ZOZO「前澤友作」社長が外国特派員協会で会見 全文ノーカットで公開
「インドネシア地震にも寄付を」と外国人記者が“忠告”する場面も
ZOZOTOWNを運営する前澤友作社長(42)が9日、外国特派員協会で記者会見を開いた。アメリカの実業家で投資家のイーロン・マスク(47)がCEOを務めるスペースXと、月旅行の契約を結んだと米国では会見を開いたものの、日本では行われていなかった。
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会見の主旨としては、「ここで日本のメディアにも取材に応じます」というものだったのだが、そこは百戦錬磨のジャーナリストたち。外国メディアだけでなく、日本のメディアも参戦し、ありとあらゆる質問を前澤社長にぶつけた。その一部始終を「ほぼ」ノーカットでお届けしよう。
ちなみに「ほぼ」と保留をしたのは、質問をした記者は社名だけでなく個人名も名乗ったのだが、そこは削らせていただいたからだ。それ以外は、一言一句、何も手を加えていない。
時間になると会見場は暗くなり、月旅行計画の映像が流れる。それが終わると灯りが蘇り、前澤社長が登壇するという演出の後から始めさせていただく。
前澤友作氏(以下、前澤):先日、アメリカ・ロサンゼルスのスペースX社で大まかな概要については会見でご説明させていただいたんですけれども、日本向けにはこれが初めての説明になりますので、今日はよろしくお願いします。そして、何でも訊いてください。
(通訳が英語に翻訳したり、司会担当記者が進行の説明などを行ったりして、少し中断)
前澤:今日は会社の決算説明会でもないですし、事業説明会でもないので、個人・前澤友作として楽しい会見にしたいなと思いますので、あの、楽しいご質問を、ぜひお願いします。
司会担当:今日のファッションは素晴らしいですね。ZOZOTOWNのものですか?
前澤:いいんですか? 宣伝しちゃって(笑)。全身、今日はプライベートブランドで、最近、始めた我々のプライベートブランド「ZOZO」を着ておりまして、ZOZOというブランドの特徴は、その人その人の体型に合った、ぴったりのサイズを、体型を、ZOZOSUITというツールを使ってですね、計測した後、ぴったりな服をお届けしようというブランドでして、今日、見ていただければ分かる通り、僕的にはかなりぴったりなんですが、いかがでしょうか? 皆さんも、このようなぴったりとした服が買えますので、ぜひトライしてください。以上、宣伝でした(笑)。
司会担当:ZOZOTOWNの広告は、ここまでとしたいと思います。まず私から1つ目の質問で、それからQ&Aに移りたいと思います。まず私から、前澤さんは非常に大きなZOZOTOWNという会社を経営しながら、宇宙飛行士としてこれからトレーニングをやらないといけないですし、アートコレクターとしての側面もありますので、そういうのって1日でどういう風に対応されているんですか?
前澤:Good question(英語)。あのですね、私どものZOZOという会社は、短時間労働を社員にも推奨しております。我々が導入している具体的な策としまして、6時間労働制というのを実は取り入れておりまして、普通は8時間ですよね。我々の場合、6時間で自分の仕事が終わったなら、もう、すぐに帰ってしまっていいよ、と。こんなことをしているんです。それをやり始めた瞬間ですね、社員たちの働き方が変わりました。どう働き方が変わったかというと、もう、無駄な作業はやめる、無駄な資料はやめる、無駄な会議はやめる、そういう風になりました。
結果として、もの凄く集中力が高まり、パフォーマンスも上がり、6時間で帰る人が続出しました。つまり私をはじめ我々のZOZOという会社は、短時間で集中して、好きなことをやって早く帰りましょうというのを、ずっとやっているんですね。その関係で私自身も、会社にもう朝から晩までいるというようなワークスタイルは取っておりませんで、会社には週に3日から4日くらいしか、行った時には6時間で帰ってますね。ですので、それ以外の時間は結構あるんです。
