企業に入社しようか、それともブロガーになろうか・フリーランスになろうか、と考えている学生さん、迷わず企業に入社しなさい。
その理由をこれから述べます。
1.背景
最近、インフルエンサー(影響を与える、あるいは影響が大きい人物たち)やプロブロガーなどが、
- 大学に行く必要はない
- 企業に勤める必要はない
などと若者をあおっています。わたしからは「唆している」(そそのかしている)と映ります。
企業で人事や採用を担当している立場や経験から、若者側の彼ら彼女らに一言残しておきたい、と思い、この記事を書きます。
2.ブログで成功している人たち
ブログが注目を集め、書籍出版したとか、アフィリエイトで高額の収入を稼ぐとか、その他様々な手段で成功されています。
そんな人たちのうち、一部の方々が「サロン」や「ブロガーズギルド」などと称して、ブログを学ぶ集まりを主催し、稼ぐためのブログの書き方を学ばせています。さらには就職(この場合、主に企業に就職)するかしないか迷っている学生や、大学に進学するか否か迷っている高校生たちを唆して(そそのかして)います。
そういう動きに呼応して、多くの若者たちが、内定式の日にその企業に就職するのをやめたとか、大学に進学するのはやめてフリーランスになることを決めた、といったツイートがポロポロ出始めています。
成功している人たちにはそれなりに一家言があるだろうし、ネタにできるものがあるのでしょう。それを否定はしませんし、お金を支払ってでもそれを学び取ろうとするのはいいのですが、価格と効果、つまりはコストパフォーマンスが悪い連中が、ところどころにいるようです。
評判がよくない、とネットで多く語られてる人たちがいます。(以降「それらの人たち」と呼ぶことにします)また、それらの人たちにくっついて、はやしたてる側にいる人物たちもいます。
ふっと気づいて、それらの人たちから逃げ出し、その実体験をもとに、「若者よ、間違えるんじゃないよ」と呼びかけしている人たちもいます。
社会のことを何も知らず、経験せず、それらの人たちに着いていくのは危険です。止めた方がいい。
(念のため補足しておくと、ここで言っている「社会」とは、アルバイトや海外でのホームステイ程度のことではありません。)
3.「それらの人たち」
信念があり、それらの人たちの著作を読み、それらの人たちの生き方に心酔し、それらの人たちのような生き方をするのが夢なのなら、それを無理して止めることはしません。
が、会費が高額だったり、マインドコントロールに近いものだったり、とある地域のコミュニティーや土地をあらしたり、サロンそのものも実質的に価値のないものだったり、ということがネットで明らかになってますが、夢を持つ対象としての価値があるものとは言えそうにありません。
それらの人たちも、最初の頃は良かったのかもしれません。年収?千万円とか、本を出したとか、メディアに取り上げられたとか、NPOを立ち上げたとか。わたしもそのうちの1人の本(共著)を読んだこともありました。(その出費をしたことを後悔してます。)
が、そのうちおかしな方向にかじをきり、人や組織をディスったり、かと思えばその組織に頼ろうとしたり。サラリーパーソン(サラリーマンのこと)をディスったり。
(ディスる:批判する、否定する・・・)
炎上することでしか注目を集められない存在になってしまっている人もいます。スピリチュアル系もいたり。
4.ブロガー→サラリーパーソンはほぼ無理
人事、採用の仕事をしているわたしが言えること。それは、
- サラリーパーソンが趣味でブログ書く
- サラリーパーソンが副業でブログ書く
あるいは
- サラリーパーソンが、充分準備し、リサーチしたのちにブロガーに転身する
のは悪くないし、できる可能性は高いと思います。
ダイエットとフリーランス転身に成功した“あの方”はその典型と思います。
- ブロガー→サラリーパーソン
の転身は難しいでしょう。否、無理です。
ブロガーがしんどく、お金も稼げない、誰からも注目されない、だから安定したサラリーパーソンになろう、という姑息はまず成功しないでしょう。
さらに言えば、「尊敬していたブロガー師が、期待していたのと違ってた。だからサラリーパーソンに」といったら、目も当てられません。
4ケタの人数は面接してきたわたし、採用試験で落とすと思います。
あ、正社員だけじゃないですよ。契約社員でもパートでも。
人の成長、事業の成長は、土台がなくては所詮無理。
何もないところから何を生み出そうとするのか?ってことです。
ブログで何を生み出そうとするのか。人から価値を認められるブログ記事を書こうと思うなら、相応の知識や経験がなければ無理ですよ。
だから、人を採用しようと考えた場合、正社員はもとより、契約でもパートでも、社会の経験をしてない人は採用しません。履歴書はもとより、面接でも「この人を採用したい」と思える人物には巡り会えないでしょう。(新卒は別です)
「多様な考え方や生き方がある」
といってもそれだけではダメ。人間の土台としての経験がなければ。
若い連中がだまされて、あるいは唆されて、サロンにお金をつぎこんで、捨てられている人もいるらしき模様は、まるで偏差値の高い学生がオウム真理教に入信していった悪夢を思い出します。
繰り返しますけど、
企業に入社できる状況が獲得でき、それでも迷いがあってどうしようかと悩んでいるなら、企業に入社することを薦める(すすめる)
それと、
大学に行ける学力と資金(親、保護者、支援者などの支援を含む)があるなら、進学することを薦める
社会勉強のため、人間の土台をしっかり作るため、大学に行けるなら行った方がいい。(だからといって、大学卒が全て高卒に勝るとは限りませんが。)
5.型に入り、型から出でよ
世界的な指揮者、小澤征爾さんや、ベルリンフィルのコンサートマスター 安永徹さんら、多くの世界的な音楽家を育て、チェリストでもあった指揮者 齋藤秀雄さんの言葉、
型に入り、型から出でよ
この言葉を解説した齋藤さん自身の説明を知らないので、この言葉が紹介されたテレビ番組での説明を借りると、
- 基本を徹底的に学んで身につけてから、応用を効かせる
- 基本を学ばず、基本が身につかなければ、その後の成長は無い
ということ。
指揮者の小澤さんは、指揮棒の振り方というレベルのことさえも含め基本的なことを何度も何度もやらされたそうです。それがあったからこそ、その後の成長があった、とも振り返っておられます。
社会経験を積まず、社会のなんたるかも未経験な人たちに、飛躍はない。
悪いことは言わないから、企業で働ける機会を得られるなら、まずはそこから。
評判の悪い「それらの人たち」の一部には、サラリーパーソン経験がある人もいる。
その世界に耐えられなかったのか、自分はその世界に生きる人間ではないとドロップアウトしたのか詳しくはわかりませんが、それらの人たちに、未来ある何色にも染まっていないヤングブラッズをそそのかす資格などない。
良心的なスタンスでツイートし続けておられるアカウントを、ほんの一部引用させてください。
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