<2007年2月=東スポ携帯サイト・映画マニア堂より>
「東京ふんどし芸者」(昭和50年・東映=野田幸男監督)
今回は昭和50年に京都ではなく東京で製作された「東京ふんどし芸者」の出番だ。
メガホンをとったのは「不良番長シリーズ」や「やくざ刑事」「0課の女」「ザ・カラテ」「ゴルゴ13 九竜の首」などでおなじみの野田幸男監督だ。
先祖代々芸者の家系に生まれた橋本和世(堀めぐみ)は芸者になることを勧める母・いく(三原葉子)に反抗して「丸菱物産」に就職。初出社のその日、地下鉄丸ノ内線の車中で痴漢に遭遇も、痴漢の股間を握りつぶして果敢にも撃退。
意気揚々と出社した和世だったが、入社式で挨拶に立った社長(天津敏=「仮面の忍者赤影」の甲賀幻妖斎、古くは「豹の眼」のジャガー役などでおなじみ。個性的悪役として印象深い天津の痴漢ぶりは絶品!)が、何とその痴漢の正体…。社長を痴漢呼ばわりした和世は入社式の席上で即刻、クビを宣告されてしまう。
結局、芸者の道を選択した和世に対して、母は先祖代々から伝わる赤いフンドシを手渡す。大事な部分だけポッカリと穴の開いた(マンホールと呼ぶのだとか…)このフンドシを身につけて座敷に出ると、相手をした男性が皆、強運に恵まれるという究極兵器なのだ。
赤フン着用でお座敷デビューを果たすと、さっそく南利明扮する会社社長に気に入られ、ある意味貴重な南のセックスシーンを合図に、ストーリーは猛スピードで転がり始める。
かつて南と「脱線トリオ」を結成していた由利徹は、この映画ではどんな女性をも名器に変えてしまうマッサージ師役で登場。イチモツが体内にメリ込む奇病にかかった大金持ち社長が小松方正。その秘書が大泉滉。和世の両親がかつて世話になった「丸亀堂」(漢方薬局)の後を継ぐもイソギンチャク探しに精を出し過ぎて、家業を倒産させてしまった南城竜也(変身忍者嵐や鉄人タイガーセブンでおなじみ)、和世の人気を妬み「このフンドシ芸者め」と目の仇
にするライバル芸者・花蝶(茜ゆう子)、そして幻の媚薬「曼陀羅華」の研究のため十数年行方不明となっていた和世の父・文造(北村英三)らが次々に登場。赤、青、黄、ピンク、白とゴレンジャー(同じく昭和50年、東映製作だ)ばりのフンドシ芸者衆までが登場し、最後は例によって「セックス勝負」に話が雪崩れ込むのだった。
今回は媚薬「曼陀羅華」の製造権、原料となるイソギンチャクの採取権をかけた「花電車九番勝負」として、和世と花蝶が運命の対決(審判は山城新伍、合図の太鼓を鳴らすのは由利徹)。
1回戦は股間に筆を挟んだ「書初め」(花蝶勝ち)、2回戦は股間の〝マン風〟でロウソクの火を消す「火消し」(和世勝ち)、3回戦は股間でラッパを吹く「ラッパ吹き」(花蝶勝ち)、4回戦は股間での喫煙量を競う「煙草吸い」 (花蝶勝ち)、5回戦は説明不要「綱引き」(和世勝ち)、6回戦は、もう説明する気も失せた「バナナ切り」(和世勝ち)、7回戦はもう勝手にしてくれ「銭つかみ」(和世の勝ち)、8回戦は、もうどうでもいいでしょ「卵飛ばし」(花蝶勝ち)。
そしてラストの9回戦は、下の口でビール一気飲みの量を競う「ビール飲み」。花蝶が先制するも、最後は股間から大量のビールを逆噴射して、口からも泡を吹き失神。和世の勝利だ。丸亀堂は「曼陀羅華」で再興し、最後はふんどしを締めた和世が店の前で、なぜか堂々たる雲竜型の土俵入りを披露して映画は幕を閉じる。
女性器のみを題材に、ここまでくだらないシーンを満載した映画は存在しない。「娯楽映画」と呼ぶのも憚られるほど、あまりに下半身の娯楽に徹し過ぎている傑作だ。