エクセルで「理論株価」を割り出す最強の方法

経営数字を丁寧に当てはめれば答えは出る

裏づけとなる理屈があります(写真:Pinkypills/iStock)

上場企業の投資家は、企業の経営計画を基に自分で将来の株価について考えている。そのため企業側も経営計画作成時にこの未来の株価についてシミュレーションしていることだろう。  

拙著『プロコンサルタントの最強エクセル術』でも述べているが、一般的には難しいスキルが必要と思われているこの株価シミュレーションを実はエクセル上で行うことが可能だ。

「株価」予想はプロでも難しい

株価とは証券市場(株の市場)において、「売り手」(特定の会社の株を持っていて、これを売りたいと考えている人)と「買い手」(その株を買いたいと考えている人)が“せり”のような形で取引を行い、双方が合意して売買した「1株当たりの値段」である。

売り手は「1円でも高く売りたい」、買い手は「1円でも安く買いたい」と思う。そして投資家(売り手にも買い手にもなる)は「売った値段-買った値段」で“もうけ”が決まる。

この株の売買では、売り手、買い手ともに必ずしも会社の成績(利益など)を見ているわけではなく、「昨日上がった、下がった」といった変動などをベースとして、毎日取引されていく(毎日の株価の上下の動きを見ればわかると思う。業績が変わらないのにその会社の株価が上がったり下がったりする)。まさにマネーゲームである。

一方でマネーゲームの結果である「株価」は、上場企業の経営に極めて大きな影響を与える。そのため株価に関するコンサルティングニーズは高い。しかしマネーゲームの結果予想なんてプロでも難しい。

こういう中で「マネーゲームの株価」と「経営」を結び付ける理論が、マーコウィッツ、シャープ、ミラーというアメリカの3人の経済学者によってまとめられ、その功績により3人はノーベル経済学賞を受賞した。これは科学的発見ではなく、社会のために役立つ理論を導き出したという功績である。それがバリュエーション(valuation)という株価のアメリカ理論である。

次ページ企業価値とは
関連記事
トピックボードAD
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 礒部公一のプロ野球徹底解説!
  • 激震!トヨタ×ソフトバンク
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

    アクセスランキング
    • 1時間
    • 24時間
    • 週間
    • 月間
    • シェア
    トレンドウォッチAD
    SONY静かなる再興<br>やっと見つけたテレビの活路

    20年ぶりの営業最高益。注目すべきは「テレビ事業の変貌」だ。10年間で8000億円の赤字を垂れ流した問題児だったが、2016年度は250億円の黒字。ソニーの実像を追う集中連載第1回。