人権尊重条例案を採決する東京都議会本会議=5日午後、都庁

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 人種差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の事前規制や、LGBT(性的少数者)などへの差別解消を打ち出した東京都の人権尊重条例が、5日の都議会本会議で賛成多数で可決、成立した。

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、差別の解消や多様性の尊重といった五輪憲章の理念を広めるのが目的で、都によると、ヘイトスピーチやLGBTに焦点を当てた条例制定は都道府県で初めて。19年4月に全面施行する。

 一方、一部の言論団体は「表現の自由を不当に侵害する」などと反発しており、採決では自民党が「内容も手続きも拙速でずさんだ。(この)条例は人権問題をアピールする手段ではない」と反対した。

 ヘイトスピーチをめぐっては、団体名の公表を盛り込んだ条例が16年1月、大阪市で初めて制定された。都条例では、知事が不当な差別的言動をしていると認めた個人や団体に対し、公共施設の利用を事前に制限するための基準を設けると規定。学識経験者による審査会の意見を踏まえ、活動概要を公表するなどとした。