それ以外の時間を何に使っているかというと、趣味のアートだったり、車が大好きだったり、今日のこの宇宙の発表もあったり、そういうお勉強だったり、体験だったり、お買い物だったり、そういうことに凄く時間を使います。で、この会社以外で過ごす時間を僕は凄く重要にしています、大切にしています。かつ、それは社員に伝えています。
どういうことかと言いますと、会社でやること以外にも、たくさんのインプットを増やしなさいと。だから会社が終わって、どこかで習い事をするのもいい、誰かに会うこともいい、どこかへ旅行に出かけることもいい、この全てが、みんなにとってのインプットになりますと、そのインプットというのは、明日、明後日の皆の仕事にも必ず活きますと、つまりインプットの量とアウトプットの量は、常に僕は比例するんじゃないかなという考え方を社員にも伝えていて、だから月へ行ったらきっと、僕はいい仕事ができるなと思っているから行くんですね。
まあ、ちょっといきなり本題に入ってしまいますけど、つまりそのインプットを増やすという一環で、今回この冒険をすることに僕はしてるんですけど、つまり会社だけに時間を費やすんじゃなくて、たくさんのインプットを増やすというのは日頃からとても大事にしているので、そうですね、ちょっと長くなっちゃったので(笑)。
記者:私はインドネシアに来て30年になるのですが、月に行くことは非常によいことだと思います。私も行きたいですし、ここにいる皆さんも行かれたいと思います。ただ日本には、批判されている方もいると思うのですけれど、例えば「社会に貢献されたらどうですか?」と言われている方もいらっしゃると思います。それに対して前澤さんは、3・11の福島の方々にも、被害を受けた方々にも貢献していますし、国際機関を通して子供にも貢献しているとお答えされていますが、最近インドネシア地震で2000名の方々が亡くなられて、800名の方が今まだ行方不明で、1000名の方々が今まだ避難されている状態です。月に行くことと、こういう社会貢献、人類に貢献ということをバランスしていただきたいなと思うんですけれど。こういうインドネシアを助けていただいたら、インドネシアの全人口だけでなく、イスラム教の方々、20億人くらい世界にはいるんですが、その方々も前澤さんの名前を、生涯、覚えていると思うんですけれど、そういうことはお考えになられますか?
前澤:ご質問ありがとうございます。あの、まあ、そうですね、インドネシアもそうですが、近年、世界各地で色々な災害が起きていますし、たくさんの方が亡くなったり、たくさんの方がケガをされておられることを、本当に僕も心を痛めています。で、まあ、毎度毎度、そのたびに思うんですけれど、自分には何ができるのか、日本の場合は、だいたい何かが起きると、すぐに会社としても個人としても、色々とやらせていただいています。海外でもやらせていただいたことあります。ただ、国柄なんでしょうか、そういったことをやっていますと公にするのが、憚られる国でもあります。
ただ、今までやったことの中の一部ですけれども、しっかり皆さまにも公表して、このような支援活動していますとか、このような義援金を送らせていただきましたとか、そういった話はちょこちょこはさせていただいているんですけれども、不十分なところもありますし、全てを公表していないというのもありますので、よく認知されていないところもあると思います。
で、まあ、どこまでそれをやれば正解かというのは、生涯の課題になるんでしょうし、それと自分の趣味だったりとか、自分の得意な分野で役に立てるために使うお金だったり、それは本当に仰った通りバランスの問題でしょうし、そのバランスにも正解がないと思うので、それは一生苦悩して葛藤し続けながら自分の中のバランスというのは見つけたいと思いますし、基本的にこういう立場ですので、自分は仕事もそうですし、趣味もそうですし、必ずその先には誰かの役に立ちたいとか、誰かを感動させたいとか、喜ばせたいという風に、根幹には想いがありますので、まあこれからの活動というのはバランスを取りながら両方でやっていけたらいいと思います。
