<2007年1月=東スポ携帯サイト「映画マニア堂」より>
☆温泉こんにゃく芸者(昭和45年・東映京都=中島貞夫監督)
このタイトルだけで「参りました…」というよりほかない。
「芸術性が~」とか「この作品の意義は?」などと、あれこれ小難しい理屈をつけ、製作サイドを振り回す俳優が多い昨今、犬や猫が見ても文芸作品ではないと理解できるこの映画に堂々と出演してしまう俳優さんたちは偉い。尊敬に値する。
一応、その素晴らしきストーリーを説明する。
敗戦のショックでインポになってしまった殿山泰司は、石川県金沢市で出生と同時に母が死んだ少女・珠枝(女屋実和子)を養女として育てる。
少女は成長し、やがて大泉滉が経営するコンドーム工場に務めるが、工場は倒産。退職金代わりに大量のコンドームを手にした珠枝は、ヒッチハイクで片山津温泉にたどり着き、コンドームの行商を始めるが、そこで声をかけてきた荒木一郎の部屋に連れ込まれ処女喪失。ひょんなことから温泉場の臨時芸者にスカウトされ、その「ミミズ千匹」ぶりが評判となる。
ここからストーリーは転がり出す。温泉場で「温泉コンサルタント」を自称し、ヒモ生活を送る小池朝雄、たまたま珠枝と寝たことで、すっかりトリコになってしまった北陸製薬社長・上田吉二郎、その部下の常田富士男、珠枝を使って一儲けを企む温泉ヌードカメラマンの荒木らが珠枝の周辺でいい味を出し
まくる。
この頃、インポの反動で「人間を救済するのはエロだ」という信念と「空間的拡がりを持った性具を作るんだ。空間を粘膜を覆う。そうコンニャク風呂を作るんだ」という妙な野望(?)を抱いて日夜、ハリガタなど性具の研究に没頭する殿山も珠枝を頼って温泉場で同居。周辺の連中は、珠枝をモノにするため
父である殿山にヨイショしまくる。
そして殿山は「屋敷にワシの悲願であるコンニャク風呂を建設させてくれるなら…」という、とんでもない条件で、娘と北陸製薬社長の愛人契約を認めてしまう。
さっそく殿山は荒木を運転手にコンニャク芋の買い付けに東奔西走し、小池と荒木と3人して屋外で大量のコンニャク製造にまい進。いつの間にか小池が神主に扮して身を清め、せっせと風呂場にコンニャクを敷き詰め、ついに悲願のコンニャク風呂が完成。
裸のまま直立し、なぜか万国旗を掲揚して万感の涙を流す3人の姿は「日本映画史に残るバカ」と言えるだろう。
珠枝と手を取り合い、コンニャク風呂で処女入浴に臨んだ上田だったが、コンニャクに滑って転び、脳いっ血でアッサリと死去…。上田夫人の菅井きん に罵られて一向は屋敷を追い出されてしまう(当然だ)。
その後、フリーとなった珠枝は、週刊誌に写真が掲載されたことで話題となり、今度は大阪の大企業社長の愛人の話が舞い込む。あれやこれやで膨らんだ周囲の借金を清算するため、大阪の大企業社長の使者・小松方正と500万円を賭けた「セックス時間無制限3本勝負」に挑む。
珠枝は白装束。小松は着流しで決戦場に出陣。1本目は珠枝の「ミミズ千匹」がサク裂し先取。2本目は瀕死の状態からマムシドリンクで回復した小松がねちっこい攻撃で珠枝を失神させタイに。後のない珠枝は父の作った「コンニャクエキス」を飲んで3本目に出陣。凄まじいあえぎ声の後、先に障子を開けて出てきたのは小松だったが、そのまま倒れ込んで絶命。勝ったのは珠枝だったのだ。
昭和45年と言えば、日本国中が「人類の進歩と調和」のコピーとともに大阪万博に湧き返っていた年とされる。一方で、映画館には「温泉こんにゃく芸者」という看板がかかっていたことを忘れてはならない。