サラリーマンの間で「不動産投資ブーム」が巻き起こるなか、「有名大家」のノウハウを真に受けて、不動産投資に失敗してしまった人は多くいます。そこで本記事は、業者の言いなりになって失敗しないために、不動産会社が教えない出口戦略の裏話を紹介します。
サラリーマン投資家は本来、インカムゲイン狙いだった
本連載は、不動産投資の「出口戦略」がテーマです。2015年くらいから有名大家を中心に「今が売り時」と盛んにいわれるようになりましたが、それまでは不動産の出口戦略としての売却は、有名大家にとって選択肢にありませんでした。
本来、サラリーマン投資家がおこなう不動産投資は、月々の家賃収入からキャッシュフローを得る投資(インカムゲイン狙い)であり、売却して利益を得る投資(キャピタルゲイン狙い)ではなかったのです。
また、融資が付きにくい市況が続いて、中古物件が売りにくい時期もありました。しかし、金融緩和でサラリーマンでも融資が受けやすくなり、不動産投資ブームが加速することで、プレイヤーである不動産投資家の人口も増えてきました。すると、安値で買っていた有名大家は所有物件を高値で売れるようになります。
「今が売り時」と言える人は、数年前に物件を購入済み
ここでなにが言いたいかというと、「今が売り時」と言える人は、数年前に物件を購入しているということです。したがって、これから不動産投資を始める人は、「数年前に買った物件が今年3倍で売れました」「出口まで考えてやれば、私みたいに成功できますよ」などのトークを信じてはいけません。すでに物件を所有している人の話を鵜呑みにして、「出口がある」と考えるのは危険です。
今多額の売却益を得ることができているのは、2009年のリーマンショック後に購入した人、もしくは2011年の東日本大地震後からその後のアベノミクス前後くらいまでに購入した人。これが現実です。
ただし、リーマンショックは100年に1度の金融危機といわれたように、そう頻繁に起こるものではありません。震災はまた起こり得る可能性がありますが、震災~政権交代~金融緩和という流れがありますから、同じような展開は期待できないでしょう。つまり、経験値を根拠にした彼らのいう出口戦略はノウハウではなくて、ただの自慢話であると認識しましょう。