あと、その寄付をするとか義援金を送るというのは、どうしてもそのお金を送ってそれで終わってしまうので、自分としては何でしょう、もっと自分の身体を動かしたり、もっと自分の知恵を絞って何かお手伝いしたりしたいというのはありまして、そういう意味で毎回寄付するたびに、「何かそれだけでいいのかな」とジレンマが毎回あります。まあ、それと逆ですけれど、今回、月に行くとか、何かを買って皆さんとシェアするというのは、自分が得意な分野ですし、自分の頭を振り絞ってやっていることですし、自分で自発的に動ける行動なので、そっちはどうしても表に出ますし、そっちが積極的に映るんでしょうけれども、そこは仰る通りバランスを見ていきたいなと思います。以上です。
Twitterでは反省したこともあると告白
記者:ニコニコ動画と申します、よろしくお願いします。まず、宇宙を舞台にしたアートで世界を平和にするというプロジェクト、素晴らしいと思います。それでいくつか興味があるんですが、招待する方々の具体的な選考、選考と言うと、ちょっと言い方、招待のポイントや、いつ頃から交渉を行うのかというお話と、特に前澤さんは「Switch Style」のドラマーでもあったわけで、交渉あると思うので具体的にはお聞きしませんが、どのようなミュージシャンを招待したいと考えているのか、よろしくお願いします。
前澤:質問ありがとうございます。あの、まあ、ミュージシャンだけでなく画家さんだったり、映画監督だったり、ファッションデザイナーだったり、ちょっとまだ分野はしっかり決めてませんけど、とにかく僕の夢が世界平和ですので、世界を何らかの形で、自分のクリエーションで、よくしたいという想いの強い方を探して声を掛けたいと思います。あと、自分がその方の作品を好きというのも大事だなと思いますので、そういう感じで声を掛けたいと思ってまして、あの現状は、まだ誰ももちろん決まっていないですし、まだ勧誘というか声を掛ける活動は開始しておりません。
記者:BBCワールドサービス、トルコ語を担当しております。アートというものは前澤さんにどういう意味を持っていますかということと、あと、今まで24名しか月に行ったことがなく、全員がアメリカ人の宇宙飛行士だったと思うんですけれど、前澤さんとしてはどういう国の方々を連れて行きたいというようなお考えはありますかということと、セレクションプロセスというのはどういう風になってますか、あと「コンタクト」という映画があるんですけど、それをご覧になられたら、いろんな性格の方が宇宙船に乗ると非常にちょっと難しいぞという状況も発生してしまうと思うんですけれど、例えばバンクシーを連れて行くとなった時に、バンクシーが「宇宙ロケットを爆発させたい」みたいなことを仰ったらどうされますかという、そういう色んな方を連れて行くということはありますか?
前澤:ご質問ありがとうございます。まず、アート大好きなんですけど、あの、言葉を持ってないので、その言語を超えて向き合えます、まず。で、同じように僕と、僕の例えば横に、同じようにアートを見る人がいれば、その方が何語で話そうが、何人であろうが、そこには言葉がないので、何かいいよねって、お互い何か言ってるんだけども、別に共通言語ではないですけれど、つまりアートというのは言葉がないのに人と人を繋いでくれたり、言葉がないのに深く自分自身を見つめ直すきっかけをくれたり、考えるきっかけをくれたりという意味で、とても大好きです。次の質問で、「どういう国の、どういう人」というところなんですけど、まあなるべくこうワールドワイドに、色んな地域の色んな方、色んなアーティストを、お連れしたいなというのはあります。で、確かにアーティストの皆さんなので、突拍子もないことを言う方もきっといるでしょう。ただ、そういうのをなだめすかして、どうかケンカしないでねとか、そういうのをやるのがホストキュレーター、僕の役割でもあると思ってますので、何か楽しい旅にしたいなと思います。
記者:海外のフリーランスジャーナリストです。前澤さん自身が歴史的人物だと思うんですけれど、男性でも女性でもいいんですが、歴史的人物で前澤さんが大好きな方、一番尊敬されている方はいらっしゃいますか?
