漫画塔「永久閉鎖された」のコメントを残し閉鎖。違法海賊版サイトに対する効果的な対応策は?

漫画塔トップページに掲載された閉鎖宣言

漫画村復活か?と話題を集めた「漫画塔」だが、2018年10月9日23時頃に「永久閉鎖された」という言葉を残し、サイトが閉鎖状態になったようだ。公式と見られるTwitterアカウントでも閉鎖宣言が投稿された。

漫画塔の公式Twitterと見られるアカウントの閉鎖宣言
漫画塔の公式Twitterと見られるアカウントの閉鎖宣言

■疑問の多かった「漫画塔」

前身のサイトと推測される「漫画村」だが、「漫画村」が閉鎖された理由については様々な説が有り、はっきりとはしていない。筆者の推測では、様々なニュースサイトで取り上げられたためアクセスが増加した所までは良かったが、アクセス急増に伴うサーバー運営費の急騰、社会的批判を浴びたことによる広告収入費の激減等か発生したことで「儲からない」状態に陥った、あるいは逮捕されるリスクを犯す程のリターンが得られなくなったことによって、運営側が撤退したのではないかと推測している。

もし、漫画村の閉鎖理由が「儲からなくなった」ということで有れば、現時点で復活したとしても違法海賊版サイトで有る限りアドネットワークの承認を得ることや、広告主からの広告出稿も期待出来る筈もなく、サイトを復活させるメリットは無い筈だ。実際「漫画塔」には広告も掲載されておらず、漫画村時代に混入されていた仮想通貨マイニングのスクリプトも埋め込まれていなかった。個人情報を収集したり、違法なマルウェアを混入することでフィッシングサイト誘導を行うということも考えられるが、それをモチベーションに出来るほどの収入が得られるとは考えにくい。

サイトレイアウトこそ酷似しているものの、「漫画村」の知名度を活かした、全く別の運営者によるサイトだったのでは無いか?とも、考えられなくもない。

■違法海賊版サイトに有効な対策は?

今回早々の撤退となった「漫画塔」だが、海外には違法海賊版サイトは多数存在し、多言語出版されている漫画等は時差の関係で日本の発売日より早く、違法海賊版サイトで読めてしまうような状態だ。

こういった違法海賊版サイトに対して「ブロッキングを実施すべき」という声は出版社等のコンテンツホルダーを中心に大きな物になっている。しかし、筆者は例えは「ブロッキング」が実施されたとしても、その効果は低いと考えている。何故なら特定のドメインがブロッキングされた所で、他のドメインを取得して再開されるだけだからだ。また、通信の中立性についても配慮されるべきだろう。

筆者の考える有効な対策手段は、違法海賊版サイトの収益手段を絶つ事で有る。広告主、閲覧者、検索エンジンが以下のような行動を起こすことで、違法海賊版サイトの運営を「儲からない」サイトにすることが出来るのでは無いだろうか。

 ・広告主/アドネットワークに対する規制・罰則強化

  - 違法海賊版サイトへの広告出稿を禁止する

  - 違法海賊版サイトと知りながら、広告出稿した広告主に対して犯罪幇助の罪を問う

 ・閲覧者が取るべき行動

  - 違法海賊版サイトアクセスのリスクを理解し、アクセスしない

  - 違法海賊版サイトを訪問したとしても、メールアドレス等の個人情報を提供しない

  - 違法海賊版サイトに表示される広告をクリックしない

  - マルウェア対策を実施する

 ・検索エンジンサイトやSNSによる対策

  - 違法海賊版サイトを検索結果から除外する(漫画村に対しては既に実施されていた)

  - 違法海賊版サイトの宣伝アカウントを禁止する

違法海賊版サイトを運営するメリットは「儲かるから」で有り、趣味では無い。ここを理解せずに「ブロッキング」だけを実施しても、ドメインを変えて、再開される「イタチゴッコ」になるだけで有る。違法海賊版サイトの「儲けの仕組み」を解明し、それを絶つことが最も効果的な対処方法となるだろう。