、今回の事業継承で顧客資産は保護されるとしている。
ただし、実際にテックビューロと顧客の契約関係がフィスコ仮想通貨取引所に継承されるためには、顧客がそれぞれ契約関係の継承に同意する必要がある。このため2社は顧客に事業継承のスキームを説明し、承諾の手続きを案内する予定。
なお、消失した仮想通貨のうちモナコインは市場流通量が極めて乏しく現物の調達が困難なため、消失分に当たる約4割の預かり資産を、10月9日午前9時のレートで日本円に交換して返金するという。
テックビューロは10月19日に株主総会を開き、事業譲渡を決議する予定。10月22日に公告し、11月22日に事業譲渡を完了する予定だ。この後に解散手続に入るとみられる。