前澤:本当、身内の回答で申し訳ないんですけど、両親をとても尊敬しています。こんな厄介な息子を育ててくれてありがとうと思っています。で、今回の件もそうですし、日々の僕の色んな発言、発信を、とても心配して見守って、きっと今日も生中継で見ていると思うんですけれども、尊敬しております。
記者:AFPです。トレーニングに関しての質問なんですけれども、既にトレーニングは始まっているんですか? それと、どういうトレーニングをこれから行わなければいけないんですか? で、あと宇宙に行くのは非常に危険だと思うんですけれど、一番怖いなと思っていることと、一番楽しみに思っていることをご紹介ください。
前澤:ご質問ありがとうございます。トレーニングの内容については、まだ一切決まっておりません。ただイーロン・マスクさんなんかからは「そんなに苛酷じゃないよ」と、ざっくり聞いておりますけど(笑)。ま、ただ自分自身で、必ず英語は必要になるかな、と思っています。あとそうですね、基本的に人間ドッグも毎年行ってますし、「そういったところで異常がなければ、まず問題ないよ」と簡単には聞いているんですけど、具体的にはまだ決まっていません。それから危険だとか怖いだとか、そういうのも言い始めちゃったらきりがないので、まだ気にしないようにしていますけれども、今回は僕だけじゃなくてアーティストもお連れするということで、当然、安全面で、それなりの担保がないと、僕も「さあ行きましょう」とは言えませんから、そこはこれから入念にスペースX社と安全面の話というのはしていきたいと思います。あと自分が一番楽しみにしているのは、月に近づくことももちろん楽しみなんですが、地球を丸く見ることですね。「ああ、本当に丸かったんだ」、もちろん写真ではたくさん皆さんも見ていると思うんですけれども、それを自分の目で見たらどれほど感動するんだろうと、今から想像するだけで涙が出そうになるくらい、それを楽しみにしています。
記者:フリーランスのジャーナリストです。月に行くと発表されてから、多くの子供たちにインスピレーションを与えていると思いますが、ご自分の子供たちにも、そういう話はされましたか? あと、子供たちを連れて行くというプランはありますか?
前澤:ご質問ありがとうございます。子供たちに言いました、もちろん。で、子供って不思議と、月に行けるものだと思っているんですよね。「え、行けるんじゃないの?」って訊かれました。で、「僕たちも行きたい」って言われましたね。「子供はまだちょっと行けないから、まずパパが先に行って見てくるから、ちょっと先行ってくるね」って感じでとりあえず言いましたけど、想像するんですけど、世界中の子供たちも同じように「月って別に行けるよね」と思っているような気もします。もちろん子供たちが大人になる時には、おそらく実現、まあ、簡単に月に行ける時代になるんでしょうから、何か夢がありますね、はい。最近、子供たちと話すと、ちょっと旅行か何かで外していると、「え、パパ、月に行ってきたの?」って普通に聞かれます、はい(笑)。
記者:今日はありがとうございます、NHKです。あの何でも訊いてくださいということで、それに甘えて、ちょっと月とは違う質問をさせてもらうんですけど、以前Twitter上で球団経営の意欲を示されたと思うんですけれども、シーズンオフが近づいている中、どうなっているのかなということで、進捗状況がもしあったら教えていただきたいなと、月とは離れてしまうんですが、よろしくお願いします。
前澤:月とは違いますけど、good questionで、ありがとうございます。えっと、まだ何も今日の時点ではお話しできません。が、思いは確かに持っていますし、動いていないこともないので、何らかの時点でお話しできる時が来ましたら、ちゃんとご説明差し上げます。
記者:日本経済新聞社です。今回の発表で、かなり海外に前澤さんのお名前が浸透したかと思うんですけれども、プライベートブランドZOZOの今後の海外展開を見据えて、どう広げていくのかというのを、改めてどう考えているのか教えていただけますと幸いです。
前澤:ご質問ありがとうございます。えっと、そうですね、今まで「バスキアの前澤」と世界では知られていたのが(笑)、「月の前澤」に、こうちょっとアップデートされて、知っていただく方も広がっていると思います。これは同時に、ZOZOいう我々のブランドを広げる大きなきっかけにもなりますので、そこは、まあ、いやらしい話ですけれども、ちゃんとビジネスとしても上手く使って、「前澤さんのやっているブランドだよ」という言い方を時にはしますでしょうし、そうやって広げていきたいなと思います。幸いなことにZOZOSUITをはじめ、海外のみなさまからも面白いという声もたくさんいただいていますので、いいスタートを今、切れているんじゃないかと考えています。
(通訳の英訳後)
前澤:付け加えますと、あの「MAEZAWA」というのが、海外の方は非常に読みづらいそうで、最近は自分のことを「エムズィー」と、「MZ」ですけどね、呼んでくださいとたくさん言っているんですが、一向に広まる気配はありません(笑)。
記者:ロイターです。スペースX、イーロン・マスクさんと、この間、記者会見を行っていましたが、イーロン・マスクさんに関してはTwitterでブランドを構築したり、色んな人と関係を築いたりするために使っていますが、前澤さんにとって同じくTwitterというのは非常に重要なツールだと思いますか? それともリスクが伴うという風に思っていますか? Twitterに関しては誰かチェックする方がいらっしゃるんでしょうか? イーロン・マスクさんに関してはチェックする人がいたほうがいいんじゃないかって思われている方も多いかもしれないですけれど。あと2つ目の質問なんですが、アートコレクション、あのコレクターとして、今まで過去に株を売却してアートを買われているのかもしれないですけれど、今後、月のミッションに関して、今、持っている株式というのを売却するという予定はありますか?
