絵金屏風の応急修理公開 本格作業へ募金 高知県香南市の絵金蔵
本格的な修理に向け、絵の具の剥離箇所などの応急処理が施されている芝居絵屏風(高知県香南市の絵金蔵)
高知県香南市赤岡町に伝わる「絵金」こと幕末の絵師金蔵の芝居絵屏風(びょうぶ)の応急修理が6日から、香南市赤岡町の絵金蔵で行われている。11月25日までの計6日間かけて行われ、作業は来館者に公開。地元保存会は今後の本格修理のための募金も始めた。応急修理するのは絵金蔵が収蔵する23点のうち、薫蒸事故の修復作業を経て返還された5点を除く18点。描かれて150年以上経過し、保存会のメンバーからは、作品を飾る「絵金祭り」を続けていくためにも修理を望む声が上がっていたという。
保存会の要請を受けて今年4月、県外の修復業者が18点の作品の状態を調査。絵の具が剥がれるなど「早急に修理が必要な状態」との見解が示された。
18点全ての解体を伴う本格修理には数千万円の資金が必要で、約3~4年かかるという。まずは前段階として、傷みの進行を抑える応急修理に踏み切ることになった。
「文化財修理の必要性に理解を深めてもらおう」と、6日からの作業は展示室を利用して公開。修復業者2人が絵の具の剥がれ落ちそうな箇所に膠(にかわ)水溶液を塗って接着させたり、紙が下地から剥離している部分に小麦デンプンのりを施したりしている。
赤岡絵金屏風保存会の金沢正寿会長(74)は「子孫のためにも、この文化をわれわれの時代で途切らすわけにはいかん」といい、「本格修理をして、祭りをずっと残していきたい」と話していた。
公開修理は7、8日、11月23~25日の5日間も行う(10月8日、11月25日は午前中のみ)。本格修理に向けた募金は、施設内の募金箱のほか、振り込みでも受け付けている。問い合わせは絵金蔵(0887・57・7117)へ。(村中澄怜)