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架空世界で「認証」を知る:「のばら」には脆弱性がある? 「ファイナルファンタジー」で学ぶ知識認証 (1/3)

» 2018年10月10日 08時00分 公開
[朽木海ITmedia]

この記事は認証セキュリティ情報サイト「せぐなべ」に掲載された「架空世界 認証セキュリティセミナー 第1回「架空世界の合言葉」」(2017年7月14日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。当時未発売だった製品やサービスの記述などは、本記事掲載時の状況に合わせて編集しています。

「合言葉」がカギだ

 ……それでは講義を始める。

 諸君はこの講義には初めての参加だろうか。この講義では、小説やマンガや映画やアニメやゲームといった「架空の世界に現れる、認証的なモノ」を考察していく。

 どうだ、面白そうだろう? ピンとこない?

 そうか、そもそも「認証」とは何かが分からない人も多いのかな。

 では今回は特別に、初歩的なところから解説していこうか。

 さて、「認証」とは何か。

イメージ画像

 定義としては「『誰か』あるいは『何か』が、特定のそのものであることを確認する行為や仕組み」となる。

 一番分かりやすい例は「合言葉」ではないだろうか?

 忍者が扉の向こうで「山」と言う。それに対して別の忍者が「川」と答えると、扉が開く。これが典型的な合言葉だ。この「山」「川」については広辞苑にも載っているのだが、何が発祥なのか、それはフィクションなのか現実のことだったのか、いまひとつ調べが付かない。

 では、架空世界でも似たような例が登場するのはご存じだろうか。

 君たちも一度は見たことがあるはずの映画「風の谷のナウシカで、風の谷の住人が合言葉を使っている。なんと「山」「川」ではなく「風」「谷」だ。まあ、いかにも分かりやすいものだが……。

 これで大体この講義の雰囲気が分かっていただけただろうか。

 この講義では、この風の谷の合言葉のように、架空世界で登場する「認証」について事例を紹介し、考察していく。

 本題に入ろう。今回の本題は、そのまま「合言葉」ということで、まずは有名RPG「ファイナルファンタジーIIで使われた合言葉について考察していく。

「スター・ウォーズ」に影響されたFF2

 最初は「ファイナルファンタジーII」の基本的情報から見ていこう。1988年発売のファミリーコンピュータ向けのRPGで、ファミコン版は76万本のセールスだったものの、その後移植が繰り返され、さまざまな機種でリメークが繰り返されてきた。

 最近だとスマートフォン版もあるので、触れる機会も多いのではないだろうか。

 ゲーム的には味方を攻撃できるのが最大の特徴で、その独自の成長システムとあわせて、味方を殴りまくってHPを成長させていた人も多いと思う。そして、その進め方をすると後半になって他のパラメーターが育っておらず詰んでしまうというのまでがセットだったりする。

 閑話休題。「ファイナルファンタジーII」のシナリオを見ると、「スター・ウォーズ」旧3部作の濃厚な影響が見て取れる。世界征服をたくらむパラメキア帝国とその皇帝、対するはフィン王国率いる反乱軍と、4名の主人公の若者達。まあ、さすがに皇帝が主人公の父親だったりする展開ではないのだが……。

 さて、ここからが重要だ。「ファイナルファンタジーII」は他のシリーズにはない特別なゲームシステムが取り入れられている。それが「ワードメモリーシステム」だ。キャラクターとの会話の中で登場した単語を記憶し、それを他のキャラクターに話しかけることでシナリオが進むというものだ。

「のばら」「きさまら はんらんぐんだな!」

 序盤で記憶できるのは、フィン王国の王女ヒルダから教わる、反乱軍同士の合言葉「のばら」だ。これを反乱軍と思しきキャラクターに使えば、身分が分かり協力してもらえるという、かなり重要な合言葉だ。ちなみに「のばら」はフィン王国の紋章にも使われている由緒のあるものだったりする。

 しかし、この「のばら」を明らかに敵と思しきキャラクターに話しかけてみるとどうだろうか。シナリオも中盤、大戦艦攻略戦。入り口を守る帝国軍の兵士に「のばら」と話しかけると「きさまら はんらんぐんだな!」と襲いかかられてしまう。実はこの兵士に単に話しかけるだけなら襲いかかられないので、特に戦いたくない場合は回避も可能である。

 このエピソード、私は合言葉としては問題があるエピソードだと思っている。

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