(前回から読む)
米国のペンス(Mike Pence)副大統領が「邪悪な中国共産党」との戦いを国民に呼びかけた。
善きサマリア人
鈴置:ペンス副大統領が10月4日、ワシントンのハドソン(Hudson Institute)研究所でトランプ(Donald Trump)政権の対中政策に関し講演しました。40分以上に及ぶ本格的な演説で、動画でも視聴できます。
副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と決めつけたうえ、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。中国とはともに天をいただかないと言い切ったのです。
NYT(ニューヨーク・タイムズ)は「新冷戦への号砲」と評しました。米中関係が暗くて長いトンネルに入るとの認識が広がりました。
ペンス副大統領はまず、中国が困っていた時代に米国がいかに助けたかを強調しました。その部分を要約しつつ翻訳します。
- (19世紀から20世紀にかけて)中国が西欧や日本の半植民地の境遇に陥った際、米国だけがその主権を尊重した。伝道師を送って中国に最高の大学(清華大学)を設立しもした。
- (21世紀には)中国をWTO(世界貿易機関)に招き入れ、米国市場への参入も許した。中国は米国の投資で急成長にも成功した。
米国らしい自画像です。米国人は自らを聖書に出てくる「善きサマリア人」と見なしがちです。この演説では、盗賊に襲われた瀕死の旅人は中国。「善きサマリア人」である米国に助けられてきたというわけです。
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