前澤:ご質問ありがとうございます。Twitterはそうですね、上手く使えばいいんですけど、まずく使うとよくないというのは、イーロン・マスクさんの件もそうですけど、僕もしみじみそれは自分自身も痛感するところであります。まず、会社に関することをツイートする時には、極めて厳格な、会社で引いていているルールがありますので、そのルール基づいてやっています。当然、チェックする人もいます。一方、個人のことについては、そのルールは自分の倫理観だったり、自分の考え方に基づくところが大きいですから、時には失敗もあるでしょう。ただ、会社にダメージを与えるような失敗は、もちろんしません。あの、感情的になった失敗がよくあると、自分で反省、そのたびにするんですけれども、ご当人も言った通り使いようでして、時には私が呟くことで、例えば求人募集なんかをすると大量に応募が来たりもするわけで、上手く使えばとてもいいツールだなと日々感じております。
次にお金の話なんですけど、まずこの月のプロジェクトにどのくらいのお金がかかるかというのは、今日は発言できませんし、ディポジットは既にスペースXさんにお支払いしているという話はしていますけれども、それがいくらかというのも話せないですね。それの資金をどうするのかというのも、当然、今日はお話ができないです。
「交際状況は順調です。ありがとうございます」
記者:ブルームバーグニュースです。買い物についてお伺いしたいんですけれども、前澤さん、買い物が非常に大好きだと思うんですが、ここ数年くらい、ものすごいペースで色々買われているかと思いますけれども、これからも同じペースでそれが続く見通しなのか、さらに増えるのか、それとも、またさらに分野が、買い物の分野が広がるのか、どのあたりに目が向かれるのか、そのあたりお伺いできればと思っております。もう1つなんですけど、先ほどからずっとデンジャラス、デンジャラスの話が続いているんですが、イーロン・マスクさんも会見中で何度も「前澤さんは非常にbrave、brave person(勇敢な人)」と仰っていたんですけれども、マスクさんと一緒に色んなお話して、時間を過ごして、この人だったら信頼できる、安心できる、何かそのあたりを感じたことがもしあれば教えていただけますでしょうか。
前澤:まずショッピングですけど、ショッピングと言うと、だいぶ軽くなっちゃいますけど、どのようなものを買っているかというと、僕は、もの凄くこだわって作られたものが好きなんですよ。その職人の技を感じたり、そこの背景にある歴史だったり、そこに関わる人たちの情熱だったり。で、そうやってこだわられて作られたものって、だいたい滅茶苦茶、高額になってしまうので、ついつい値段ばかりが一人歩きして、「またこの成金野郎が、高えの買ったぞ」ということになっちゃうんですけど。本来、僕が買いたいのは、その裏にある人の情熱なんですね。その情熱を自分が感じる、そういうインプットが自分にあるというのは、自分の経営者としての仕事にも、当然、活きていますし、活きていきます。自分が最近、ZOZOという新しいブランドを始めさせていただきましたけど、そこでも徹底した妥協を許さないモノ作りみたいなものって活きてくるんです。そういう意味で、何もかも高ければいいと、いっぱい買い物をしているわけではなくて、その背景にある人の想いを買っているというのが、僕の買い物の仕方です。で、「今後もどこどこを買うのか」という話なんですけど、何でしょう、きりなく、そういう素晴らしいものって、世界にはいっぱいあるんだなっていうのが勉強すればするほど知れて、まだまだ欲しいものが実はいっぱいあります。