今回は、ブラックニッカの1級時代の古酒を飲みます。

カフェグレーンを活かした二代目

bn1_ブラックニッカは、1956年に特級ウイスキーとして発売されました。
ボトルも羊皮紙にニッカのロゴとエンブレムが記載されたものでした。

1962年に、株主であっtあアサヒビールの協力により、カフェ式の連続蒸留器を導入、香りを残すグレーンウイスキーの製造を始めました。

そして1965年、熟成されたカフェグレーンウイスキーを使った1級ウイスキーとして、ブラックニッカがリニューアルしました。
そしてそのボトルには、現在もニッカの顔となっているひげのおじさん、キング・オブ・ブレンダー、W.P.ローリーの肖像画が描かれました。

1985年には、宮城峡モルトを加えて新しいブレンドとなったブラックニッカスペシャルへとリニューアルしました。
1989年に酒税法改正で等級表記、モルト原酒の割合による税率の区分けが無くなったことで、ブレンドを更に改めています。

当時の1級ウイスキーって...。

今回は、中古販売で手に入れた1級時代のブラックニッカと、現行のスペシャルを飲み比べてみようと思います。
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まずは1級から。
グラスに注ぐと、液色は淡い琥珀色、香りはアルコールの刺激がメインに感じられます。

ストレートで飲むと、やはりアルコールの刺激が主体で、その後は燻製のようなピート、ナシ、ブドウ、バニラと続きます。
味わいは、アルコールからの辛みが強く、後から酸味が追いかけます。ストレートで飲むには少々きついです。

次にロックで飲むと、1級の場合、ゴムの香りの後にスモーキーなピートが揮発して鼻を強く刺激します。
味わいはビターが前に来るようになり、その後は酸味、アルコールからの辛みが続きます。

最後にハイボールだと、軽くピートの後にレーズンのような比較的濃厚なフルーツ感を感じます。
味わいは若干酸味が広がる印象です。

一方でスペシャルは、ストレートにおいてはピートが先に来た後、ナシ、青リンゴ、ブドウが続き、奥からバニラが訪れます。
味わいは、アルコールからの辛みはあるものの、1級に比べると穏やかで、酸味が続き、奥から甘みも感じられます。

ロックだと、レーズンとピートが半々に先立ち、その後は熟したリンゴとカスタードクリームが続きます。
味わいは酸味が前にあるものの、後から甘みが追いかけます。

ハイボールでは、リンゴ、ナシ、バニラの香りが広がります。
味わいは酸味が先に来るものの、後から甘みも得られます。

両社を比較すると、やはり宮城峡モルトを加えて幅の広がった現行のスペシャルの方が濃厚に感じられます。

50年前の状況を考えれば、1級のブラックニッカも、余市モルトがもたらすピートがしっかりしたスモーキーフレーバーと、シェリー樽原酒のブドウ感が伝わっていて、少し高めの値段設定を考えればうまくできていると言えます。

ただ、ストレートやロックでは刺激が出過ぎていて、水割りやハイボールにした方がちょうど良いように感じます。

720mL、アルコール度数42度、発売当初の価格は1000円でした。

<個人的評価(ブラックニッカ 1級)>

  • 香り C: ロックでもアルコールの刺激が消えない。ピートが強く、後からブドウ、ナシ、バニラ。
  • 味わい D: ロックでもアルコールの辛みが消えない。他は酸味が中心で甘みは少ない。
  • 総評 D: 50年前を考えれば上出来だが、ノスタルジック以外で中古ボトルを飲むほどではない。

<個人的評価(ブラックニッカ スペシャル)>

  • 香り C: アルコールの刺激は少なめ。ピートのあと、ブドウ、ナシ、青リンゴの香りが強め、奥からバニラ。
  • 味わい B: ストレートでのアルコールの辛みは少なく、ロック、加水で消える。その後は酸味と甘みが半々。
  • 総評 B: 宮城峡モルトが広がりを作り、原酒比率が上がったことでワンランクアップした印象。