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南海トラフ:伊勢湾周辺と豊後水道M5超の深部低周波地震「スロースリップ発生中」気象庁

 近い将来に高い確率で起こる南海トラフ地震について、気象庁は、先月中旬以降、伊勢湾と豊後水道の周辺でマグニチュード(M)5を上回る「深部低周波地震」が発生していたと明らかにした。フィリピン海プレートが沈み込む境界の深部で発生した「スロースリップ」が引き起こした可能性が高い。

 

 気象庁は今月5日に開いた検討会で、9月18日〜今月1日にかけて(2枚目の地図)、奈良県から伊勢湾にかけての一帯で、通常の地震波よりも周波数が低く、揺れが小さい低周波地震を観測したと発表した。18日に奈良と三重の県境で始まった活動は、次第に北東へ広がり、22日以降は三重県中部から北部、26日以降は伊勢湾に拡大。

 

 深部低周波地震が始まった直後の19日からは、複数の観測地点でひずみ計が地殻変動をとらえており、このうち規模が大きかったのは三重県中部で19日〜22日に続いたモーメントマグニチュード(Mw)5.8と、愛知県中部で28日〜30日に発生したMw5.8だという。

 

 さらに9月29日以降(3枚目地図)は、豊後水道から愛媛県中部にかけて、最大Mw6の深部低周波地震が観測されており、その活動域は次第に北東に広がりつつある。

 

 これらの地震は、プレート境界が数日かけてゆっくりすべる「短期的スロースリップ」が原因とみられ、体に感じる大きな揺れは起こさないものの、これまでの研究で、大地震に先行する予兆のひとつであると指摘されている。一般的に、地震の規模はマグニチュード(M)を用いるが、ここで使うモーメントマグニチュードでは、より詳細に計算したもので、マグニチュードより正確だ。

 

 気象庁は、観測された深部低周波地震について、南海トラフ地震の想定震源域で短期的スロースリップが起きているのが原因だとして、現時点では、「巨大地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったとは言えない」と結論づけている。

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