ただ、もちろん、お金的な制約もあるし、時間的な制約もあるので、全てをということにはならないですけれども、そういうお買い物の仕方をしています。で、もう自分自身も、いっぱいモノも持っていますし、充分な生活をさせていただいているので、「これ以上、これ以上」とは思わないんですよ。基本的には素晴らしい人の想い、素晴らしいこだわりのあるモノ作りというのを人に広げたいですね。特にこれからの若い方々、子供たちに、こんなに素晴らしいモノを作っている人がいるんだよ、ただ、この人の手を見てよ、血豆だらけじゃない、と。ちょっと過分になっちゃいますけど、そういうなんか心のこもったモノ作りをする人って、世界にこんなにいるんだっていうのを伝えたいです。
で、次その「デンジャー」「デンジャー」ってイーロン・マスクさんも、なんでそんなにデンジャーって言うんだって僕も横で聞きながら思いましたけども、あの、彼を一番信頼する、「できるな」と思ったきっかけは、彼の会社に何度か行っているうちに、その社員の方々の姿勢とか接し方が素晴らしかったんで、「あ、この人が率いている、そして、この社員さんたちの態度や姿勢というのは、まさにこの人が作ったものなんだな」と。で、みんなイーロン・マスクを信じていますし、みんな彼の夢に自分の技術や情熱をぶつけてます。そういう会社っていうのは、自分も一経営者として、とても素晴らしいなと思いますし、僕もそうでありたいと思いますし、で、そういう人同士が、月、宇宙というテーマで、イーロン・マスクさんと僕が繋がって、そういう話をできたりすることも凄く僕には価値があって、あの、とても信頼していますし、お友達としても、先輩経営者としても、大変に尊敬しています。
記者:日刊スポーツです。よろしくお願いします。「何でも訊いてください」と仰ったので訊かしていただきたいんですけれど、交際中の剛力彩芽さんですね、月旅行の方が「メンバーには当時アメリカで発表された時には入っていない」という報道が一部あり、かつ、剛力さんの周辺の方も「行かないだろう」というような見通しを語られていたんですけれど、現在の交際状況を含めてですね、剛力さんが月に行く可能性があるのか、そのへんをお教えください、お願いします。
前澤:ご質問ありがとうございます(笑)。そうですね、まあ、アーティストさんもそうなんですけど、僕以外の船員、あの、お連れする方は1人も決まっておりませんので、もちろん決まってないということなんですけど、本人は当然、このプロジェクトを知っていますし、大変興味を持っています。まあ、ぶっちゃけ「私も行きたいな」と本人は言っていますが、ご存知の通り今回は大きなミッションというか、それぞれのアーチストが、それぞれの役割を担って、そしてキュレーターである僕自身もホストとしてそういう役割を担っていきますので、ただ楽しんで行く旅行とはやっぱり違うわけです。ですので、彼女にもし何らかの役割やミッションがあって、それを全ての船員たちが受け入れてくれるのであれば、彼女にも行くチャンスはあるのではないかと思っています。まあ、極めて真面目に私たちはやりたいと思っております。交際状況は順調です。ありがとうございます(笑)。
記者:本日はお話ありがとうございます。テレビ朝日です。先ほどプロジェクトの話の中で、前澤さん、夢が「世界を平和にすること」だという風に仰っておられましたけども、それってビジネスを始める前からずっと思ってらっしゃったことなのか、それともビジネスを拡大していく中で、色んな経験を重ねていかれた中で醸成されていったものなのか、お伺いしたいと思います。
前澤:ご質問ありがとうございます。その昔から「平和がいいのにな」という思いは強かったです。特に中学生、高校生ぐらい、思春期ですね。その頃、パンクロックだとか、結構、激しい音楽を聴いていた時期があって、音楽は凄く激しいのに「平和がいいじゃない」というような歌詞のバンドだったりが凄く多くて、そういうものに影響を受けましたね。見た目は凄くやんちゃな人たちがやっている音楽なんだけど、音も凄くラウドでうるさいんだけれど、言っていることが「みんな仲良くしようよ」「respect each other」とか、「united as one」とか、「みんなで一つ、やっていけばいいじゃない」みたいなことを言う方々が多くて、それに凄く影響を受けました。で、その後、自分もバンドをしたり、会社をしたりという風になるんですけども、何より2001年9月11日に起きたアメリカのテロですね。同時多発テロを見た時に、自分の想いは固まりましたね。二度とこんなのを見たくない、二度とこんなことが起きない世界を作っていくために自分ができることがもし何かあるのであれば、それに全力を捧げたい、という風に思いました。その時にもう会社の企業理念、「会社でやりたいことは世界を平和にすることだ」で、現在は「世界中をかっこよく、世界中に笑顔」という企業理念を出してですね、事業活動をしていますけれど、その背景にある想いというのは、みんな仲良くやろうよ、平和がいいじゃないという強い想いを持って、そうやってやってます。
記者:ありがとうございます、フリーランスです。前澤さんのプロジェクトは民間宇宙ビジネスを推進するという点でも非常に大きな貢献だと思いますが、日本でもたくさんの宇宙ベンチャーがあります。そういった現状とか、人類の宇宙進出に対してどんなお考えをお持ちなのかお聞きしたいのが1つと、もう1つだけ、ヘルメットがありますけれども、ZOZOSUITのテクノロジーで宇宙服の開発とかそういうことも考えていらっしゃるのかもお聞かせください。
前澤:ご質問ありがとうございます。そうですね、宇宙業界全体を盛り上げたいです。で、もちろん日本でも、たくさんある宇宙に関連するベンチャー企業の皆さまに会う機会も、最近、増えてきました。で、僕が言っているのは、僕がこういう形で行くことになるので、どうか僕をうまく使って、御社のビジネスを盛り上げてもらっても構わないので、何か協力できることがあれば言ってくださいね、みたいな形で、みんなで上手く盛り上げたいですね。で、宇宙に何があるのか、正直、僕にも分からないですし、それが人類にとって、どういう役割を担うのかというのも、よくまだ分かっていないところがありますけれど、何かまだ人が知らないこと、未知な領域に人が果敢にチャレンジしていくという姿勢は、別にそれが宇宙であれ、深い海の底であれ、同じことなのかなと思いますので、そのチャレンジするという姿勢を見せれることを、とても誇りに思っております。
次の質問は……。あ、肝腎のZOZOSUITのことでした(笑)。イーロン・マスクさんにはもちろんZOZOSUITをお渡しして、「おう、なんてクレイジーなアイディアなんだ」という風に喜んでいただきました。で、「これで僕の身体を図って宇宙服作ってよ」ってもちろん話したんですけど、「グッドアイディア」くらいでちょっとかわされましたけど、どうなるかはまだちょっと分かりません。もし我々の技術が何らか宇宙の業界に貢献できるようなことがあれば、大変喜ばしく思います。
記者:ブルームバーグニュースです。先ほど私の同僚が買い物について質問しましたけれど、先ほど技術だったりクラフトマンシップというところに関して、技能というところにパッションを感じられているということを仰っておられましたが、それってどういうところから、何がきっかけだったのでしょうか。あと英語はもう勉強され始めてますでしょうか?
前澤:ご質問ありがとうございます。小さい頃、僕は大工さんになりたいと思っていました。特に小学生くらいの頃、近所で家を建てていると、もうそこに朝から晩まで、日曜日とかはりついて、ずっと大工さんのお仕事を見ているくらい憧れてました。途中から、その夢は「漁師になりたい」ってなるんですけど、とにかく職人さんが大好きですね。まあ何が好きなんだろう、ちょっと分からないですけど、モノを作っているのを見るのがとにかく好きですね。DIYって言葉あると思うんですけど、それは会社のフィロソフィーとしてとても大事にしていて、自分たちで作れるものはなるべく自分たちで作ろうということで、うちの会社の特徴でもあるんですけども、物流とか、カスタマサービスとか、サーバーだったり、プログラムだったり、データベースだったり、普通のファッション企業がやらないことも全部やったりする、その考え方というのも、実はそのDIYのところから来てたりして、とにかくそういうクラフトマンシップが大好きですね。
あと、たまにニュースになっていますけど、僕が家を作っていて、それが凄くお金がかかっている話、たまに出ていますけど、実際、本当にそうで、なかなか終わらないんですよ。というのも、この職人さんの、この技を、ここで使ってほしいとかっていうのをやっているうちに、それが見たくて、どんどんどんどん色んなことをお願いしているうちに、一向に家が建ち終わらないというのも、好きな証拠なんですけど(笑)。
英語の勉強はしていますけど、皆さんと同じようにスマホのアプリで単語の練習をしたりとか、あと自分でも思うんですけど、やっぱ話さないと聞こえないんだなっていうのは、皆さんお上手ですからあれなんですけど、よく自分でも痛感しています。ですので、恥ずかしがらずに積極的に自分から話す。で、実はロサンゼルスの会見も、一部で「日本語でもいいんじゃない」という話もあったんですけど、「いや、もう恥を忍んで、間違えてもいいから自分でやる」ということで、あのようにさせてもらいました。あれ、あの会見を英語の面で、色んなご意見ありますけど、もう恥ずかしくないし、僕は堂々とやりたいなと思ってます。それが一番、英語の学習の近道なんではないかと信じています。
記者:日本テレビです。よろしくお願いします。月に行くことを決められるというのは、大変に大きな決断だと思うのですけれども、その大きな決断をされた、最大の決断する気持ちといいますか、元々月に行くのが夢だったのか、それとも、ちょっと穿った言い方をしますと、話題作りとか、知名度であるとか、そういったところも影響しているのか伺えますか?
前澤:ご質問ありがとうございます。僕が月に行くのを決めたのは、今から約4、5年前のことなんですけども、その月に行けるよという話を聞いた時に、僕はそこに行くことより、自分のメッセージを世界中に発信する、これは大きなチャンスだってまず捉えました。自分のメッセージとは何かというと、さっきから何度か申し上げていますけど、「世界は平和のほうがいいじゃん」って言いたいだけです。で、アームストロングさんが「この小さな一歩は人類にとっては大きな一歩だ」って言ったのは、世界中の皆さんが知っていると思います。で、同じように「世界平和のほうがいいじゃん」って、僕、多分ライトに言っちゃうと思いますけど、それをただ伝えたいだけです。
司会担当:申し訳ございませんが、最後の質問にさせていただきます。
記者:フリーランスです。ZOZOTOWNのビジネスモデル、特に新しいブランドについてお伺いしたいんですが、最近、筑波大学の落合(註:陽一)さんという方が、ご存知だと思いますが、日本の成長がこれほどずっと停滞している原因の1つは、デジタル化経済になってですね、全部巨大な4社で、アメリカにどんどん吸い上げられていると。これは日本だけでなくてヨーロッパも同じようですが、この点どうお考えになっておられるか、ZOZOTOWNのビジネスモデルは、そうなっていないかどうなのかを教えてください。
前澤:ご質問ありがとうございます。ずばり、この日本の方々が得意なのって、クラフトマンシップだと思っているんです。職人技だと思っているんです。先ほどから何度も職人を応援したいとか、職人が作るものが好きだって話が出ていると思うんですけれども、僕は職人さんを応援したり育てたりすることで、この日本経済というのをより盛り上げたいと思います。で、今までZOZOTOWNというのは、皆さまの作られた、ブランド様の作られた洋服を、売らせていただくというビジネスだったわけですけれども、この1年くらい経ちますけれども、自分たちのモノ作りというのを始めました。そういう意味で自分たちのクラフトマンシップ、並びに、日本中で色んな素晴らしい技術を持つクラフトマンの皆さまをどんどん世界に紹介したいと思いますし、それがこの日本経済の活力になると思っていますし、そこがまさに日本の強みなんじゃないかとも思います。以上です。
週刊新潮WEB取材班
2018年10月10日 掲載